山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

煮込み

東京三大煮込み、というものがある。居酒屋探訪家の太田和彦氏が、その著書「居酒屋大全」(講談社刊)の中で提唱したもので、北千住の「大はし」、森下の「山利喜」、月島の「岸田屋」がその3軒。もはや「深田百名山」並みに知れ渡っていると思う。別にそのような流行りに同調するつもりもないが、これまで一応、「大はし」と「山利喜」の煮込みは喰ったことがあるので、ついでに「岸田屋」の煮込みはどんなシロモノなのか、興味はあった。個人的に、「大はし」の煮込みは小生の琴線に触れなかった(ちょっと甘い感じだ)が、「山利喜」のその独特な濃厚さは美味いと思った。果たして「岸田屋」はどうだろう。
そもそも今回、月島にやって来たのはもんじゃが目的。そのついでに、せっかくなので岸田屋も覗いてみようか、と思い、カミさんと開店時間の17時より早めにやってきた。もつ嫌いなカミさんには、「岸田屋」の名物がもつ煮込みだとは明かしていなかった。
メトロ月島駅から歩いて、16時45分に到着。それでも既に、10人ほどが列をなしている。常連らしき客もいる。暫し待って、17時と同時に入店。コの字のカウンターテーブルと、壁に付いたカウンター。合計で20数席程度か。我々は、「コの字」の2時の方向に着席。店内はしっかり燻された壁、天井、お品書き短冊に囲まれ、なかなか良い居心地である。
注文も先着順に訊かれる。たいていの客は、煮込みを頼むが、それと同時に焼はまぐり(700円)、肉豆腐(680円)を注文する客もかなりいる。我々は先ず瓶ビール(650円税込、以下同様)、そのあとは、日本酒(菊正宗、420円)を燗してもらう。料理は、目当ての煮込み(500円)と、ベンチマークとして外せないポテトサラダ(300円)だけにした。ポテトサラダはそれなりに安いけど、あとは高めだなと感じたが、次々に出て来る皿を見て、それは間違いだと気付いた。
煮込みもポテトサラダも、えっ、と思う程、どっさり出て来る。これじゃ、この後にもんじゃを喰うどころじゃなさそう、2品注文したことを後悔するほどだ。もし独りだったら、この2品で完全ギブアップ。ところが、他の客のオーダーに傍耳を立て聞いていると、「煮込みをハーフで」とか「ポテトサラダをハーフで」などと云っている。そんな手があったんだ!一見客の悲哀を味わう。
気を取り直して、箸をつけてみると、煮込みはじっくり煮込まれているものの、あっさり味で優しい。たしかにこれは、かなりポイント高い。カミさんも、恐る恐るながら箸は付けている。ポテトサラダは、やや濃いめの味付けながらとても美味い。きゅうりやにんじん、玉子が入った正統派で、じゃがいもも程良い大きさで形が残っていて食べ易い。はっきり云って、これで300円は安過ぎる。
さすがに噂だけのことはある。この次は、煮込みもポテトサラダもハーフにして、その他の料理も味わってみたい。

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15時14分大宮下車。さて何処へ、という話になるが、のりちゃんがまだ入ったことが無いというので、「いづみや」で決まり(逆にあひるちゃんは、大宮と云うと「いづみや」ばかりだそうな)。今日は4人なので、「いづみや本店」へ入店。ほぼ1年ぶり(前回はこちら)である。やっぱりというか、まるで図ったように、店の右奥(テレビの下)にある「予約席」に通される。
リュックサックを、ビールケースの上に積み上げれば準備完了。さて、飲み物はホッピーにしよう。ここは、ナカとソトが別々に来なくて、既に調整済みの状態でやってくる。すなわち毎度、お姐さん達が愛情込めて(?)作ってくれる仕組みである。
ひと頃に較べ、お姐さん達はだいぶ変わったが、まだ顔馴染みのお姐さん(と云っても、こちらが一方的に覚えているだけ)もいるのでほっとする。「いづみや」は、やたらに愛想が良い若者店員がいる店とは真逆と云って良いだろうが、ここにはここの良さがあるので、もし「いずみや」で愛想が良い若者を店員に雇ったら、幻滅して足が遠のくのは間違いない。
周囲を見回すと、客の大半はひとり酒かふたり酒の客で、ほぼ全て男性。いつもと変わらぬ風景。我々の様に、リュックサックを背負って団体でやってきて、しかも女性が多数派、という客は相変わらず殆ど見当たらない。先客は我々をどう見ているのか判らないが、さして他人に興味がある訳でも無さそうに、偶にテレビを見上げ、黙々と呑んでサッと居なくなる客が多い。「いづみや」で我々は、明らかに異邦人である。
グッとひと息やったら、次は料理選び。思い付くままに注文すると、ポテトサラダ、モツ煮込み、枝豆、ハムカツ、〆サバ、焼き餃子と、不思議とだいたいいつもと同じ料理になる。これほど料理の種類が多い「いづみや」であっても、そんなには必要ないってことか。でも次回はもっと、他のものも注文してみよう。

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このところ大宮駅で途中下車することはあっても、隣の「第二支店」に入ったり、「いづみや」以外の店を開拓したりで、ほぼ一年ぶりの「いづみや本店」である。冬至の頃とは云え、黄昏にはまだ早い午後3時過ぎの訪問、我々が良く利用する一番奥のテーブル席が上手い具合に空いていた。リュックザックを置く(積む)には丁度良い場所。本来、4人掛けだが無理やり6人でテーブルに着く。見渡すと今日も一人連れの客が多い。我々のように大人数で来ているグループはほかに見当たらないが、かと云って特段、奇異な目で見られることもないのがこの店のいいところ。たとえ登山者姿の団体であっても、忽ちこの店の雰囲気に溶け込んでしまうらしい。
席に着いて、ハイボールやらチューハイやらで乾杯し、少々落ち着いたところで料理を注文。煮込み(170円)、厚揚げ(330円)、ハムカツ(300円)、卵焼き(350円)、ポテトサラダ(330円)、焼き餃子(330円)、焼きそば(550円)、肉うま煮(580円)、プレスハム(330円)、〆サバ(330円)をどどっと頼む。どれを注文しても、とびきり美味い訳でもないが、味的にも価格的にも、とにかく安心して喰えるのが良い。
ふと辺りを見回せば、見知った顔の古参軍曹的おかあさん連の姿が見あたらないことに気が付く。たった一年余りご無沙汰しているうちに、代替わりしてしまったのだろうか。そうであればやや寂しい気もするが、後を託されたおかあさん従業員の立ち居振る舞いは、この店にやってくる客の雰囲気も含め、既にこの店の一部となっている。そうやってこの店は歴史を積み重ねてきたわけだ。これからも客や店の人の顔触れが変わっても、この店らしさはきっと変わらないだろう。

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