秩父から所沢へ移動する際、予め調べてあった居酒屋「東家」に電話を入れてみたら、今は満員なので空いたら折り返し電話を入れる、という返事。普通はせいぜい「すみませ~ん、いっぱいで~す、またよろしくお願いしま~す」ぐらいしか云われることはない。ありそうで、なかなか珍しいサービスだ。しかし現実問題として、いつ電話が掛かってくるかわからない訳で、そうなると、掛かって来ないことを前提に当面の店探し、ということになる。
所沢一の繁華街、プロペ通りをうろうろして、空いてそうな店を物色。時間が時間なので、なかなかどこの店もいっぱいである。そこで「困った時の百味」頼みで、試しに行ってみると丁度、テーブル席がひとつ空いていた。テーブル席に座ったのはいつ以来か思い出せない。もしかすると初めてだ。これだけ広い店内がほぼ埋まっている様子はなかなか壮観、でもその中に身を置いても意外に落ち着けるのは、この店の徳(人徳ならぬ店徳?)と云えるかも知れない。
さて、先ずはビールはパスして日本酒から。ここは「ねのひ」を升でいくことにした。いわゆる旨口の酒。つまみは、もし「東家」から呼び出しを受けても大丈夫なように、冷奴、なめこおろし、スティック春巻と、ややあっさりめ。これらを肴にちびちびやる。
今日の山をつらつら思い返す。昨日までは、群生が開花している期待感と共に、群生がどれだけ荒らされているのかも気になっていた。ネットでぐぐると、バスツアーを仕立てて大パーティが群生地を訪れていたそうだ。ツアー会社に対する批判めいた記事もあった。今回、下りてきて思うことは、いくら秘密の花園だからと云って、あんな場所へツアーを企画することは、やや狂気の沙汰のように思える。登りはなんとかなったとしても、下りでは皆、往生するだろう。我々の様に、尾根に抜けて帰るのもなかなか大変だが、そのまま沢を戻るのはもっと大変だ。さぞやツアー客は沢下りに難渋したのではなかろうか。
ともあれ、そんなことがあった割に、今回行ってみて、秘密の花園がさほど荒らされたようには見えなかったのはなによりだった。1年のうちにほんの1、2週間だけ、わざわざ人間が大挙して押し寄せてくるのを、福寿草たちはきっと呆れて見ているに違いない。

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