「宮戸川」ですっかり不完全燃焼を起こしたので、験直しにもう一軒入ることにした。その店は「赤垣」という古典酒場。吉田類の「酒場放浪記」にも出て来る。藍染めの暖簾と、ぶら下がった提灯にも「酒夏酒冬」という文字が見える。どういう意味だろうか(「春夏秋冬」の洒落のようである)。
創業は100年にもなるらしい。ということは、大正ノスタルジーの世界。そういう店ならば、客あしらいも馴れているだろうと、その点では安心して入れるが、ここは予約が利かない店なので、やはり恐る恐る暖簾を潜る。
間口が2間ぐらいしかない小ぢんまりした店、入口右手にテーブル席、奥がカウンター席になっている。既に先客は10数人いてほぼ満席だが、女性店員(もしかすると女将?)がすっとカウンターを指して「如何?」と眼で合図。上手い具合にカウンター席が2つ空いていた。
この時間でも、仲見世界隈は外国人観光客で溢れ返っていると思われるが、一歩この店に入ると別世界。耳に入って来る話し声のトーンも抑えめで、むしろ心地良い。若者がいないかと思うとそうでもない。若いカップルが静かに呑んでいる。年季が入った居酒屋ならではの雰囲気が、そうさせるのだろうと思う。常連客が多そうな感じだが、一見客でもとても居心地が良い。これぞ酒場。
付き出しはパスタサラダときゅうりの酢の物が、2人で1セット。この心遣いも粋に感じる。酒は高清水純米(500円税込、以下同様)にしてみる。つまみは、カンパチのカマ焼き(750円)、カキフライ(650円)、合鴨つくね(450円)を注文。当然かもしれないが、そろそろかな、と思う頃にちゃんと出て来る。しかも、美味い。あ~、救われた。

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