昔から、神田駅の北口と西口とのあいだ辺りに、古びた洋風居酒屋があるのは気が付いていた。外観はぱっとせず、かなり入り難い雰囲気なので素通りばかりしていて、いつの間にかもう30年以上経ってしまった。今回は、「かんだ光寿」のあと、カミさんと、えいっと扉を開けて入ってみた。先客はテーブル席に2組(中高年男4人グループと、ヤング女2人グループ)と、カウンター席に青年男性2人連れ。店の人はマスターひとりのみ。
ここで洋風居酒屋と書いたが、何と表現して良いか少々迷う。外観と店内の配置はバーだが、メニューは全くバーらしからぬ。メインはやきとりである。従って、ここはバーというよりも、店のタイトルどおり、「洋酒の居酒屋」風の「酒場」と云うべきだろうか。店のネーミングは、直ちにホイジンガの著書を連想させる。ただ、カウンター席は歴史論の思索には向いているかも知れぬが、この店が「遊び」とどう結びついているのかは判らない(マスターに店名の由来を訊き損なった)。
カウンター席に座り、山崎ハイボールを注文。「鶉の玉子おろし」と「生キャベツ」という突き出しは、洋風居酒屋で出てくるものとしてはかなり変わっているが、ここがやきとり屋だと思えば全く違和感はない。
この店はだいぶ古そうなのだが、マスターにいつできたのか訊くと、「さー、私が来てから30年になりますが・・・」と仰る。でも、30年前だったら小生も存在だけは知っている。おそらくは、トリスウィスキーが流行ったという1960年代頃には、もうこの店はあったのではなかろうか。
やきとり(ねぎまのこと)とてばさき、つくね、そして串焼きソーセージを頼んでみる。ほんとは、ぼんじりを食べたかったが切らしているとのこと。突き出しの「鶉の玉子おろし」に付けて食べる。いける。これって、何処かで食べたことがある。国分寺南口のやきとり屋だったか。急に30ん年前を思い出した。
はっきり云って、依然として入り難い雰囲気ではあるものの、マスターも特に話し好きではなさそうだが気さくな人で、意外にリラックスできる店だと思う。ひとりでぼ~っとしてみたい時にも良いかも知れない。そのうち、ふと目に付いたときがあれば、こんどはもうちょっと軽く扉を開けられそうだ。

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