山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

せいろ

今回の山は行道山。「特急りょうもう」で東武足利市駅に到着、乗り換え時間は僅か1分。直ぐさまバス停へ急ぐが、行道山行「あしバス」は見当たらず。ふと見ると、丁字路を右に曲がろうとしているバスの後姿。時計を見ると8時11分。電車が1分遅れたのか。バスは8時10分発なので、確かに発車していても不思議は無いが、電車が遅れたことはバスの運転手も気が付いていた筈。時間に厳格というより、何も考えていないのだろう。そもそも、乗り換え時間が1分しか無いバスダイヤも如何なものか。
やむを得ず、タクシーに乗る。道々、タクシー運転手に愚痴をこぼすと、バスの運行には市から補助金が出ているし、客を乗せなくってもバス運転手の給料に影響は無いので、何も考えずに走らせるだけなのさ、と慰められる。
その後、とりあえず予定通りに行道山から両崖山まで歩く(山の記録はこちら)。両崖山山頂には、地元の方々が散歩がてら、やってきている。なおちゃんが、そのおばちゃんたちに朝のバスの仕業について紹介すると、口々に「まー、ひどいわねー!」、「云いつけてやるわ!」などと仰る。是非、足利市議会に云いつけていただきたい。
織姫神社脇に建つと、足利市街の眺めが良い。そんな眺めが良い境内の脇に「蕎遊庵」がある。これほど眺望が利く蕎麦屋も珍しい。人気のある店なので、入れるかどうか危ぶんでいたが、すんなり入れた。この店は蕎麦打ち教室をやっているせいか、店内のそこかしこに、蕎麦を捏ねる木鉢が積み重ねられている。
さっそくビール(中瓶600円)をいただく。ビールが一段と美味い季節になって来た。料理は、身欠きにしん(350円)と豚だいこん(350円)をもらう。豚だいこんは、わっぱというか、小さなお櫃に入って出て来る。味が染み込んでいて実に美味い。そして締めはせいろ(600円)。香り、喉ごし、歯触りとも申し分なし。山から下りた、直ぐのところにこんな店がある僥倖を存分に味わった。これで「あしバス」に冷たくあしらわれた気分も多少晴れた。

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高尾山山頂直下にある「やまびこ茶屋」で温まった後、まだ10時過ぎ。高尾山薬王院めがけてふらりふらりと下る。この時間になっても、登山客はごくわずか。昨今、三が日はどの程度の人がやってくるのかは判らないが、それなりには来るだろう。しかし、松が取れて、しかも三連休後の平日ともなるとすっかり静かだ。このような時にこそ、高尾山に登るべきだろう。
薬王院まで来ると参拝客はそれなりにて、護摩法要の申込客もかなり多く、受付所には行列が出来ている。いつもは2月ばかりだったので判らなかったのだが、まだ1月の上旬、初詣客はそれなりにいるということだ。
本堂に入ってみると、果たしてかなり賑わっている。並んでいる護摩札の数も、この頃見たことが無い程多い。2月だったら広い堂内に数人ぐらいしかおらず、僧侶や山伏の方が多くて申し訳ない気分になることもあるが、今日は全然違う。ご利益が変わらないのだとしても、2月の方が何だか有難味がある気がしてしまう。
法要は20分もあれば終わってしまう(昔と較べると段々短くなってきているような気がするが、気のせいか)。あとは参道を下り、(少々酒も入っていると、歩いて下るのは鬱陶しいので)ケーブルカーに乗って高尾山口へ下る。
さてもう昼時。今日は久しぶりに、柿の木が屋根を突き破っている「高橋家」に入ってみる。改築する前の「高橋家」には何度か入っているが、改築後は一度ぐらいしか入っていないかも知れない。店内の落ち着いたダークブラウン調は昔から変わっていない。4人掛けのテーブル席が空いていた。
先ずはビール(エビスビール中瓶650円)で喉を潤し、その後は日本酒。ここは八王子の地酒にしようと、「桑の都」(一合グラス650円)を注文。つまみは、板わさ(650円)、焼き味噌(450円)、天ぷら盛り合わせ(1,350円)にした。焼き味噌には刻みネギが入っていて、日本酒と良く合う。
締めはせいろ(650円)。久しぶりに手繰ったが、なかなか美味かった。やはり高尾山門前の中ではイケる店だと思う。またそのうちに寄ることになるだろう。

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或るとき、この頃秩父で蕎麦を手繰っていないなと、秩父関連のHPをつらつら眺めているうちに、ふと「こいけ」の文字が目に入り、9月末で閉店してしまったことを知った。なんと・・・、まことに残念。そのうちにまた行こう、行こうと思っていたが、もう、あとの祭り。結局、入ったのは一度きりとなってしまった。
「こいけ」は、云わずと知れた、秩父の名蕎麦店。もうひと昔前になってしまった2005年の暮れに、武甲山を登った後、「こいけ」に入ったことがある(その時の山レポはこちら)。当時は隊長がスイス駐在の頃で、この山行もタマちゃんと二人きり。当日は丁度、秩父夜祭の大祭当日だったせいか、武甲山山頂にいると時折、下の方からお囃子の音が聞こえて来たのを覚えている。
山から下りて、浦山口駅から秩父鉄道に乗ろうとすると、この鉄道では今まで見たことが無い程、人が乗っているのにびっくり。皆、祭りを見に行くのだろうが、電車が混んでいることもさることながら、浦山口から奥に、こんなに人が住んでいるんだ(失礼!)と驚いた記憶がある。
御花畑駅を出ると、道路脇には既にカメラの放列がスタンバイ。まだ祭りが始まるまで3時間もあるのにこの状態。腹ごしらえしたあとで、せっかくだから祭りでも眺めようか、なんて軽い気持ちでいたのが、あっさり粉砕された。この調子だと「こいけ」も、もの凄い状態ではないかと危惧されたが、とにかく恐る恐る行ってみた。
西武秩父駅からは10分足らず。うっかり通り過ぎてしまいそうなほど、目立たない店だが、古民家の前に人が並んでいるのでそれと判る。数えてみると、10名程(どうやら4組)が並んでいる状態。これならば、せっかくなので待つか、と覚悟を決めて後ろに並んだ。
待つこと、1時間余り。蕎麦屋でそんなに待ったのは、後にも先にもこの時だけ。やがて通された店内は、飾りが殆ど排除され、質素な古民家的内装。この雰囲気だけでちょっとグッとくる。テーブル席と小上がりがあったが、我々は二人掛けのテーブルへ。先ずビールで喉を潤した後、日本酒と焼き味噌と天ぷらを注文した。
ここの焼き味噌は甘からず、辛からずで丁度良い。日本酒と焼き味噌との相性が、これほどいいものかと大感激したが、ここの店主も、越生の「梅乃里」の店主と同様、足利一茶庵の創業者、片倉康雄氏(Woodyさんのお兄さん?と思う程良く似ている)に師事しただけあって、焼き味噌も良く似ている。
締めはせいろを注文。つゆは辛めの江戸前風。細打ちのせいろ蕎麦は、香りも佳し、コシも佳し、歯触り・喉越しも佳しの、云うこと無し。二人で感動していた。結局、それっきり。その後のあっと云う間の10年間、2回目の訪問をしないまま閉店となってしまった。実に心残りである。やはり、行けるときに行っておかないと後悔する、とつくづく思った。

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埼玉新聞電子版記事: こちら 

ココファーム・ワイナリーで収穫祭の雰囲気を存分に味わった後、足利の市街へ出る。立ちっぱしだったので何処かで座りたいし、些か腹も空いた。そこで、せっかく足利に来たので、「一茶庵」に寄ってみることにした。ここは知る人ぞ知る、数多くある一茶庵系蕎麦屋の総本山。かの片倉康雄氏が大正15年に新宿で開業して以来、現在は三代目とのこと。最近行った店では、秩父の「こいけ」や、越生の「梅乃里」などが、愛弟子の系列だそうである。
店構えがずいぶん立派で重厚である。さすが総本山は違うね、と感心。中へ入ると、我々の前に4組ほど(椅子に座って)並んでいて少々たじろいだが、待つことにした。やっぱり、足利まで来て一茶庵本店に寄らず帰る訳にはいかない。やがて、席へ通される。なんのことはない、空いているテーブル席が他にもある。それでも客を通さないのは、職人の数が足りないと云うことだろうか。
先ずはビール。キリンとエビスがあったが、今日はキリンの気分。柿ピーがついてくるところは意外に庶民的。喉を潤した後は蕎麦が来るまで、板わさと鴨スモークを肴に日本酒をちびちびいただく。白雪、高清水もあるが、ここは「男の酒辛口 赤城山」という地酒にしてみる。いわゆる淡麗辛口の呑み飽きしないタイプ。
頃合い良く出てきたせいろ蕎麦は、さらしなの様に色白、細打ちでしこしこ、つるんと喉越しが良い。美味い。
「一茶庵」で蕎麦を堪能した後は、街中をぶらぶら。そのうち、行く手に見えてきたのは立派な仏閣。裏門の様だが、その入口に「鑁阿寺(ばんなじ)」と書いてある。「鑁」とはまた随分難しい漢字だ。調べてみると、『大漢和辞典』( 諸橋轍次/著 大修館書店/刊)にも載っていないとのこと。いったい誰が何処から見つけてきた漢字なのだろうか。「鑁阿」はサンスクリット語の発音vanaを当て嵌めた、いわゆる「当て字」らしい。「鑁阿寺」で「大日如来の寺」という意味になるそうだ。足利が初めてなので、「鑁阿寺」も初めて。由緒書きにによれば、足利氏の氏寺で創建は1196年とのこと。本堂は国宝だそうである。今日は七五三の参拝者をちらほら見掛けることができる。

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以前から古里駅近く「丹三郎」という集落に、「丹三郎」という超有名蕎麦屋があるのを知っていたが、なかなか予約すら叶わず、入る機会が無かった。今回、念願叶って予約できた。思わずバンザイ!と叫びたくなる。勿論、山の会としては、山を抜きに蕎麦屋へ直行する訳にはいかない。そのため、鉄五郎新道から大塚山を経由してやってきた(山の記録はこちら)ので、到着は13時過ぎ。
鉄五郎新道のイワウチワは殆ど終わっていて残念だったが、下って来た丹三郎集落は、様々な花々が競うように咲いてて、春本番が実感できる。
「丹三郎」に着いて、重厚な長屋門を潜ると母屋。と云っても予約した時間で直ちに入れる訳ではない。何処かの席が空き次第ということになる。つまり、予約した時間以降での優先権を持っている、というくらいの感じか。広い玄関の端に座ってしばし待つ。やがて、テーブルへ案内される。先ずビールを注文した後、料理をチョイスするのだが、昼下がりという時間のせいか、わさび漬けや厚焼き玉子は終わってしまっていて、単品の天麩羅は山うどだけしかできないとのこと。しかし、天せいろを頼むと天麩羅は盛り合わせになるというので、まず天せいろを二つ注文してみる。他に、沢ガニの唐揚げと、稚鮎の唐揚げ、本わさびを注文。酒はやっぱり地元、澤乃井で。ここはおしぼりが手ぬぐいである。
本わさびはまるごと一本出てくるが、5人もいればそれなりに使い切れる。Woodyさんに磨っていただいた。稚鮎も沢ガニも食べるのが何か勿体ないと云うか、申し訳ない感じ。でもサクサク、パリパリ、あ~春だ。天麩羅盛り合わせも上手い具合に揚がっている。
最後に蕎麦、5人で3枚をいただく。細打ちで香り高く、喉越しも申し分ない。こりゃ、また来たくなるな~。今度は、11時の開店時間に来て、食べ損なった玉子焼きや他の天麩羅も食べてみたい。ってことは、山はいったいどうなる? 

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本厚木「肉の佐藤」でもう、だいぶいい腹具合になったので、新宿では、さっぱり系の蕎麦屋に行こう、ということになった。しかし考えてみれば、新宿で蕎麦屋は入ったことも聞いたことも無い。で、ロマンスカー車内でスマホリサーチ。このような状況は、スマホが当たり前の世代には判らないが、我々には便利な時代になったものだといちいち感慨深い。そうやって見つけ出したのは「稲田屋」、デッキから電話を入れてみると、空いてますのでどうぞとのこと。これで準備は整った。新宿駅前でのんちゃんをピックアップしてから店へ。
ここは、日本酒「稲田姫」を醸す鳥取の酒蔵(稲田本店)の直営店。日本橋にある姉妹店には何回か入ったことがあった。蕎麦がウリだが、もちろん、酒の肴も豊富で、日本海沿岸の珍味等もいただける。蕎麦居酒屋としては少々ハイグレードと云えるかも知れない。ベースが蕎麦屋なので、肴はほぼ純粋に「和」テイスト。旬のものを活かした、なかなか心憎い料理を出して呉れる。
酒は、ビールをちょっとだけ呑んで、あとは酒蔵直送の「稲田姫」をいただく。純米も純米吟醸もそうだが、酸味と旨みは感じるものの、すっと喉に入る感じの爽やか系。造り酒屋が蕎麦屋をやるだけのことはある。
付き出しは、おくらと筍のあえもの。その後は、玉子焼き、とろとろ生湯葉酒盗掛け、山菜天麩羅、筍と揚げ出し豆腐、鯛皮のポン酢和え、蛸の唐揚げ、生湯葉とわけぎの酢味噌掛け、公魚の南蛮漬け、菜の花のお浸しを注文。そして最後はもちろん、せいろ。どれも美味しくいただいた。
この「稲田屋」が入っている新宿パレットビルには、他に「月の雫」や「魚民」、「天狗」、「日本海庄や」など、在り来たりな店が多く名を連ねていて、だいたい、若者が馬鹿騒ぎをするような騒々しい店ばかりだが、ここ「稲田屋」は大人の店なので落ち着いた雰囲気、だいぶ居心地が良い。また使わせて貰うことがありそうだ。

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高尾山に行った帰り、途中の府中でちょっと寄り道。大国魂神社の傍にある蕎麦屋「ほてい家」に入ってみた。遠くから見ると周りの民家に溶け込んでいる様で、ちょっと判り難い。ここは初めての入店。昭和2年創業と云うことだが、外観は白塗壁と黒板塀のコントラストが粋な、今ふう和モダンの雰囲気、大人の隠れ家的である。入ってみると、正面は開放的な大窓の脇にテラス風のテーブル席があり、なかなか居心地が良さそう。もう午後2時なので、先客は一組二人連れのみ。我々は右手奥の壁側の席に着いた。
さて、ちょっと歩いて喉も乾いたので、やっぱり先ずビールから。カミさんはキリンブラウマイスターを注文。小生はメニューにあった「府中バカのまくわ瓜(ヴァイツェンタイプ発泡酒)」なるシロモノを注文。良く云えば、ヒューガルデンの白ビールのようにフルーティな香りがするが、キレがちょっと足りない(と云うか無い)ので、人によって意見が分かれそうな感じ。ちなみに小生は、やはりキリンブラウマイスターの方が口に合うので、カミさんと交換してもらった。
ビールの後の日本酒は、壺中春(こちゅうしゅん)をひやで注文(一昔前までは、「ひや」と云えば常温のことだったが、それがなかなか通じない世の中になっている)。会津若松の末廣酒造が醸す酒。旨みは感じるが、くせがなく円やかな印象。すっと喉に落ちる。
肴は、おつまみ3品盛り合わせと、鴨の陶板焼き、それにかき揚げを注文。もちろん、締めはせいろ。鴨はとてもジューシー、酒の肴としてはかなり良い。かき揚げは中までカリカリ状態で、齧るとボロボロ砕け散るのが残念。やや揚げ過ぎの感じだが、思いの外、具だくさんで、天つゆと合わせればまあ問題なし。せいろは結構な細打ちで、歯応えはあるがつるつるしている。こちらはまず申し分ない。
入ってみて判ったことだが、「食べログ」の紹介記事には、営業時間は午前11時から午後9時までと書いてあって、おっ、いいじゃん!と思っていたが、実際には午後3時から5時までは中休み。ちょっと残念。あともうひとつ残念なことだが、17時以降はいろいろと肴があるようだが、15時までは、今回食べた料理以外、あとは冷奴と板わさ、天麩羅盛り合わせしかない。
それなりに事情はあると思うが(以前も別の投稿で書いたように)、土日ぐらいは昼間から通しでやってくれるか、中休みがあったとしても昼時にも夜と同じ料理を出して呉れると、我々のように、夜に来ることがほぼ無い者にとってはとても有難い。それはともかく、差し当たりこの店には夜、来ることにするか。

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今日も番外編で御免被りたい。
仕事を午前中で切り上げて(≒サボって=午後年休をとって)銀座に出た。午後1時過ぎ、まだ昼食を喰っていないので何処かの蕎麦屋に入ろうかと考えつつ、いくつかあった候補の中から六丁目のソニー通り沿いにある「明月庵 ぎんざ田中屋」にしてみた。平日の昼下がりなので、人通りは殆ど無い。でも実はこの時間でも、銀座通りは外国人(概ね中国系)観光客が徒党を組んで、スーツケースをゴロゴロ転がしながら徘徊している。少し裏道に入ると静かで良い。
店の引き戸を開けて入ると、右手は厨房、左手前にテーブル席が並んでいる。奥は個室かも知れない。手前の席に着き、メニューを見る。かなり一品料理(酒の肴)が多い。見ているだけで嬉しくなってくる。まだ多くが仕事中の皆さんに申し訳ない、と思いつつやっぱり我慢できなくて熱燗(菊正宗)を注文。ひとり呑みの訓練だから、と言い訳しておこう。肴は何にしようかと迷った挙句、真いかのルイベ(860円)にしてみた。かなり薄くスライスしてあり、それが半シャリの状態で出てくる。これを口に放り込み、熱燗で流し込む。空き腹に利く~。そこはかとなく罪悪感が漂ってくる美味さである。
こういう蕎麦屋でのひとり呑みには意外と抵抗感は無い。このまま蕎麦を喰わなくたって大丈夫である。それが居酒屋となると話が違ってくるのは何故か。居酒屋でも皆、ひとり呑みの客ばかりで静かに呑んでいるのであれば入れそうな気もする。要は静かかどうか、ということなのかも知れないが、余り静か過ぎてしわぶきもできない、というのでもちょっと困る。カウンターだけの店で、話し好きの親爺とか女将さんがいるのも困る。
ともあれ、ゆったりと呑みたいところだったが、根が意地汚いせいか、つい酒が進んであっという間にお銚子が空になった。酒も肴もすっかり無くなったのを見計らって、すっと蕎麦せいろ(820円)が出てくる。良い具合の細打ち麺で、表面が艶々している。手繰ってみると腰が結構強く、喉越しも良い。つゆも辛口で、これぞ江戸前蕎麦というところだろう。蕎麦屋がこの世にある限り、ひとり呑みもなんとかなるかも知れない。

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明月庵 ぎんざ田中屋のHP: こちら

「ふくべ」で一杯やりながら、だいぶ良い調子になっていた時のこと、店内の壁に懸っている、額に入った「日本橋のれん会」という古びた紙に目が止まった。「ふくべ」と並んで書かれている何れの店も古そうだ。店のお姉さん(女将?)に、このなかで今もやっている店はありますかと訊くと、紙を暫くじっと見て「・・・やぶ久さんですかね~」と仰る。早速Webで調べると、なんだ、目と鼻の先だ。で、はしごしてみた。(Webで調べた限り、蒲焼「はし本」も営業しているようだった。ここも直ぐそば。)
建物は、薄く切った羊羹のような鉄筋コンクリート造5階建てのビルだが、小粋な看板と黄緑色の暖簾が直ぐ蕎麦屋のそれとわかる。創業明治35年(西暦1902年)というから、優に100年を越えているが、結構モダン。中に入ると1階はテーブル席で、2階から上は座敷なのだろう。メニューを見ると流石、老舗だけあって一品料理が豊富だ。色々試してみたいが、時間が時間なので、焼き味噌と板わさ、そばがき、せいろをさっと注文。焼き味噌、最高。これさえあればいくらでも酒が飲める。板わさはぷりっぷり。そばがきは、更科風のように、色白でぷるんとした食感。これで酒が飲めるようになれば一人前と云えるが、もうちょっと修行が必要なようだ。
締めは、もちろんせいろ。ただし、この店のウリはカレー南蛮らしい。せいろ2枚を注文、そば猪口は3つお願いした。かなりの細打ちで喉越し感はやや物足りない気がしたが、ゆで加減、水切り加減は丁度良く、ボリュームも申し分ない。つゆも、如何にも「やぶ」らしい辛さ。この店も、宴会で使うのも良さそう。次回は、じっくり色々な料理をつついてみるか。

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やぶ久の公式HP: こちら 

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