山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

西武秩父線沿線

「大滝温泉 遊湯館」からは西武観光バスに乗り、乗車時間50分ほどで終点西武秩父駅で下車。まだ16時前なので、この界隈で一杯やれるのは「祭りの湯」のフードコートか、「そば善」、「ちちぶ飯店」、「駅前」ぐらいである。
「フードコート」は人が多くワサワサしていてどうにも落ち着かないのでいまいちだし、「ちちぶ飯店」は基本、ラーメン屋なので、「そば善」か「駅前」か、どちらにしようかなと。そう云えば「駅前」のオヤジの顔を久しく見ていないな(調べてみると前回は2020年12月の品刕の帰り)と思い至り、「そば善」、「ちちぶ飯店」は次の機会とし今回は「駅前」に入ってみることにした。
階段を上がると2組の先客がいたが、上手い具合に6人がまとめて座ることができた。相変わらずオヤジは元気そうである。この店に入るようになってからもう10年以上は経っていると思うけれど、元気さと口の上手さは変わっていない。
まずはビール。つまみはいつものように付き出しを待つ。前回までは6品出てきたが、今日はなんと9品も出てきた(デザートとして苺まで入っている)。コロナ禍のせいか、ややインフレしたようである。これだけで当分、つまみの追加は要らない。吞みものはビールの後、日本酒。秩父なので、武甲正宗をいただくとしようか。
やがて、漸く付き出しが無くなってきたので料理を注文する。頼んだのはワカサギの天ぷら、ふきのとうの天ぷら(もう今年のが採れるのか?)、たらの芽の天ぷら。更に、付き出しには肉っ気が無かったので、せせりも頼んだ。ここ以外、他の店ではワカサギとせせりを喰うことが無い気がする。
1時間半ほど呑んで喰って、ひとりあたま3,000円だった。オヤジは金払いが悪い客には露骨にホスピタリティを下げるので、結局この店はいつもこのくらいになる。してやったり、とオヤジは思っている筈だ。

72 久しぶりにここに寄ってみた。
73 改めてお疲れさまでした。DSC09761
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74 今日の付き出しは9品。
75 ビールの後はこれ。
76 ワカサギ天ぷら。揚げたて美味い。
77 もうフキノトウですか。DSC09767
78 ウド、ホクホク。
79 セセリも好評でした。
80 満足できましたか?

以前から、奥武蔵の竹寺(正式名は八王寺)で精進料理を喰ってみたいと思っていたが、この界隈の山はほぼ登り尽くしているのでなかなか食指が動かないし、かといって単に竹寺を往復するほどまだ堕落していないので、ずっと棚上げ状態のままだった。
しかし今回、尾瀬から帰ってきてまだ3日目だったこともあり、久しぶりに飯能アルプスを軽く歩くには丁度良いタイミングだと思い立ち、行ってみることにした。前坂から子の権現までは、山と高原地図では破線になっているせいか、ハイカーの往来は殆ど無く、予想していた以上に静かな尾根歩きを楽しめた(山行記録はこちら)。
子の権現以降は一転、トレランばかりが行き交っていて何かと鬱陶しい。やはりこの辺りを歩くのは冬、出来れば降雪時が適期だと改めて感じる。竹寺に到着し、受付を済ませると食事処へ案内される。というか、建物の大部分がそんな感じ。寺と食事処と、何方が本業なのか分からないくらいだ。
でも料理を食べる前に、ご住職より有難い説話(?)があるので、ここは普通の店とはひと味ちがうところ。ご住職が「薬」と云い張る酒を注いでもらったら、食事開始。でも歩いてきたばかりの我々は、ちょっと渇いている。酒じゃなくてビールが欲しい、ということで改めてビールで乾杯。やっぱりこれじゃないとどうも落ち着かない。
料理はどれも竹の器に盛られていて良い眺め。奇を衒ったものではないが、何れも素朴な味わいで、これはビールよりも「薬」の方が合いそうな感じもする。ということで日本酒のお代わりも貰う。肉っ気の無い精進料理を肴に酒が呑めるのは、馬齢を重ねた特権かも知れない。
食事後は、副住職が飯能駅まで送って呉れる(送迎代ひとり1,000円)のが有難い。この副住職はやけに饒舌で、同乗した他の客(おばさん3人組)に随分受けていた。竹寺の将来も安泰なようである。

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070 副住職が受付。
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071 こちらが食事処。
073 部屋が並んでいる。
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081 やっぱりビールで乾杯。
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何とか「パリー食堂」のおかげで「52席の至福」の溜飲を下げることが出来た。途端に、世の中の景色がモノトーンがフルカラーに変わり、無音だった街の騒めきが聞こえる様になり、止まっていた時間が動き出す。改めて、今、秩父にいることを実感できたのだが、とりあえずもう思い残すことは無い。そろそろ帰ろうかと西武秩父駅に戻る。
窓口で特急券を買った後、発車時間まで「祭の湯」の中にある「ちちぶみやげ市」で時間を潰す。店内はコロナ禍以前に戻ったかのような、かなりの賑わいである。特別買いたいものがあった訳でもないのに、ここでブラブラしていると、何となく買ってみたいような気持になって来るから不思議だ。
基本的に甘味とかは興味はないけど、その地域の味噌とか醤油、漬物などには関心がある(勿論、地酒や地ワインもだ)。結局、「肉の安田屋」の「豚肉の味噌漬け」をゲット。何故か、秩父は肉の味噌漬けを売る店が多い。でも実は、買ったのは今日が初めて。これも「パリー食堂」のおかげかも知れない。
ついでに日本酒(武甲正宗)としゃくし菜漬(これは時々買うが、何処のメーカーが美味いのかは良く分からない)と、帰りの特急用に缶ビールも買った(カミさんはカミさんで色々買っていた)。これでもう満足。丁度良い時間になったので特急専用ホームへ移動。
毎度、西武001系を見て思うことは、球形の先頭車両と車体全体。先頭車両は極めて滑らかに出来上がっているので、恐らくはわざわざ削り出しで造ったのだと思う。かなり金を掛けている感じ。それに車体についても、つなぎ目が分からないくらいきれいに仕上がっている。恐らくは最近主流になりつつある摩擦撹拌接合(FSW)を採用しているのだと思う。鉄道技術も進化しているのだ。しかし車内のシートの色はいただけない感じ。これを見るとつい、ラバーダッキーを思い出すのは小生だけではないはずだ。

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常々、西武のレストラン列車「52席の至福」には乗ってみたいと思っていたものの、時々予約サイトを覗いてもいつも満席。大した人気だと感心しつつ、残念な気持ちが続いていた。コロナ禍にあっては運行を中止していた期間もあったようだったので、久しぶりに覗いてみると、なんと僅かながら空席があった。
早速、カミさんの都合を確認し、ランチ(往復乗車券込みで20,000円/2人)の予約を入れることが出来た。やはりコロナ禍で需要が減っているせいだろう。1週間前に送られてきたパンフレットとかチケットを見つつ、当日を待った。
「52席の至福」の終点は西武秩父であることは知っていたが、出発駅は西武池袋ではなく西武新宿だった。ってことは、最初は西武新宿線だが途中で(たぶん所沢で)西武池袋線に入るということだ。それにしても西武新宿発が10時40分で、西武秩父13時57分着。3時間以上も掛かるが、普通に乗って行けばせいぜい2時間。あとの1時間は何処でのんびり停車するのか、ちょっと気になる。
早速乗って、呑みモノを注文しようとするとなんと、アルコールの提供は出来ない!というではないか。確かに今は未だ「まん延防止等重点措置期間」中だが・・・。トホホ。仕方なくノンアルビール!を注文。アルコール抜きで喰うフレンチの、何と味気ないことよ。窓から見える景色(といっても秩父線に入るまでは民家を眺めるばかりで面白くはない)も何やらモノトーンだ。
「まん延防止」の影響はアルコールだけではなく、通常4号車のイベントスペースで行われる演奏会も中止。そのせいか、芦ヶ久保駅で30分以上も停車して、「道の駅」でお買い物をどうぞ、ということになった。別に「52席の至福」でなくても、芦ヶ久保の道の駅には来られる。
せっかく「52席の至福」には乗れたものの、激しく不完全燃焼。いつの日にかリベンジしないと気が済まない。

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妻坂峠から下りて生川(うぶかわ)のカフェ「LOGMOG」でまったりした後、ここは携帯電話圏外なので店の固定電話を借りてタクシーを呼ぶ。汗を流す処の目当ては、丸山鉱泉の日帰り温泉「花悦の湯」。ところが、行ってみると閉まっていた(旅館の方はやっていたのかも知れない)。コロナ禍のせいで、HPには特に記載がないのにやっていないということが間々ある。こういう時代は、小まめな経営者じゃないと売り上げを益々落とすことになると思う。
ともあれ次善策は少し手前にある「武甲温泉」、そのままのタクシーで向かった。こちらは駐車場が一杯埋まった状況。ここへ最初に来たのは、奥武蔵の山を固め打ちしていた頃で、調べてみるとかれこれ17年も前の、雪の正丸峠に登った時のことだったと思われる。その時は、ひと風呂浴びて温まった後は、所沢の「百味」で打ち上げたのだった。
直近でも6年前だから、何れにしても久しぶり。館内も結構客がいたが、密になるような状態ではない。西武秩父駅前に「祭の湯」が出来て売り上げを落としたのか気になっていたが、それ程ではないようだ。フロントで900円(暫く来ないうちにまた値上がりしたようだ)を支払って男湯へ。
内湯よりも露天風呂の方が人が多そうなので今日は、露天風呂は止めにした。ここは単純硫黄泉ということだが、個人的にはどうもカルキ(次亜塩素酸ナトリウム)臭が気になる。
サッパリできたので、休憩室へ移動。ここには舞台も付いている大広間がある。かつてはここで、売れない演歌歌手のショーなんかやっていたはずだ(見たことないけど)。座卓の数は大分減らしているようで、それでも客は疎ら。今日は生ビールではなく、缶ビールで喉を潤した。

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50 武甲温泉で温まった。
51 ここも6年ぶりでした。

今週末の山は、久しぶりに奥武蔵の大持山(前回2015年の山行記録はこちら、今回の山行記録はこちら)。でもホントは、もっとずっと久しぶりに、ウノタワに行ってみる気になったせいだった。尾根の途中にポッカリある不思議な平地。どのような経緯でこんな地形が出来たのか判らないが、かつては池があって、それが湿原になり、やがて今のような草原になったような感じはする。
最寄りは名郷BSで、ウノタワまでは2時間半ほどの道程。飯能駅から乗ったバスは満員御礼状態だったが、殆どはさわらびの湯BSで降りた。まさか朝から温泉という訳ではないだろうから、皆さん、棒ノ折山に登るらしい。大した人気ぶりだ。
ウノタワのあとは大持山を往復し、妻坂峠目指してまっしぐらに下降。まだ昼過ぎなのに木々の影は長く伸びて、もうすっかり冬の雰囲気。妻坂峠は風の通り道になっていて寒いので、そのまま素通り。あとは一の鳥居までは僅かだ。
今日の狙いは、実はウノタワ以外にもいくつかあって(何しろこっち方面は大分ご無沙汰なので)、その一つが一の鳥居のちょっと上、生川集落にある「LOGMOG」という店がそれ。最近できたらしい。若い夫婦と小さな子供と山羊が2頭いた。こんな山奥だが、結構、客が来ている。何れも若者達。アウトドア系カップルのデートコースなのか。何れにしてもこの店は、「山と渓谷」とか「岳人」ではなく(とは云え、この頃は何方もストイックさが無くなり、すっかり俗化したが)、「ランドネ」とか「PEAKS」に似合う感じがする。
2人の世界に浸ることは出来ない我々は、ともかく汗が引かないうちに缶ビールをゲットして、グビッとやる。店内は薪ストーブが焚かれているが、窓は全開状態。暖かさと解放感とコロナ対策をいいとこ取りということだ。あらゆる登山口(下山口)に、このような店が出来ることを願いたい。

01 名郷行バスはぎっしり。大半はさわらびの湯で下車。
02 名郷までやって来たのは我々を含め数名。8時48分
03 暫し林道を進む。
04 紅葉のグラデーション。
06 落ち葉で敷き詰められた林道。
09 復旧は大変だろう。
13 これから急登。
18 ウノタワに到着。11時5分
20 かつては池があってそれが湿地になり草原になったのか。
24 こんな標識もあった。
25 関東平野が見えた。
26 遠くに筑波山。
27 気持ちが良いい尾根。
28 風は結構強い。
29 西(左手)の方で風がゴウゴウ鳴っている。
33 折角なので大持山まで。
36 木々の間から武甲山。
37 肩まで戻り、また関東平野を眺める。
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38 木々の縞模様。
42 高度が下がるにつれ風が弱まる。
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44 一ノ鳥居の狛犬。13時29分
45 ちょっと武甲山側へ上がったところにあったカフェ。
47 やや寒いけどビール。
48 部屋の中は薪ストーブが焚かれていた。
49 山羊が飼われていた。かわいい。

「MAHOLLOBAR(まほろバル)」でビールを呑みながら女子連を待つ間、電子書籍で読書していた。ちょっとの時間なので、雑誌を読むためdocomoアプリの「dマガジン」を開くが、いつも持ち歩くタブレットではなく、今回は買い替えたばかりの最新スマホ、Xperia 1II。これは画面縦横比が21:9の、いわゆるシネマワイド。これで、通常の雑誌サイズ(ルート2(≒1.41421356):1)を読むにはかなり難があると気付く(「山と渓谷」とか、女性週刊誌サイズだったら尚更だろう)。
画面の上下の余白が大きくなり、そのせいで余りにも文字が小さくなるので、ページを繰る度にいちいち拡大しなければならない。これはちょっと厄介でスラスラは読めない。一方、いつものタブレット(Huawei MediaPad M5 Lite)は1.5:1なので、雑誌サイズにマッチしている。最新、必ずしも最善ならず、用途によって使い分けが必要だと勉強になった。閑話休題。
全員が揃い、「MAHOLLOBAR」を出る前に、今宵は何処で締めるか、やはり蕎麦屋がいいかな、まだこの時間(15時30分頃)では開いている店は少ないだろう、だったら西武秩父駅前の「そば膳」ぐらいか、と話が纏まったところで移動。「そば膳」はもう6年ぶりだ。
暖簾は出ていて安心したが、中へ入るとコロナ禍のせいか、店内はなんとなく薄暗く、先客は誰もいない。今日はもう客は来ないと思っていたのか、何となくやや気怠そうに(勝手な妄想です)花番さん(じゃなくて女将さん?)が出てきて注文を取る。もうさっきビールは呑んだので最初から秩父錦(1合800円)にする。つまみは、菜の花和え物(400円)とそば味噌きゅうり(400円)。そして最後は胡桃だれ蕎麦(700円)で締めた(写真、撮り忘れました)。

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「薬師の湯」でひと風呂浴びた後、タクシーに乗って秩父の街へ移動する。何処で打ち上げをしようかと話してみたところ、やっぱり秩父に来たら蕎麦、という話になり、でもこの時間だと開いている蕎麦屋は少ない。とりあえず西武秩父駅前で下車。
目の前に「駅前」がある。この頃義理を欠いていることを思い出し(その時の顛末はこちら。と云っても、店のオヤジは流石に覚えていないと思うが)、罪滅ぼしに入ってみることにした。ということで5年半ぶりの入店。
店に入ると、丁度先客が帰ったばかりのようで、まだテーブルの上には空いた皿や小鉢など、売り上げの痕跡が残っている。訊けば、更にこのあと17時半から予約の団体が来るという。「あんた等はついてる」とオヤジに持ち上げられた。オヤジの口の上手さは健在だ。
ビールで乾杯したら、いつものように付き出しが6品出て来る。今日はかぼちゃの煮物(小生はこのちゃんへパス)、シイタケの煮物、こんにゃく煮物、きんぴらごぼう、枝豆と、何れも素朴な料理である。これだけでかなりお腹が膨れるので(しかし、これだけで1,000円以上の突き出し代が掛かっているはずだ)、ビールはそこそこにして、日本酒(武甲正宗)に移行する。
一方、女性陣の目に留まったのは地元秩父が生んだ人気沸騰中のウィスキー、イチローズモルト。しかも廉価なモルト&グレーンブレンドではなくシングルモルト(ワインウッドリザーブだったら正規で買ってもボトル13,000円ぐらいはするはずだから、たぶん、1杯2,000円は下らないだろう)を所望。皆さん、美味しい、美味しいとグビグビやっていた。そりゃ美味しいでしょうよ。小生の日本酒の値段なんて可愛いもんだ。
その後、つまみにキノコ汁、せせり、わかさぎフライを注文。そして締めには蕎麦。とにかくよく呑んで良く喰った。店のオヤジがご満悦だったのは云うまでもない。個人的には、喉に刺さったままの魚の骨が漸く取れた感じで良かった。

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今日の山行は時間が掛かるコースだったので(歩いた距離は10km足らずだが、結局6時間半強もかかった、さすがは両神山だ)、山から下りる時間が遅くなったため、珍しく途中で引っ掛からずに帰ることにした。その代わりに、車内宴会のため仲見世で酒とつまみを仕入れる。
数ある秩父地酒の中から選んだ「武甲正宗・のんべえ」(720ml、1,300円税別)は、純米しぼりたて無濾過生原酒。包装紙が新聞紙。アルコール度数が19度もあるのでガツンとくる感じだが、フレッシュ感も旨みも酸味もあるので全体としてバランスは良いように思う。
西武秩父駅から乗ったのは、20時25分発の「特急ちちぶ52号」。レッドアローに乗るのも2年ぶりとなる。この時間ともなると、乗客はかなり疎らだ。ちなみに「のんべえ」は我々のような「呑ん兵衛」をさす訳ではなく、「呑もう」の秩父弁らしい。ともあれ、改めて登頂を祝して乾杯。
両神山に限らず、このような山に来てしばしば感じることだが、縦走するハイカーの何と少ないことか。我々のように八丁峠から山頂(剣ヶ峰)を経て日向大谷まで歩いたのは、少なくとも他には見掛けなかった(逆コースは2パーティと行き違った)。
一方、日向大谷からやってきてピストンで帰るハイカーは何十人もいたようだ(とても数え切れない)。恐らくは皆、自家用車でやってくるのだろうからそれはそれで仕方が無いことだが、単なるピークハントでは山の(今回は両神山の)魅力を半分も味わっていない。深田百名山の功罪のうちの「罪」な部分と云えるかも知れない。その意味では、我々は恵まれているし充実していると、密かに悦に入りながら「のんべえ」を味わった。

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この頃、新たなコンセプトの有料座席指定列車が、関東私鉄の間では流行りだ。その奔りは小田急のEXE30000形だと認識しているが、昨今の東武500系(リバティ)しかり、京王5000系しかり、そして西武の40000系しかり。京王5000系と西武40000系は共に、クロスシートからロングシートに切り替えが可能なスタイルだ。
平日、朝の通勤時はともかく、夕刻の帰宅時には身も心も疲れ果てて、ぎゅうぎゅう詰めの通勤電車なんかで帰りたくない、偶には座って帰りたい、できればビール片手に優雅に帰りたい、その為にはエキストラチャージを払うのも吝かでは無い、というオヤジ達のニーズに応え(というか足元を見て)、鉄道各社はならばと新たな儲けネタを考えた。
一方、JRはどうせ回送するはずだった特急車両を流用して、ホームライナーとして特急料金程ではないが金を取る算段を考えた。どちらも戦略的には同じだが、我々としては古びた車両の使い回しよりも、新型車両に乗る方がちょっとウレシイ。
西武の40000系車両を使った"S-TRAIN"は、平日は所沢~豊洲間を、休日は西武秩父~元町・中華街間を走るという、ちょっと変則運行。我々が乗る"S-TRAIN 4号"は、17時5分西武秩父駅発で、19時38分に元町・中華街に到着となっている。私鉄特急で約2時間半も乗るのは、関東では東武特急リバティ(東武浅草~会津田島間)に次いで長い。こんなに長いとなると、途中で腹も空いてしまいそうだし、酒の買い足しも必要そうだ。
嬉々として乗車してみると、確かに新しくっていいし、FREE Wi-Fiも電源コンセントもあって便利。唯一残念なのは、シートの上に吊皮がずらりとぶら下がっていること(たぶん、京王5000系も同じだろう)。ロングシートにしているときは当然、吊皮が必要なのは判るが、クロスシート利用時に吊皮がぶら下がっていると、どうもオフ感が無く、通勤中の様な感じがしてならない。クロスシート時に、吊皮が天井に収納されたら完璧だが、さすがにそこまでは無理な注文か。

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だいぶ前から、どうも西武鉄道が秩父に日帰り温泉を作るらしい、との情報は得ていて、やがて以前からあった仲見世が閉業し、西武秩父駅と御花畑駅の間を結ぶ近道が通行止めとなり、掘削用の櫓が建ち、建屋の工事がなされているのを、何かにつけて遠目に眺めていた。
そして漸く2017年4月24日に開業する、開業したとの情報にも接したが、やはり開業当初は客が殺到して芋洗い状態だろうと予想していたし、そうこうしているうちに小生はアメリカに飛ばされて、遠くから指を咥えている状態が続き(その間、レジオネラ菌騒動が2回もあって、その都度臨時休業を余儀なくされたことも知っていた)、12月になって何とか帰国の目途がついたところで、さっそく秩父の山旅プランに「祭の湯」立ち寄りを加えることとなり、今回に至った。
駅舎と一体化した建物は、赤と茶色を基調として祭りの山車の雰囲気を出しているらしい。随分と立派だが、個人的には「クラブ湯」や「御花畑駅駅舎」の佇まいの方が味があって好みだ。ま、ともかくも入ろう。1階はかつての仲見世と同じ機能を持たせているようで、土産物屋や食事処、立呑みコーナーまである。
風呂場は2階。入浴料は1,080円(土日祝日)と、この界隈では一番高額。「クラブ湯」だったら3回入れるが、それはそれ。4つある露天風呂のうち「花見湯」に入ってみる。札が掛けられていて「鳴子の湯」となっている。つまりこれは人工の温泉だ。露天風呂の「岩風呂」だけが天然温泉(含ヨウ素-ナトリウム-塩化物泉)とのこと。湧出量が少ないのだろうか。
風呂から上がったら、1階にある「秩父湯台所」という店へ入ってみた。ここは「祭の湯」直営の食事処、酒も料理もかなり充実している。汚らしいリュックサックを置くのが憚れる程、床もテーブルもぴっかぴか。先ずアサヒエクストラコールド(570円)と、豚味噌焼き(500円)を注文。更に足りなくなったので武甲正宗本醸造燗酒(550円)も頼んだ。風呂はともかく、食事処、呑み処はこの店以外にもかなり充実しているので、何度か足を運んでみないとよく判らない。それまでは、秩父駅界隈の店(例えば「駅前」)に無聊を託つことになりそうなのが悩みだ。

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「正丸売店」でひと息入れたあと、飯能行各駅停車に乗車。乗車率は半分ぐらいだろうか。この時期はせいぜいこんなもの。奥武蔵に来るのは、やっぱり冬が良いと改めて感じる。それでも我々6人が纏まって座れる程は空いておらず、ちょっとだけ離れて座る。
車両は、今朝と同様、4000系。セミクロスシート仕様だが2ドア式なので、ほぼクロスシート車両と云ってもいいだろう。東武が会津鬼怒川線に乗り入れている東武6050系と似たような車内設備構成だが、大きな違いは東武6050系には折りたたみ式テーブルがあること。朝(往路)はどうでもいいが、これがあるとなしでは、復路の行楽感がだいぶ違ってくる。西武には是非、東武を見習ってもうちょっと善処願いたいところだ。
ボックスシートが確保できたので、やおら酒ボトルを取り出し、ちびちびやる。今日も先日の「笑四季・特別純米白ラベル火入れ」の残りだ。これまでだったら、だいたい1週間で一升瓶がなくなる勘定だったが、今週は胃の具合がいまいちで、あまり家呑みもしなかった。消費量が減ることは、もちろん家計費(小遣い)的にも、近くにある小学校での廃品回収の際に空瓶を出す本数が減って、カミさんが恥ずかしい思いをしなくても済むという上でも、好ましい傾向ではある。
つまみはさっき「正丸売店」で買った「秩父B級グルメ・みそポテトチップ」。みそポテトをつまみにするにはちょっと腹に堪えるが、チップだったらOK。このポテトチップは、秩父産の「借金なし大豆」という品種で作った味噌を使っているという念の入れよう。ちなみにこの「借金なし大豆」は「借金を為す(返せる)ほど収量が多い」という品種らしい。肝心のポテトチップの味は正直云って、う~ん、可もなく不可も無いって感じ。
パッケージには、秩父市のイメージキャラクター「ポテくまくん」が描かれている。横瀬町のイメージキャラクター「ブコーさん」よりは女性ウケがよろしいようである。

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元々、この日は赤城山に登る計画を立てていたが、その週の月曜日、つまり1月22日にそこそこ雪が降ったので、こりゃスノーシューでも無いと登れそうにないかなと判断し、計画を変更することにした。そこで思い付いたのは飯能の先、奥武蔵の低山だった。
飯能市を貫く吾野川の、源流域である顔振峠から刈場坂峠あたりは、尾根上を立派な車道(奥武蔵グリーンライン)が貫いているので、たとえ眺めが良くても緑が奇麗でも、車がバンバン走る脇をとことこ歩く気はなかなか起きない。
そうなるとここへ来るための条件は、道路が凍結するか積雪するかして、車が入って来れないこと。つまり冬のこの時期しかない訳だが、偶々1月22日に降った雪は、赤城山だったら負担だが、奥武蔵だったら丁度良い雪なのではないかと思い至った訳。
結果、程々に雪は積もっていたし、雪の無いところでもガッチガチのアイスバーン。果たして車は上がって来られず、甚だクレージーなオフロードライダーひとりを刈場坂峠で見掛けただけだった(同程度にクレージーな単独トレイルランナーが薄着で走っていたのと、我々並みにちょっとだけクレージーな単独行スノーシューハイカーとすれ違った)ので、広い車道はほぼ我々だけの世界。概ね良い天気で申し分ない。虚空蔵峠から旧正丸峠までは、本格的な雪山を味わうことが出来た(山の記録はこちら)。
旧正丸峠から一気に下れば、ほぼ1時間で正丸駅に到着。そのまま駅には向かわずに、隣りにある「正丸駅売店」に入る。およそ3年ぶりだ(前回はこちら)。中はストーブが焚かれていてぽっかぽか。先客は何処かの工事現場帰りの作業服姿が4名程だけ。スパッツを外すのももどかしく、ビール(ロング缶)を購入。汗が引かないうちに、ビールをグビッと呑むことが出来た。ありがたい、ありがたい。

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「梵の湯」でまったりしたあと(今日は美の山公園でも、1時間もまったりランチしたので、とてもゆるい一日だ)、タクシーで皆野駅に出て、御花畑駅で下車。
西武秩父駅へ行くための近道は、日帰り温泉施設工事中のため通れず、車道沿いに廻り道。西武秩父駅前に建設中の日帰り温泉施設「祭の湯」は、だいぶ外観が出来上がって来た様子(4月24日開業予定とのこと)。何だかパッと見は、高尾山温泉に似た感じがする。
高尾山口駅と同様、駅前にあって便利なので、開業した暁にはさぞや混むことだろう。話の種に、少なくとも一度は覗いてみる必要はあるが、秩父は春夏秋冬を問わずシーズンオフは無いので(冬でも祭やら、霊場巡礼などがあるので)、そのタイミングは難しい。何れにせよ、開業して暫くは静観していた方が無難だろう。
周りの温泉施設や飲食店は、多かれ少なかれ客を取られるだろうから、むしろそっちが狙い目。暫くご無沙汰の「駅前」は、そろそろほとぼりも冷めただろうから(何故、冷却期間が必要だったかは、こちらをご覧いただきたい)、そろそろ覗いてみるか。
15時25分発の特急ちちぶ32号に乗車。つい3週間前(そのときのレポはこちら)にも乗車したばかり。今宵は飯能に引っ掛かっていこうと云う魂胆なので、特急料金は400円で、乗車時間は40分。このちゃんが持参してくれたアヒージョを突きつつ、日本酒をちびちびやれば、飯能なんてあっという間だ。

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妙法ヶ岳登頂後は、三峰神社の興雲閣にある「三峯神の湯」に浸かるつもりだったが、思いの外、時間がかかり、予定バスの時間まで残りわずか。湯に入ると必然的に次のバスとなり、「久呂無木」到着時刻は確実に1時間遅くなるので、涙を呑んで今日は立ち寄り湯は無し(しかし、ビールはしっかり呑んだ)。やはり雪があると、それなりに時間がかかる。
同じ話は、路線バスについても云える。三峰神社BSを15時35分発のバスに乗り、三峰口駅で5分の待ち合わせで、池袋行直通の快速急行に乗る予定だったが、バスはスリップに注意してゆっくり走ったせいか、定刻を少々遅れ、ぎりぎりアウト。バスの運転手も、三峰口駅改札口に居た駅員も、待ち合わせをしてくれるのか、くれないのか、何も云ってくれない。
走って切符を買って(秩父鉄道はPASMO・SUICAが使えないので、一つずつしかない券売窓口と券売機に8人で群がって切符を買う必要がある)、もたもたしているうちに結局乗れなかったら最悪だ。(駅員が直通電車を停めていてくれない限り)あえてリスクは取らず、そのまま終点の西武秩父駅までバスに乗り、次の特急レッドアローちちぶ40号に乗ることにした。「久呂無木」到着時刻は、20分ほど遅くなるが仕方が無い。予定外だが、500円払って優雅に行こう。
そうとなれば、車内から酒盛りだ。リュックサックから取り出したのは、「積善・純米・ヒマワリの花酵母」。前回呑んだ、「りんごの花酵母」と較べて華やかな香りは抑えめだが、酸味とこくのバランスが程良く、飽きがこない感じ。酵母の違いだけで、これほど味わいに差が出るとは、改めて驚く。ということは、酵母はただ単に、エチルアルコールと二酸化炭素を生成させるだけではなく、様々な微量の副生成物を作っている訳だ。例えば「りんごの花酵母」だったら、他の酵母と較べてカプロン酸エチルを多めに作る「癖」がある、という具合に。酵母の世界はなかなか深い。杜氏になったら病みつきになるかも知れない。
「積善・純米・ヒマワリの花酵母」を味わいながら、「特急ちちぶ」の車窓からとっぷりと日が暮れた外を眺めていると、列車のスピードが緩くなったかと思ったら、怪しい色にライトアップされた、芦ヶ久保の氷柱まつりが一瞬見えた。 

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2015年最後の山行は、武甲山御嶽神社の一ノ鳥居から反時計回りで武甲山、小持山、大持山と巡り、妻坂峠からまた一ノ鳥居へと戻ってきた(山の記録はこちら)。歩行距離はさることながら、それなりにアップダウンがあるので、結構歩きでがある。久々参加のWoodyさんは、歩いている最中から筋肉痛になった、と仰っていた。一方、和尚には特段の支障が見られなかったのは、まがりなりにも月1回以上は参加している成果であろう。
山から下りれば、先ずは温泉で温まりたい。横瀬界隈で最寄りとしては、武甲温泉か丸山鉱泉だが、本日の参加者に意見を募ったところ、武甲温泉には(小生以外)誰も入ったことが無いとのこと。ならば行ってみようかと、予約していたタクシー2台に分乗し、武甲温泉へ。調べてみると、前回はもう9年も前のことだった(その時の記録はこちら)。
外観は、それこそ9年前とは変わっていないように見受けられる。駐車場に止まっている車の数が、心なしか少ないような気がするが、気のせいか。玄関を入って左手が靴箱、正面がフロント。券売機で入浴券(800円)を購入して、フロントに提出する。右手へ進むと、真正面に大広間休憩室がある。いわゆるここが我々の集合場所。左手へ進むと風呂場。ここの湯は高アルカリ性で、いわゆるつるすべ系である。
洗い場も湯船も、やっぱり客は少なめ。年末のせいもあるだろうが、やや集客力が下がっている気もする。来年には、西武秩父駅前に新たな日帰り温泉ができるそうだから、とても安穏とはできない筈。
露天風呂に浸かっていると、何やら普通に服を着た人と、武甲温泉の袢纏を着た職員が揃って男風呂へやってきて、目の前をうろうろ。取材だろうか、それともリニューアル工事費見積の下見だろうか。西武日帰り温泉への対抗策を検討中なのかも知れない。それにしても、風呂場に普段着の人間がいると、なんだか落ち着かないものだ。
風呂から上がったら、大広間へ直行。料理は大広間のさらに奥にある厨房で注文するのだが、生ビールだけは、喫茶コーナーで買う仕組み。大広間はガラ空きで、寂しい程。舞台には、毎週木曜日は荒川劇団の公演があると書かれているが、その時はそれなりに客がやって来るのだろうか。何となく、今後の行く末が気になる武甲温泉である。

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武甲温泉のHP: こちら

湯上りビールを何処で呑むか、というのは毎度常に付きまとう課題だが、今回は予めみんなに、「クラブ湯」の後は、西武秩父駅前の「駅前」に集合と宣言していた。しかし、「クラブ湯」で汗を流したあと、西武秩父駅方面へ歩きながら、ふと思った。今回は後に西所沢「久呂無木」再訪が控えている。隊長はそれまで喰い物は控えたいと云っている。
「駅前」は、店の親爺の勧めに従い、次々に出てくる珍しい料理をいただくのがウリ。「駅前」に入ってビール呑むだけという選択肢は、普通は無い。そんなことすると、親爺店主が悲しそうな顔をするのは間違いない。ではどうするか。
と思いつつ秩父仲見世までやって来た。ここには広場があって、観光客がプラスチックテーブルで思い思いに清涼飲料を飲んでいるかと思えば、ビールを呑んでいる奴らもいる。広場の隣りに目をやると、立呑み屋台(やきとり省松)があって、生ビールも売っている。そっか、ここで良いじゃん!ここならば軽く呑むことができ、しかも「駅前」に向かうであろう後続部隊をキャッチできる筈。さっそくテーブルを確保し、「省松」で生ビールとやきとりをゲット。
胡桃だれのやきとりとは変わっているなー、などと味わいつつ、ビールをぐびぐびやって後続を待つが、なかなかやって来ない。だんだん心配になってきたので、なおちゃんに電話をすると、見逃したのか、丁度「駅前」に入ったところだったようだ。こっちの場所を伝え、出て来ていただく。なおちゃん曰く、「親爺から、おしぼりを手渡されるところだった」ようである。あぶない、あぶない。隊長と和尚は別動の様だが、やはりキャッチできない。今度は隊長に連絡を入れると、またしても「駅前」に入ったところだったようだ。同じように、出て来てもらう。「駅前」の親爺の呻き声が聞こえてきそうである。誰の仕業か判らないとは思うが、今度「駅前」に行くのは、ほとぼりが冷めてからの方が良さそうである。
ともあれ、広場に全員集合し乾杯。持参の日本酒やつまみも取り出し、安上がりに盛り上がったのは云うまでもない。

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(西武秩父駅前にあるから?)「駅前」という、極めてストレートな名前の店。調べてみると、およそ8年半ぶり(前回はこちら)の入店になる。相変わらず元気なこの親爺店主は、ちょっとユニーク。語り口がとても気さくで、初対面の誰とでも古馴染みだったような雰囲気にさせる特異キャラクターの持ち主である。この店のシステムもメニューも、店主並みに、ちょっと他の店とは変わっている。以前来たときには、せせり(鶏の首肉)やオクラの花を食べさせたり、メロンにブランデーを注いだ飲み物(カクテル?)呑まされたりした。どれも親爺の自慢通り、結構イケる。他に、熊鍋とか鹿刺なんてものもある。
親爺は先ず、来た客に、何時頃帰るつもりなのか、どのくらい呑みたいのか、予算はいくらなのか等々、単刀直入に訊く。今回、我々は「パリー食堂」でちょっと食べた後だし、打ち上げは所沢にするつもりなので、殆ど久しぶりの状況確認のようなもの。料理は一品ぐらいで、酒も一杯だけですぐ出ると返答。すると親爺はモチベーションががくっと下がったようで、もうあれはどうだ、これは美味いぞなんて訊かなくなり、付き出しを食べたらどうだ、と云うところに落ち着く。付き出しと云っても、煮しめなど5種類も出てくるので、結構楽しめる。酒は、武甲正宗をもらう。このちゃん、なおちゃんは熊笹茶で一旦休み。この熊笹茶、天然ものを愛する親爺の自慢らしいが、お世辞でも美味いものではない。
我々の前にはテーブル席にひと組の客だけだったが、あとからあとからドヤドヤと入ってきて(何れも中高年ハイカー集団)、小上がりはいっぱいになった。親爺は、客が背負ってくるリュックサックを邪魔者扱いにしたいようだが、この店にはそんな客しか来ないので、ジレンマに陥っているように見える。できれば普通の観光客が来て欲しいようだ。
折角、久しぶりに入ったので、せせりを注文してみる。上客と認められなかった我々からの追加注文なので、ちょっとまて、と仰る。このちゃんが、乗りたい電車の時間を伝えると、大丈夫だから待ってろ、と胸を叩く。やがてその言葉通り、せせりがやってくる。塩コショウのシンプル味付け、ちょっと弾力があってシコシコして、これはこれで珍味かも知れない。丁度良い時間になったので、また来るよ~、と店を後にした。

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せっかく秩父に繰り出したのだが「パリー食堂」だけでなく「駅前」にもふられたので、やむをえず「駅前」の下にある「そば膳」に入った。もちろん「やむをえず」と云ったのは、当初の目論見に入っていなかったというだけで、この店が不味いという意味ではない。くるみそばが名物と云うことになっていて、だいぶ前に一度食したことがあった。その頃は、蕎麦以外の一品料理があまり無かったように記憶していたが、入口や壁に張られたお品書きを見ても、だいぶ変わってきたようだ。
秩父名物と云えば、味噌ポテトや豚味噌漬け、ホルモン焼き等が思い浮かぶが、ここにはそれは勿論のこと、鍋物や、それ以外、普通の蕎麦屋には置いていない一品料理もかなりあって、我々酒呑みには嬉しい限りである。やけに蕎麦に自信がある店だと、蕎麦か天麩羅ぐらいしかつまみになるものがないが、いくら蕎麦が美味かったとしても、酒呑みにはちょっと寂しい。
店には、我々の後から来たグループも含め、山帰りが3グループ7名(我々も含めると4グループ9名)、登山姿以外のお客もいて、それなりに繁盛している様子。場所柄、やはり西武秩父線で帰る客が、電車の時間を見計らってやって来るのだろう。その意味で、この店は実に良い場所にある。
こちらは小上がりに腰を落ち着けて、日本酒(秩父錦)と焼酎蕎麦湯割りでスタート。つまみは牛筋だいこん、豚肉豆腐鍋、きつね焼き、そして蕎麦味噌。牛筋だいこんの大根は、しっかり味が染み込んでいる。豚肉豆腐鍋は固形燃料で温めるスタイル、これも味加減が丁度良い。こりゃ酒がすすむ。
締めはもり蕎麦。平打ち麺で、つなぎにこんにゃくでも使っているのでは、と思わせるほど、しこしこ、ぷりぷりでつるつる。記憶以上に満足度が高い蕎麦であった。

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芦ヶ久保駅前の道の駅で一息ついた後、下りの西武秩父線に乗り西武秩父駅へ逆モーション移動、タクシーに乗り込む。わざわざの目当ては丸山鉱泉に浸かることにある(芦ヶ久保駅のひとつ先、横瀬駅から登り約2kmを歩く手もないことはないが、すでに身体はビールで弛緩状態)。この鉱泉は、丸山に登って直接下りてくるには絶好のシテュエーションにあるのだが、これまで機会に恵まれず、且つ、もう丸山は様々なルートから何回も登っているのでなかなか食指が動かない。従って、今回は芦ヶ久保から強引に行くことにした。
ここは名前は鉱泉だが、泉質は温泉法による成分規定を満足していないらしい。そのせいか、ここのウリは薬草風呂と云うことになっている。でも入った感じでは、それほど薬草臭さは感じられない。湯温も丁度良い。風呂は宿泊者用と日帰り客用と別れていて、後者は「花悦の湯」という名前が付いており、旅館棟とは別建屋にある。シンプルな造りだが、清潔感がありかつ湯治場の雰囲気も併せ持っていて、居心地はかなりいい。旅館でありながら、独立した立ち寄り湯を経営しているのは珍しいかも知れない。受付の脇にはビール、チューハイの自動販売機があり、乾きもののつまみも売っていて(一応、飲食物持ち込み不可である)、その奥は畳敷きで結構広い休憩室がある。窓の外は木々の間から武甲山も望める。
ここの魅力は山の中腹にあって自然に囲まれていること、露天風呂からも休憩室からも武甲山が望めること、そしてかなり空いていること(男子風呂場は先客2名のみ、休憩室は2組のみ)と云っていいだろう。実際、武甲温泉などは何時行ってもかなり混んでいるのが普通だ。それにひきかえここは静かで、思った以上に高台にあり、辺りには建物が無いので、空に近い感じすらする。秩父界隈の他の風呂ではなかなか味わえない。帰りに呼んだタクシー運転手は、個人的にはイチオシだと云っていた。ちなみに武甲温泉には入る気もしないとのこと。正直で結構だが、秩父の観光が衰退するとタクシーの売り上げにも響くと思うので、そんなことは余り軽々しく公言しない方が宜しい(と云いつつ、ここで書くのも如何なものか)。代わりに、武甲温泉に足りないのは何で、どう改善したら良いかを具申しては如何だろうか。良い温泉が一つでも増えることは、我々利用者にとっては大歓迎なのだから。

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丸山鉱泉のHP: こちら 

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