山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

造り酒屋

2日目は米沢市街に出て完全観光モード。ちょっと調べた範囲では、街なかでは意外に観光名所は少なく、主だった所は米沢城址にある上杉神社ぐらいか。そこで、いちおう上杉神社へ行くついでに、「東光の酒蔵」という小嶋総本店の展示館へも寄ってみることにした。
駅前でリュックサックをコインロッカーへ預け、左回り循環バスに乗る。バスの外装には、ますむらひろし氏(米沢市出身とは初めて知った)が描く「アタゴオル」と云う漫画のカット絵がラッピングされていた(こちらをご覧あれ)。こんなところで「ヒデヨシ」に出会うとは思わなかった。
大門一丁目BSで下車すると、酒蔵の煙突が見える。入口で、310円支払って入館。売店(含、試飲コーナー)に直行するのであれば、別に入館料は不要なのだが、折角なので見学。なんだかんだ、この手の施設は結構見学しているが、ここは展示が大規模だ。もちろん、かつて使っていた設備を展示しているだけなのだが、かつて職人が働いていた頃の雰囲気が伝わってくる感じ。
この酒蔵は、慶長2年(1597年)創業と云うからかなりの老舗。関ヶ原の戦いは慶長5年、上杉家の米沢移封は慶長6年なので、それ以前からあることになる。
展示もなかなか見応えがあったが、試飲コーナーがとても充実しているのが特徴。高級な酒は200~300円と有料なのだが、それでも純米吟醸なども含め、ざっと10種類ぐらいは無料で試飲が出来る。全種類を呑むとそれだけでかなり酔える。ついでに云えば、漬物など、つまみになるものも試食が出来るのでとても有り難い。ここは呑ん兵衛にとってはパラダイス、これだけで入館料の元は取れる。ありがたや、ありがたや。

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松田に来ると何度となく、造り酒屋の「中澤酒造」の建物や敷地を眺めている。ここが醸す「松美酉」も、山から下りたら何処かしらで呑んでいる。今回も、「松田健康福祉センター」でひと風呂浴びた後、桜鍋をつつきに「肉八」へ行く途中、ふと道の両側にある中澤酒造の敷地見渡してみると、倉庫を開放していた。
何かイベントをやっていたようだ(訊けば、酒蔵コンサートをやっていたとのこと、もう終わってしまったらしい。どんな音楽だったか判らないけど、ちょっぴり残念)。まだ即売はやっている様子だったので、折角の機会なので覗いてみた。
「中澤酒造」は文政8年(西暦1825年)創業。小田原藩御用達の日本酒を造っていて、「松美酉」という酒銘も藩主に付けてもらったそうな。そう云えば、山形・庄内の酒「楯野川」も藩主命名だと聞いたことが有る。探せばもっと有るかも知れない。やはり殿様に付けて貰ったとなれば、箔が付くだろうし、美味さも保証付きということになるだろう。
倉庫に並んだ銘柄を物色していると、亮・特別純米・河津桜酵母仕込という酒が目に留まる。どんな香りがするのか興味深いので買おうとしたら、もう売り切れとのこと。残念。ならば代わりに、酉年限定酒がよさそうだ、と思ったらやはり完売とのこと。やはり、この時期限定というキャッチコピーに皆さん弱いようである。それではスタンダードに、純米しぼりたて美山錦(四合瓶1,400円税別)を買ってみた。家に持ち帰り数日後、どうかなと口を開けてみると、爽やかな風味。「こりゃいける~」と、すいすい呑んでいるいるうちに、あっという間に1本呑み切ってしまった。また、次の山の機会に買いに行かねば。

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別所温泉観光の後は、再び上田電鉄に乗って、上田へ移動。今度は、旧市街を歩いてみようと旧北国街道沿いにある柳町へ。目当ては、「亀齢」を醸す岡崎酒造。この頃、すっかり「亀齢」の知名度が上がったのは、女性杜氏(当主でもある)のせいか、雑誌やテレビでの露出度が高くなったためらしい。昨年は、「真田丸」が大河ドラマだったため、地元、上田も観光地として人気が上がって来ていることもあるだろう。
岡崎酒造の外観は白壁造りで、この街道の風情に溶け込んでいる。吊るされた杉玉には、〆縄が付いている。創業は寛文5年(1665年)というから、もう350年も経っている超老舗酒蔵である。
「亀齢」を呑むようになったのは、ごく最近のこと。生産量がわずか120石(=21.6キロリットル)とのことなので、人気となれば、なかなか巡り合うことも少ないのだろう。なお、同じ名前で広島にも「亀齢」を醸す亀齢酒造があり、紛らわしいせいか、岡崎酒造のラベルには「信州亀齢」と書かれている。こちらが正式名なのだろうか。
 直売店で、利き酒をさせていただく。応対してくれた女性が杜氏兼ご当主か。つい意地汚く、タダですか、おいくらですか、などと訊いてしまうが、無料であるとのこと。小さい酒蔵なのに、細かいことを云わないのが潔い。
「亀齢・うすがすみ・特別純米生酒」と「純米・小境屋平助」、「上田城」を呑み比べてみて、小境屋平助(1,550円/720ml)を購入することにした。ちなみに「小境屋」とは、岡崎酒造の屋号のことであり、「平助」は代々、当主が襲名していたそうな。だけど今は女性当主なので、「平助」って名を襲名したのかどうかは判らない。
ふと、見上げると壁に、花鳥風月を描いた、丸い板絵が6枚飾られている。川船水棹という明治時代の日本画家が描いたものらしい。直売店の脇には、相当古そうな雛人形が飾られていた。歴史がある酒蔵だと、何気ないものが良い雰囲気を醸している。

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「梅乃里」で酒と蕎麦をいただいた後は、バスの時間まで未だ少々あるので、直ぐ傍の「佐藤酒造店」に入った。ここで醸す日本酒は「越生梅林」という銘柄。個人的にお気に入りの一つである。
もう20年以上前だと思うが、先代(5代目)がやっていた頃から、何度か寄ったことがある。造り酒屋で日本酒を一升瓶で直接買った経験は、ここが初めて。最初はやはり、梅見に来たとき、「梅乃里」と同様、ふと目に付いたので入った。越生にはもう一軒、「来陽酒造」という造り酒屋があったが、残念なことに(一度も味わうことのないまま)いつの間にか廃業してしまった。
その頃の「佐藤酒造店」の小売店頭は、今の様に小奇麗な建物ではなく、昔ながらの町屋風の味のある店構えだった。そもそも店頭で買いに来る客も少なかっただろうと思う。今でこそ、埼玉の地酒と云えば、「神亀」や「亀甲花菱」、「花陽浴」、「鏡山」などを呑むことがあるが、それまでは、ここ佐藤酒造の「越生梅林」と神亀酒造の「ひこ孫」しか呑んだことが無かった。
どちらも呑み飽きない酒。特に「越生梅林」は、芳醇な割には、喉に引っ掛からずにするりと呑める。「ひこ孫」は近所の蕎麦屋で呑む時の定番で、比較的呑む機会に恵まれている。一方の「越生梅林」は、生産量が少ないのか、この越生や川越界隈でないとお目にかかれなかったが、今は通販の時代、その気になれば(配送料を気にしなければ)、いつでも手に入る。良い時代になった。
店に入ると、ズラッと並んだ銘柄をひと通り眺め、山廃純米と純米酒のどちらにしようかと少々悩んだ末、純米酒の四合瓶を購入。Woodyさんは前掛け(エプロン)を、のんちゃんは特別本醸造を購入。個人的には袢纏を買ってみたい気もしたが、何処で着たら良いのか判らないのでやめた。 
この酒造は現在6代目だが、将来の7代目は女性で、しかも既に杜氏をやっているとのこと。新たな酒が生まれるのか、楽しみである。実はここで試飲をしたことが無い。3月には試飲会があるそうなので、何とか機会を作って来てみたい。

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山形蕎麦を存分に味わった後、山形市街へ向かって移動。しかし、まだ観光ツアーは終わらない。ツアコン・アユラシが事前リサーチした店に点々と連れて行ってもらう。
大石田にある団子屋「最上川千本だんご」は、もの凄い人だかり。皆、辛抱強く順番待ちしている。ここは、単に店頭販売だけでなく、イートインコーナーで喰っている人もかなりいる。その場合は、ここで炙って出されるものを喰っているようで、アユラシも、出来たてを喰うのが最高、ここで喰うと他のだんごは喰えない、とのこと。さっき、蕎麦を手繰ったばかりなので、ちょっとここでは遠慮したが、別腹の女子連はだんごを堪能。
その次は、東根にある麩の専門店「文四郎麩」。山形は焼き麩の産地でもあるようだ。この店は文久年間創業と云う老舗。麩は、軽くてお土産に最適。有り難く「車麩」を購入。ここには、麩料理店まであるが、残念ながら時間もないし、腹も一杯(そもそも、ここは予約制か?)。是非、またの機会にしたい。
さらに南下し、次に寄ったのは天童にある「出羽桜酒造」。酒蔵そのものは開いていない様子、直ぐ隣に「仲野酒店」があったのでそこを訪問。様々な種類の「出羽桜」を並べているものの、それ以外の日本酒や焼酎、ワインも置いてあるので、直営店ではないようだ。あとで調べてみると、出羽桜酒造の社長の名前が仲野さんなので、この酒屋は家族か親戚がやっている店なのかも知れぬ。
店は女性二人が接客。早速、試飲できますか、と尋ねると、OK、しかも無料と、太っ腹である。有り難く試飲させていただく。ずらりと並べてくれたが、出羽桜の吟醸で一番高級な「一路」は、ダメなようである。其々、味わわせていただく。「出羽桜は」昔から吟醸系で有名。そのせいか、特別純米酒なんて、見たことも無かったし、さらに「山廃特別純米酒・ひやおろし生詰」なんて、そもそも造っているなんて思わなかった。口に含んでみると、なかなかふくよかでズシンと厚みがある感じ。なかなか手に入らない代物だと思うので、この四合瓶をいただくことにした。やー満足、満足。 

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「高山の酒蔵巡り」の4軒目は、「平瀬酒造店」。旧市街の、三町筋に7つある造り酒屋で、ここだけはちょっと離れて上一之町にある。主要銘柄は「久寿玉」。昨日、「宝山荘」でも呑んだ馴染みの酒。元和9年(西暦1623年)創業。HPには、菩提寺の過去帳での記載が元和9年ということで、創業はそれ以前なのかもしれない。何れにしても創業400年近いということで、古い商家が多い高山でも、指折りの長寿企業である。
同じHPには、「・・・元禄10年(1697)の造酒屋帳に高山の造酒屋56軒が記載されておりますが、その中に平瀬屋六助の名があります。・・・」との記載がある。高山に、56軒もの造り酒屋があったとは驚きだ。同じ元禄10年に、灘では26軒の造り酒屋があったとの記録があるので、高山は、灘よりも遥かに大きな日本酒産地だったようだ。一方、もう少し前の1657年(明暦3年)の記録では、伏見の酒造家は83軒とのことで、当時、伏見が日本一だったらしい。閑話休題。
何れにしても、高山で、元禄時代から存続している酒蔵は、先の「二木酒造」とここ「平瀬酒造店」だけのようだ。
店に入ると、ここも天井が高い。酒蔵で天井を高くする理由はなんだろうか。ここにも客は我々6人だけ。若い男性(15代目当主の市兵衛さんか?)が応対してくれる。口数も少なく目線は下げたままなので、商人と云うより職人らしい実直さを感じる。
さて、試飲させていただこう。「久寿玉」の手造り純米(100円)にしてみた。これは「飛騨ほまれ」という地元酒米が原料。地元に酒米があるというのも、高山の歴史を感じさせる。呑んでみると、旨味と酸味のバランスが良く、余韻も悪くない。呑みごたえはあるものの、呑み飽きのこないタイプ。
いろいろ呑んでみたが、この手造り純米が普段呑みには良さそうということで、四合瓶をお買い上げ(1,328円)。ご当主の生真面目さも、ポイントに入ったかも知れない。これでひと通りの酒造には寄ってみたが、まだまだ試飲した銘柄はごく僅か、とても満足できない。今度は、祭りの頃にでも来てみたい。

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「高山の酒蔵巡り」の3軒目は「川尻酒造場」。江戸末期、天保10年(西暦1839年)の創業とのこと。黒塗りの板壁や格子戸が雰囲気を出している。この佇まいは、きっと昔のままなのだろうと想像する。「川尻酒造場」も、さっき入った「平田酒造場」、「二木酒造」と同様、上二之町筋にあるので、多くの観光客で賑わっている上三乃町の通りとは違って静か。この店に入る客も殆どいない。上二之町には、土産物や小物を売っている店が少ないせいだろう。おかげで、こちらとしては心ゆくまで試飲ができるというもの。
ここ「川尻酒造場」の主要銘柄は、「ひだ正宗」だが、基本的に古酒に特化した品揃えのみ(絞りたての「おり酒」は除く)。この頃、古酒そのものは珍しくなくなったかも知れないが、それだけに限定すると云うのは、かなり偏屈珍しいというか、相当なこだわりを持った造り手であると感じる。
建物のなかは、昔ながらの商家の造り。ここも天井が高い。帳場に座っている男性(たぶん、ご当主だろう)に200円を支払って、熟成古酒の、「山ひだ純米酒」 2002BY(Brewary Year;2002年7月から2003年6月までに仕込まれた酒、という意味)をいただく。女子連はもう、昼食まで「日本酒はひと休み」モードに入ったようである。
猪口に注がれた「山ひだ」は、古酒特有の、やや淡い琥珀色。口に含んだ感じは、かなり強い旨味と酸味、やはりこれもう、日本酒と云うより、ドライなシェリー酒に近い。昨今は何かと、吟醸酒が流行りになっているが、この酒は全く別世界。吟醸香は欠片も感じず、ナッツのような熟成香が広がる。意外に爽やかさを感じるのは、冷たいせいかもしれない。これだったら確かに、日本人よりも欧米人の方が気に入りそうだ。
この「山ひだ」 2002BYは、四合瓶で2,430円と、先ほどの平田酒造の「酔翁」よりもずっと良心的価格だが、なんとなく踏ん切りがつかず、購入を見送りとした。今考えてみれば、この酒、生産量が少ないせいか、通販での入手は難しそう。やっぱり買っておけば良かったと悔いが残る。この次に高山に来るチャンスがあれば、なんとかここに来て、手に入れたい。

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高山の酒蔵巡り。2軒目は、「二木酒造」の直ぐ下(しも)にある「平田酒造場」へ。主要銘柄は「山の光」。何をイメージしたのだろう、考えさせるネーミングである。ここも建物の構えは酒造らしく、大変立派だが、中に入ると右手に帳場のようなカウンター受付。奥に小さなテーブルと椅子がいくつか並んだ、こじんまりしたスペースが試飲処。更に奥が蔵になっている様子。
天井は低く、間口も奥行きも無いせいだろうが、ここにも客はほとんどおらず、偶に入って来てもぐるっと見回すだけで、すぐ出て行ってしまう。従って、ここでも試飲する客は我々のみ。
其処彼処には、「酔翁」という酒の紹介が為されている。いわゆる古酒で、20年以上熟成されたものとのこと。曰く、「2007年~2009年全国酒類コンクール 3年連続古酒部門1位入賞」とか、「IWC(国際ワインチャレンジ)SAKE部門・古酒の部で金賞・トロフィーを受賞」とか。720mlで7,000円と、ちょっと高級品すぎて手が出ない感じだが、試飲コーナーにも置いていない。それだったら、ここで「酔翁」の宣伝をしても始まらないと思うのだが、そんな突っ込みはともかくとして、それ以外の酒を呑んでみよう。
ここで、利き酒(猪口1杯ずつの有料)ができるのは5種類。うち3つが「飛騨の華」で、残りの原酒・蔵酒とにごり酒が「山の光」と思われる。カウンターで100円を支払い、「山の光」原酒・蔵酒をいただく。原酒らしく、つーんと来るが、その割にはまろやかな感じ。このちゃんは、にごり酒。味見をさせて貰うと、もろみが入っている分だけ、さらにまろやかで旨味も強い。どちらも、やはり昔ながらの酒、という感じがする。
「飛騨の華」の大吟醸も試飲してみたかったが、未だ先があるので一杯だけで仕舞。今回、「酔翁」は味見が出来なかったので、この次に機会があれば、是非呑んでみたい。原酒・蔵酒のストレートな感じが20年でどうなるか、ちょっと興味がある。何とか試飲できるようにして貰えないだろうか。猪口一杯、500円もするようであれば諦めるが。

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双六岳&笠ヶ岳ツアーの最終日は、バスで高山に移動して観光。観光と云っても、小生の独断と偏見により、酒造巡りに付き合って貰うことになった。個人的に高山は半年ぶり。高山の旧市街には、7軒の造り酒屋があるが、そのうち、今年の2月に3軒(舩坂酒造店原田酒造場老田酒造店)訪問済みなので、今回は残りの4軒を巡ろうと云う魂胆である。
高山に到着し、荷物をロッカーに預けたら、旧市街、三町筋の上三之町へ。今日は日曜日、陽気も良いので大変な人出である。海外からの観光客も目立つ。「坂口屋」とその向かいの「飛騨こって牛」の名物、飛騨牛のにぎり寿司の店頭販売は、どちらも長蛇の列、食べたくても、並ぶ意欲が殺がれるほどだ。
しかし、路地を一本外れ、上二之町へ入ると、ほっとするほど閑散としている。この路地には、「平田酒造場」、「二木酒造」、「川尻酒造場」が並んでいる。先ずは、「二木酒造」から。この酒造の看板銘柄は「玉乃井」である。
杉玉が下がった入口を通ると、板壁や柱が黒光りする店内。広々として天井も高い。外は汗が噴き出るほどだが、ここはひんやり。創業は元禄8年(西暦1695年)とのことなので、300年をこえる超老舗。現在の当主は15代目だそうである。
店内に客はゼロ。まだ時間が早いせいもあるが、今日、上三之町のメインストリートを練り歩いている観光客に、呑んだくれはいないらしい(そもそも、香港人やシンガポール人は、酒を呑まないらしいが)。おかげで心ゆくまで試飲ができるというものだ。
さて、試飲。ここでは猪口1杯ずつ有料というスタイル。銘柄は、氷室・純米大吟醸、両面宿儺・大吟醸、玉乃井・大吟醸、笑いじょうご・純米大吟醸などがずらり。ここは吟醸か大吟醸しかないようだ。
そのなかから、氷室・純米大吟醸(200円)を選んでみた。吟醸香はそれほど強くなく、コクがあってやや酸味や苦みも感じるので、大吟醸っぽくない。いかにも、300年前からずっとこの味を守って来ました、という感じが伝わってくる。

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キハ・レストランでイタリアンを堪能したあと、せっかくの機会なので、大原駅で少々散策。先ずは「木戸泉酒造」へ行ってみる。実は全く偶々なのだが、つい先日、六角精児の「呑み鉄本線・日本旅」(NHK-BS)で、いすみ鉄道編を視たばかりだった。とにかく、六角精児が朝からひたすら呑み続ける番組である。NHKも随分と大胆なことをやるもんだ。その番組の中で、この木戸泉酒造が出て来たので、是非訪れてみようと思っていた。
木戸泉酒造は、他の造り酒屋とはちょっと違ったことをやっている。そのひとつは高温山廃。普通、山廃仕込みは8℃くらいなんだそうだが、こちらはあえて目一杯高くして55℃。麹菌がこんな温度で生きていられるのかと不思議に思ってしまうが、たしかに殺菌効果は有りそうである。これによって、酸味が強めの酒が出来ると云う訳。
ふたつめは、一段仕込みによる濃厚多酸酒。乳酸発酵と酵母によるアルコール発酵を同時に行うことで、アルコール度数17~18%、日本酒度-30、酸度5~7の、超飛び切り濃厚多酸を実現。この造り酒屋では、「アフス」というブランドで販売している。もう一つは古酒。一般に日本酒は年を越して保存することはしないが、ここでは20年以上寝かせた日本酒もあるそうである。どちらも利き酒が楽しみだ。
場所は、駅からほんの数分のところ。判り易い。木戸泉酒造に近付くと、赤レンガ造りの煙突も目立つが、門に吊るされている巨大な杉玉が眼を惹く。こんな大きさは見たことが無い。門は開いているし、人影が無いのでずんずん入る。何処が売店なのか判らないまま奥へと進むと、建物の入口があった。
中に入って声をかけてみるが、だれも出て来ない。しばらくすると、外からひとり現れた。先日のテレビでは若旦那が六角精児を応対していたので、さしずめこの方は先代のご主人であろう。早速、利き酒させて欲しいと申し出る。どれでもどうぞ、とのことなので、お言葉に甘えて、狙い通り古酒の10年物と20年物、それに「アフス」をいただくことにした。
古酒は以前、伏見の月桂冠・大倉記念館で味わったことがあったので、風味に覚えはあった。20年物をいただくと、もう全く、これは日本酒ではない。香りも酸味も色も、もはや紹興酒に近い。唯一の違いは、日本酒のコクが残っていることか。今度は、「アフス」。口に含むと、やはりこれも日本酒ではない。まるでドライシェリーのようだ。製法を変えるだけで、こんなにも日本酒は変わるのか、と只、驚くばかり。勿論、どちらも買うことにした。

(利き酒に夢中となってしまい、酒の写真を撮り忘れた、残念!)

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木戸泉酒造のHP: こちら 

女子連と合流した後、今度は「桝一市村酒造場」に行ってみる。知る人ぞ知ることだが、つい二年前まで、セーラ・マリ・カミングスという女性アメリカ人が取締役だったのが、この造り酒屋。もう十数年前のことだが、一時期、かなり有名になって、テレビや雑誌に時々登場したので、覚えている人もいると思う。欧米人で初めて利き酒師になったことでも有名。活動は造り酒屋の再建だけに止まらず、ある意味、小布施を現在のような一大観光地にしたのは、彼女のお陰と云っても過言ではないだろう。
直売店は外観も内装も重厚な造り。無駄な装飾は無い。店内はかなり賑わっている。松葉屋本店とは好対照だが、こちらは店内での無料利き酒は無し。店の一角にバーカウンターがあり、そこで金を払って飲ませる仕組み。ここ辺りでは、量り売り直飲、すなわち酒屋でコップ酒を飲むこと、云うなれば角打ちのことを「手盃」(てっぱ)と呼ぶそうだ。従って、カウンターではなく「手盃台」と云うそうである。
このちゃん、なおちゃんと手盃台に座り、さて手盃酒は何にしようかとメニューを拝見。7種類あるうち、白金(山廃)、雲山(原酒)、スクウェア・ワン(特別純米)を選んだ。その名の通り、スクウェア・ワンは「桝一」の英語読み。ハイカラなイメージが湧いてくるが、原点復帰と云う意味を込めたものらしく、味わいも至って武骨。昨今の流行りには流されない頑なさを感じる。白金も、山廃らしく酸味がしっかり。雲山は比較的呑みやすい。手盃台には荒塩が置いてある。越後湯沢の利き酒コーナーですっかり経験済みなので、塩を舐めつつ呑むのは堂に入ったものだ。
飲み比べた結果から、スクウェア・ワンの四合瓶を買うことにした。陶器製のボトルが洒落ている。

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斑尾山と鍋倉山へ目出度く登頂した後の3日目。今日は完全観光モードで、小生はただ女子連の行きたい処の跡を辿るだけ。目的地は小布施にしたようだ。北斎の魅力か、栗の誘惑か。
宿の車で飯山駅まで送ってもらったら、先ず新幹線の切符を購入しておく。駅員(駅長?)のアドバイスにより、長野氏発の自由席に乗ることにした。その後、飯山線で豊野駅まで移動、そこからタクシーで小布施へ向かおうとしたら、駅前には1台しかいなかった。では先行組を乗せたあと、また豊野駅まで戻って来てくれるのか?と思いきや運転手曰く、何時になるか判らないので、別タクシーを今から呼んでおいてくれ、と譲らない構え。
そんなに小布施界隈の道が混んでいるのか、それともそのタクシー運転手は単に豊野まで戻りたくないのか定かではないが、ともかく後発組はタクシーがやってくるまで豊野駅前でぶらぶら。あひるちゃんはマンホール取材。のりちゃんは律義にタクシー待合所で待機。ふと気が付くと、何処からともなく小学生が現れて、小生の目の前を通り過ぎる時、「コンニチハ」と挨拶していく。躾がしっかりしている子供に出会うと気持ちが良い。その後、高校生か大学生らしき男子が駅にやってきたが、我々の前は無言で通り過ぎた。人間、なかなか純朴のままでいるのは難しい。
やがてタクシーがやってきて、岩松院へ向かう。葛飾北斎の「八方睨鳳凰図」をしばし鑑賞したあと、てくてくと町の中心街へ。かなり人通りが多く賑わっている。女子5人組は北斎館へ行くとのこと。ならばその時間を利用して、何処か造り酒屋にいってみようかと思い付く。小布施町には3つの造り酒屋があるようだが、徒歩圏内には2つ。先ずは松葉屋本店に行ってみる。高い煉瓦造りの煙突が目立つ。建物は落ち着いた外観。客は誰もいないようなので、やや入り辛い。
店内には女性の店員(女将だろうか?)がひとり。試飲をさせて欲しいと云うと「どうぞ」と仰る。どれでもOKのようだ。店頭に並んでいる酒をひと通り眺め、その中から「北信流純米吟醸」と「本吉乃川しぼりたて生酒」をもらうことにした。「北信流純米吟醸」はすっきり系で香りが高い。かたや「本吉乃川しぼりたて生酒」はずっしり濃醇の旨み系。やはり好みから云って後者が優る。ということで、「本吉乃川しぼりたて生酒」の四合瓶を購入。ところで「北信流」とは何のことか。調べて見るとこんな解説が見つかった(例えばこちら)。いわゆる、宴会の「中締め」の仕来たりという感じで興味深く感じた。

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松葉屋本店のHP: こちら 

もちろん舩坂酒造店へ入る前に気が付いていたのだが、舩坂酒造店の真向かいにももう一軒の造り酒屋、「原田酒造場」があった。まこと日本酒好きだったら泣いて喜ぶシチュエーション、高山の旧市街は日本酒のテーマパークのようである。
外観は、舩坂酒造店と同様、黒塗りの板壁で渋い。中に入ると、これぞ造り酒屋の雰囲気。舩坂酒造店以上に雰囲気を感じさせるのは、照明のトーンが抑えめのせいもあるだろう。さらに云えば、この店頭に並んでいる商品はすべて酒。造り酒屋なので当然なのだが、様々な土産物、小物が並んでいた舩坂酒造店とは一線を画しているので、新鮮な一途さを感じてしまう。
こちら「原田酒造場」のブランドは「山車」という。山車は高山祭で有名なのだから「だし」と読むのかと思ったら「さんしゃ」だった。確かに日本酒を「だし」よりも「さんしゃ」と呼ぶ方が語呂が良さそうだ。創業は安政二年(1855年)とのこと。
早速、利き酒をさせてもらおう。ここでは150円払って猪口を買えば、後は何杯でもどうぞ、という太っ腹な店。しかも試飲コーナーには10種類くらい置いてあるので、とても全部は呑み切れそうにない。猪口に注いだら、囲炉裏の傍でちびちびやる。まだ時間が早いせいか、利き酒をやっているのは他にいない。この雰囲気を独り占めである。
小生よりも若干年下と思しき何処かのご婦人が、通り過ぎながら「あら、羨ましい~」と宣う。今日は車の運転手でやってきているのかも知れない。
ところで、利き酒の結果、気に入ったのは「純米吟醸 花酵母造り」。この造り酒屋は酵母に凝っているようで、この酒も「アベリア」という花から獲ったとのこと。特定の花の蜜には特定の酵母が存在するようで、それをコメの発酵にも使ってみたら、意外にイケる、ということらしい。結構、香りが甘いのでびっくり。他にも、ベゴニアとかナデシコとか、色々あるらしい。日本酒の世界はまだ進化を続けているようだ。

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原田酒造場のHP: こちら 

飛騨高山には、7軒も造り酒屋があるらしい。特段、米どころとは思えない一つの街で、これだけかたまってあるのは珍しいのではないか。もちろん水は良いかも知れないが、こんなに山深い土地だ。高山にいくら呑ん兵衛が多くったって、そんなに7軒も酒を造って、捌き切れるとも思えない。江戸の頃から尾張や加賀、越中方面へ出荷していたのだろうか。ちょっと気になる。
そのなかでもここ、舩坂酒造は古い街並み(三町筋)にも溶け込んだ造り酒屋。創業200年とのこと。酒の店頭販売だけでなく、土産物屋、レストラン、カフェ、試飲コーナーもあって、かなり手広くやっている。もはやこの店だけでも立派な観光地と云っていいだろう。
店は、昔の蔵を改装した感じで落ち着いた佇まい。中に入ると先ずは日本酒販売コーナーと土産物コーナーがある。土産物屋には、酒とは全く無関係な、飛騨高山らしい土産物や、和風小物まで様々。普通の土産物屋以上の品揃えである。おや、左手には試飲コーナーだ。あとでここに戻るとしよう。
奥へ進むと中庭があり、その先がカフェテラスとレストラン「与平」、その建物の奥は、また別の通りに面している。カフェテラスもなかなか良い感じ。中庭の右手の方が、いわゆる酒蔵や作業場があるようだ。街中にしてはずいぶんと広い。
この造り酒屋では、「深山菊」というブランドが主要銘柄だが、他にも「四ツ星」、「甚五郎」、「白無垢」、「夕映え」などの酒も醸している。どれもいままで聞いたことが無かった。さて、販売カウンターに行って銘柄を物色。いろいろあるが、やはり「深山菊」にしてみるか。「深山菊純米吟醸しぼりたて無濾過生原酒」をチョイス。カミさんは「深山菊」ゼリー。升を持って試飲コーナーへ。
外観は蔵だが、中身はカウンター席と酒樽をテーブルにした立ち飲みがあり、いい雰囲気。「深山菊純米吟醸しぼりたて無濾過生原酒」は吟醸らしさはあまり感じられない、どちらかと云うと米の旨みを感じさせる酒。酒も美味いが、これ程雰囲気が良い試飲コーナーも少ないと思う。こんな造り酒屋が、我が家の近くにあったらいいなぁ、とつくづく感じる。

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舩坂酒造店のHP: こちら 

谷川岳を登った翌日は完全観光モード、リサーチャーなおちゃんが見つけ出した造り酒屋「大利根酒造」に行ってみる。日本ロマンチック街道に面しているので、尾瀬や金精峠に向かう際、何度もこの前を通っているはずだが、これまで気が付かなかった。そもそも、この酒蔵のブランド「左大臣」だって申し訳ないが知らなかった。
重厚な造りの建物に入ると、酒蔵の主と思しき男性がお出迎え。色々と説明していただく。見上げると、「國酒」と書かれた色紙が目に入る。「國酒」という云い方があるのを聞いたのも初めてだが、その色紙を歴代総理大臣が書いていたと知ったのも初めてだ。
あるWeb記事によれば、これを始めたのが大平元総理だそうだ。ここの一番右にある色紙は、まさしく大平さんの揮毫だった。ずらりと並んだ歴代総理大臣の色紙をぱっと見ると、民主党政権の方々は皆、下手っぴーである。野田さんのは、見ている方が恥ずかしくなる程ひどい。一方、自民党の歴代総理は総じて上手。大平さんの字もなかなかだと思うが、直ぐ辞めて有名な宇野元総理と、麻生現副総理は素人が見ても特に達筆である。安倍首相のは当然のごとく2枚あるが、1枚目の筆の運びがやけに自信無さげに見えるから不思議である。
その後は、しばし酒の造り方講義。興味深かったのは、酒造りでは洗米が決め手であるとの言葉。水の浸し具合によって麹菌の浸行具合を左右させるため、秒単位で時間管理するらしい。主は時間さえ許せば、いくらでも酒造りについて熱く語ってくれそうである。通常は主おひとり、最盛期でも近所から3、4人の応援を頼む程度で酒を造ってしまうらしい。杜氏は雇っていないそうである。勿論、造る量に限度はあるようだが、たったひとりでも造ることができるとは驚いた。
ひと通り説明を受けた後、待望の試飲タイム。巨大冷蔵庫から取り出された尾瀬の雫・本醸造、左大臣・純米、左大臣・本醸造、花一匁・純米吟醸、白貴・にごり酒を順々に賞味させてもらう。総じて淡麗辛口系だが、左大臣・純米と花一匁・純米吟醸は、少々複雑な味を持っていて、面白い。折角なので、純米吟醸をお買い上げ!

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大利根酒造のHP: こちら 

笹子雁ヶ腹摺山の帰り、新酒まつりに合わせて、久しぶりに笹一酒造に行ってみた(というか、新酒まつりのタイミングに合わせて、近くの笹子雁ヶ腹摺山に登った、と云った方が正しい)。山頂付近はすっかり冬枯れ状態だったが、標高1,000m付近から下は、良い具合に紅葉していた。一日中天気は良かったが、笹子川沿いの甲州街道は日暮れが早く、じっとしているとジンジン冷えてくる。笹一酒造の店舗に入るとほっかり暖かい。
創業は大正8年(西暦1919年)と、造り酒屋にしては比較的新しい。笹一は昔から切れがあって辛口のイメージが強いが、先日、立川の菊松屋で呑んだ「ささ一 純米吟醸無濾過」に、あれっ、と思うほどの濃醇さを感じたので、今回はちょっと期待していた次第。
ところが利き酒試飲コーナーの方に聞いて初めて知ったのだが、主要銘柄以外は3カ月ぐらいでくるくる代わっていくらしい。「ささ一 純米吟醸無濾過」についても、「以前、そんなのも造っていました」というさっぱりした回答。当然のごとく、今回は巡り会えず。それでも今年の新酒を含め、いくつか飲んで、その結果「笹一 純米・夢山水」(720ml、1,600円)を購入。夢山水とは酒米のひとつで、この酒は大月市内で穫れた夢山水を使っているという。辛口ではあるものの、旨みもそこそこ生きていて、余韻が楽しめる感じがした。
タダとは云え、日本酒ばかり飲んでいるとさすがに喉が渇いてくる。やっぱり、山から下りてきてビールを飲まない手はない。利き酒は終わりにして飲食コーナーに行き、冷蔵庫の中から勝手に富士桜高原麦酒を取り出して、レジで550円を支払う。キレはあまり無いがなかなか香りがあってイケる。この頃、笹一酒造はワインも造っているらしく、結構好評とのこと。そのうち、クラフトビールも造り出すかも知れないな、と思いつつ笹一酒造を後にした。さて、立川へ。

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笹一酒造公式HP: こちら 

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