山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

造り酒屋

「田舎家」で喜多方料理(会津料理)に舌鼓を打った後、喜多方の市街を観光することに。これまで全く知らなかったが、喜多方の魅力の一つはその街並にあるようだ。喜多方は「蔵の街」と呼ばれるほど、蔵が多いとのこと。
蔵の街だけあって、造り酒屋もかつては30件近くあったらしく、今でも10軒ほどの蔵元がある。そんな中で、ソムリエールなおちゃんが選んだ店は「小原酒造」。かの小原庄助さんと関係があるのかどうかは聞きそびれた。ちなみにその庄助さんが出てくる「会津磐梯山」という歌は、小唄勝太郎が歌った曲で、その勝太郎は先日、入った新潟のブルワリーパブがあった場所の出身者(店の看板に勝太郎の似顔絵有)。これって、スピっているか?
予約していた訳では無いが、醸造所を見学させてくれた。女将の説明は、ベテランバスガイドの如く全く澱みがない。ここの酒蔵は、酵母にモーツアルトを聴かせている、とのこと。乳牛に穏やかなクラシック音楽を聞かせると、ミルク産出量を増やすのに有効、という話は聞いたことがあったが、それを酵母までに横展開するとは凄い。
酵母に聴覚があるかどうかは分からないが、モーツアルトを聴かせると酒が美味くなる、と女将は自信を持っていた。その説明通り、利き酒をした限り淡泊だが柔らかい味わい。それを信じた訳では無いが、純米酒四合瓶を買うことにした。
その後は、喜多方で一番の豪商だったという、旧甲斐家蔵屋敷(入場は無料)を見学。大正末期に建てられたという、その名の通り蔵屋敷ながら、調度品や建具は確かに贅沢だった。一方で、その頃の武士は清貧を旨として暮らしてたはず。明治維新が起こったのは必然だったのだろうと思いを馳せた。

232 喜多方の造り酒屋「小原酒造」。
233 杉玉が並んでいるのは珍しい。
234 醸造所内を見学。
235 女将さんの説明は滑らか。
236 これ全部試飲させてくれた。
237 皆さん、お買い上げ。
238 豪商だった旧甲斐家蔵屋敷を見学。
239 この螺旋階段、柱が無い。
240 無垢板の廊下。
241 贅を凝らした部屋。

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今回の山旅は久しぶりの北海道。大雪山を目指すことにした。参加したのは、奇しくも屋久島・宮之浦岳ツアーと同じメンバー。主峰(最高峰)の旭岳だけであれば、麓の旭岳温泉からの往復でも十分だが、折角の機会なので黒岳まで縦走し、層雲峡温泉へ下ることにした。初日、羽田を出てその日には登ることは出来ないので、旭川辺りでブラブラ過ごすことにした。
しかしながら運悪くと云うか、旭川市は「まん延防止措置」による酒類の提供禁止期間中とのこと、暫くは禁欲生活となる。そんな中、旭川市街にある「髙砂酒造明治酒蔵」に寄ってみることにした。あわよくば、利き酒が出来ないかと期待する。
旭川空港に着いたら、とりあえず旭川駅行きのバスに乗る。駅のコインロッカーに荷物を預ける魂胆。途中停まる、バス停の名前が独特と云うか北海道的。曰く「次は東神楽9号」、「次は東神楽8号」・・・「1条22丁目」、「3条22丁目」・・・などと。土地勘が無いと、何処にいるのかさっぱり分からない。
旭川駅は橋上駅を丸ごと建物で覆ったような立派なターミナル駅。最近、新しくしたらしい。ドアを開けて入るとちょっとひんやり。ベンチが並んでいて、座って本を読んだりスマホを見たりしている人が目立つ。列車待ちをしているようには見えない。きっと居心地が良いのだろう。
「髙砂酒造明治酒蔵」は駅から歩いて15分ほど。途中、歩いている人は殆ど見掛けない。やがてクラシックな建物が見えてきたと思ったらそこが酒蔵だった。道の両側にある大きな酒蔵だ。右手の直売所へ入ると、かなり厳重に感染拡大防止措置を講じているものの、利き酒はOKとのこと。でも店の女性に「マスクを外したら黙って呑んで下さい!」とくぎを刺される。
ここの酒は「国士無双」という銘柄。辛口がウリで、利き酒させてもらった純米吟醸もかなりのスッキリ感だった。北の酒、という感じ。山はこれからなので、一升瓶とか四合瓶はやめて、300mlの生酒ボトルを買うことにした。

003 旭川空港に到着。
004 旭川駅でリュックサックはコインロッカーへ。
005 ここへやって来た。
006 高砂明治酒蔵直売店。
007 旭川市内だけど、試飲は出来た。
008 チョットだけ仕入れました。

今回は3年前の西吾妻山リベンジ(その時の記録はこちら)。ところが往路の新幹線に乗っている最中に宿から電話があり、今日は強風のため天元台ロープウェイは動かないとのこと。うーむ、やはり山形の山は手ごわい。いずれにせよ、今日は登れない。まだ朝だが、車内販売が来たのでとの~と共に缶ビールを買ってヤケビールを呑む。
そこで翌日に予定していた、ツアコンなおちゃんプロデュースの観光に切り替える。目当ては米沢郊外にある沖正宗という造り酒屋。早速電話を入れれば大丈夫とのこと。米沢駅に着いたら、リュックサックは駅のコインロッカーにデポし(金を入れたのにロッカーの鍵が閉まらないトラブルがあったが、管理者が目の前の店だったので直ちに事なきを得た)、タクシーで向かう。
突然の訪問にもかかわらず、ブティック(売店)の担当の方だけでなく営業の方(社長さんではないと思うけれど、名前は聞きそびれた)が現れ、丁重にワイン醸造所を案内していただき、日本酒もワインもテイスティングさせて貰った。昔ながらの日本酒「興譲」と、この頃の製法による日本酒「Faucon」を飲み比べさせて貰い、その違いが良く判った。特に後者は、米麹の香りが印象的だ。
ここは最近、ワイン造りに力を入れていて、「Faucon」シリーズとして赤2種、白4種、それ以外も含め合計10種を販売している。一番高いものでも720ml瓶1本1,800円はかなりお買い得、特にFaucon 樽熟メルロー2017(1,800円)は気に入った。
結局、大人買いしたとの~も含め、8人で都合11本をお買い上げ。小生は、日本酒は「Faucon つや姫 純米吟醸 58% 生貯蔵」(1,500円)と、ワインは「Faucon 樽熟メルロー2017」(1,800円)をゲットした。
それにしてもこの営業の人は、業界の動向にやたら詳しい。利き酒をしながら、様々な逸話や耳より情報を披露してくれ、とても興味深く拝聴した。日本酒造り、ワイン造りも、情報収集が重要なのだ。

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前回、東吾妻山&一切経山に登った(山の報告はこちら)帰りに会津若松に寄った際には、時間が無くて、末廣酒造に入っただけで七日町通りは殆ど歩けなかったので、今回は「田事」でのランチ前後はこの通りをぶらり散歩。
「田事」の開店時間前に七日町通りを歩いていたとき、交差点の横断歩道を渡ってこちらにやって来る、にんじんのゆるキャラ着ぐるみを発見。こんな暑い日にご苦労なことだ。こちらから問い掛けるより先に、その着ぐるみがしゃべりだした。聞くところによると、会津地方の名産「会津おたね人参(朝鮮人参)」非公認キャラ「おたねくん」だという(聞いたことはすっかり忘れたので、後でネット検索。こんなサイトがあった)。
朝鮮人参(薬用人参)のことを、「おたねにんじん」と呼ぶのは初めて知った。しかしそもそも何故、あえて「おたねにんじん」をキャラにしたのかは訊きそびれた。ちなみに「ゆるキャラグランプリ2017」では第407位だったそうである(ってか、そんなにたくさん「ゆるキャラ」がいるとは、それはそれで驚いた)。ゆるキャラとしては、ちょっと背が高過ぎて(たぶん2メートルぐらい)可愛げが無いのが災いしていると思われる。
次に、絵ろうそく屋を発見。「ほしばん」という店で、創業はなんと1772年(安永元年)。この街には100年超え企業はいっぱいありそうだ。花の絵を描いた絵ろうそく以外に、和菓子や寿司、うな重の形をしたろうそくもあって、笑える。あんな形でも、ちゃんと全部燃えるのだろうかと心配になる。
その後、ガラス工芸や漆器の店「鈴蘭」や、炭の店「ながい炭成館」などをウィンドーショッピングしてから、鶴乃江酒造に寄ってみる。ここは、かの「会津中将」を醸す蔵元。さっき「田事」で呑んだ「ゆり」もそう。ちょっといくつか試飲させてもらった後、やっぱり会津中将純米原酒(四合瓶1,728円税込)をゲットした。七日町商店街はなかなか楽しい。
(鶴乃江酒造で写真を撮り忘れました、悪しからず!)

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年に一度ぐらいは残雪期の越後の山に登ってみたいと、今年は上越の米山にしてみた(山行記録はこちら)。いにしえの頃から米山は越後の名山の一つに数えられており、相模湾における丹沢・大山の如く、上越沖の船から進行方向を確認するための、海上交通上の重要な目印だったらしい。ほくほく線の車窓からもその端正な山容がうかがえる。ここは国定公園(佐渡弥彦米山国定公園)の一部でもある。
当日は雲ひとつ無いピーカンの快晴。我々は西側の水野林道から登り、下牧登山口へ下りることにした。途中、雪はあったり無かったりで、持ってきたスノーシューを履いたり脱いだり忙しかったが、山頂直下の稜線は実に気持ちがいい雪稜。眺望も期待以上に素晴らしかった。これほど眼下に真っ青な日本海を眺めたことは無い。反対側(南東側)は、ずらりと上越国境の山々が真っ白く輝いていた。
大満足で下牧登山口へ下りたら、タクシーを呼んで今宵の宿へ。途中ふと思いついて、地元出身という運転手に「宿へ行く途中に酒蔵はありますかね?」と訊けば「いくつかありますよ」との返事。近い方の酒蔵を訊けば「吟田川(ちびたがわ)の代々菊酒造があります」と。
えー!ここでまさか吟田川に出会えるとは思っていなかったよ!と心の中で喝采し、早速、寄って貰う。着いてみると、運転手が先頭になって店に乗り込んで行った。もしかしてやっていないかと危ぶんだが、女将さんが出てきてくれた。ちょっといくつか、利き酒をさせてもらい、大吟醸の四合瓶をゲットすることができた。
吟田川という名前は、近くを流れる柿崎川の上流、米山の南に位置する尾神岳の、麓に沸く清水が吟田川と呼ばれていて、その水を酒造りに使っていることが由来だそうだ。アユラシに呑ませて貰って以来、なかなかお目にかかれない吟田川、まったく今日は何から何まで好日だ。

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「徳一」で美味い酒と美味い肴を味わい、そして美味い蕎麦を手繰ったあとは、再びタクシーに乗り込み、今度は鶴ヶ城の観光となる(小生は、基本的に今日はくっついて歩くだけ)。入場料410円を支払って天守閣へ。ここは内部が博物館になっていて、鶴ヶ城の歴史(というよりはほぼ会津藩の歴史)が判る。見処はやはり幕末の動乱。
薩長憎しの気運が今でも残るという会津。将軍家と盛衰存亡を共にすべしといった、藩祖保科正之の教えに従った、時の藩主松平容保以下会津藩の奮闘と苦渋は「京都守護職始末」(山川浩著、東洋文庫刊)に詳しいが、そのことは天守閣内の博物館を見学するだけでもある程度伝わってくる。鹿児島県人と山口県人は、ここの見学は少々居心地が悪いのではなかろうか。
最上階に登ると、展望台がある。ここから見渡すと、四方が山で囲まれていて会津が盆地であることが良く判る。目立つのは北東に見える会津磐梯山と、北西方向に雪を被った飯豊連峰だろうか。目を凝らすと博士山とか小野岳、大戸岳などの南会津の山々も見えて何だか楽しくなってくる。会津に住んで、近所の山々を巡ってみたい気持ちも湧いてくる。
歴史を学んだ後は、なおちゃんリサーチに基づく酒蔵訪問。会津若松市内に、造り酒屋は多い。数えてみると12軒もある。ひとつの市でこれだけあるのも珍しいだろう。今回はそのうちの一つ、末廣酒造に行くことになった。鶴ヶ城からぶらぶら歩いていくと30分ぐらいで到着。見てそれと判る建物で、なかなか貫録がある。嘉永三年(西暦1850年)創業とのこと。
さっそく売店で試飲させてもらう。いくつか味わってみたが、「嘉永蔵・山廃純米」が一番深いと感じ、買うことにした(四合瓶2,000円税込)。ここには杏(きょう)という名のカフェもあったが、そろそろ帰りの電車の時間が気になりだしたので、それはまたの機会にすることとした。

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タダ酒蔵元巡り4軒目は、伊東酒造。「酒ぬのや本金」から甲州街道を隔てて反対側。この酒造が造る酒には「横笛」という名がつけられており、その由来がHPに載っている。この酒造の初代店主は随分と古典に親しんだ方のようだ。小生も「平家物語」は読んだことはあるはずだが、「横笛」の話は全く覚えていない(読んだのは、吉川英治の「新・平家物語」だったか。すると「横笛」は登場しない?)。
創業は昭和33年と云うから、なんと俺達と同年代だ。しかし、創業100年や200年がざらの造り酒屋としては、まだ駆け出しの部類だろう。ちなみに100年超えの老舗企業は、日本全国で10万社以上もあるそうで、これは世界的に見ても稀らしい。一方、4千年の歴史がある中国でも100年超えは数社しかなく、韓国ではなんと1社も無いそうだから、国によって企業に対する考え方が随分違うのだ。閑話休題。
店内は結構広いが、ここにはまだ、5つの酒蔵巡りクーポン客の集団が押し寄せておらず、落ち着いて試飲させてもらった。まずは「横笛ふな口無濾過 初つくり」(1,428円税別/720ml)を呑ませてもらう。口に含むと、なんとも華やかな香り。もう一杯いただいたのは「純米酒 冬穂の香」(1,266円税別/720ml)。こちらは濃醇、旨味と酸味のバランスが程良い。結局、この季節らしくて一番華やかな香りを感じた「初つくり」を買うことにした。
「真澄」の宮坂醸造は、伊東酒造からちょっと離れているし(と云っても350m程に過ぎないが、少々酒が回ってきたし)、「真澄」は何処でも呑めるので、とりあえずここでタダ酒蔵元巡りは打ち切りとした。それにしてもこの4軒の酒蔵巡りは収穫だった。酒と関係ない土産物を売っていたり、カフェが併設されている店だって悪くは無いが、唯、自らが醸した酒だけを売る姿勢に好感が持てる。また、長野の何処かの山に登ったら、このような小さな酒蔵巡りをやるとしよう。

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タダ呑み酒蔵巡り3軒目は、「麗人酒造」から数十メートル離れたところにある「酒ぬのや本金」。ここの酒も、呑んだことも聞いたことも無かった。こちら「酒ぬのや本金」の創業は宝暦6年(西暦1756年)と、上諏訪では一番古いらしい。
現在は9代目。生産量は100石(1升瓶で1万本)強と、規模としてはかなり小さめなので、ここ諏訪地方以外では手に入り難いのは間違いない。でも考えてみれば、長野県にある造り酒屋は、全国的に見てもこのような小規模店が多いと思う。その分、その地域に密着しているのだろう。
「酒ぬのや本金」とは変わった屋号だが、創建当初は志茂布屋(しもぬのや)だったそうで(「しもぬの」の意味も判りませんが)、その後、酒布屋に変えたらしい。
建物の外観は、古い宿場町には必ずあるような町屋そのもの風情である。杉玉や酒樽が表に飾っていないと、ここが造り酒屋だとは気付かないかも知れない。格子戸を開いて中へ入ると、「麗人酒造」と同様に、蔵巡り1,800円クーポン持参客がかなり群がっていて、我々タダ酒組が試飲させてもらうのに、やや気後れする状況。
それでも恐る恐る試飲を申し出ると、女性店員(たぶん若女将)が「からくち太一」を小さな猪口に注いでくれる。確かに辛い。この頃はとんとお目にかからないほどだが、旨味も酸味も感じられる。武骨な感じの酒である。
店内では何故か、「御湖鶴」の話題で盛り上がっていた(例えば、信濃毎日新聞のweb記事はこちら)。他にも色々な種類の酒瓶が並んでいたが、話に水を差すのに気が引けて、これ以上の試飲の申し出は憚った。

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タダ呑み酒蔵巡り2軒目は、「舞姫」から1軒挟んだ隣の、「麗人酒造」。創業は寛政元年(西暦1789年)とのことで、もう約230年も前である。西暦1789年といえば(ここからは麗人酒造のHPからの引用)、ヨーロッパではフランス革命(具体的にはバスティーユ牢獄の襲撃事件)、アメリカ合衆国ではジョージ・ワシントンが初代大統領に就任した年だそうだ。つまり「麗人」は、フランスの民主主義、アメリカ合衆国とほぼ同じ長さの歴史を持つわけ。老舗の歴史を感じる一方、フランス革命がそんなに遠い昔のことではないような気にもなってくる。
ともかくそんな老舗なのに、この「麗人」という銘柄も今まで聞いたことが無かった。尤も、長野県だけでも造り酒屋は100軒ぐらいあるのだから、呑んだことも聞いたことも無い日本酒が有ること自体、何の不思議も無い。
入ってみると、ここにも酒蔵巡りクーポン客が多数いて、やはりタダ呑み客は我々だけのようである。「麗人・しぼったまんま純米吟醸生原酒」を試飲する。旨味と酸味がしっかりした呑みくちで、しかもフレッシュでふわっとフルーティ。こりゃ、なかなかイケる。その他、店内を見回すと面白い酒があった。自家熟成純米原酒「時のはぐくみ」という四合瓶(試飲は出来なかったが、もちろん買った時には古酒では無いので、試飲の意味がない?)。なかなか良いアイデアだと思う。
ひと通り4つの酒蔵を巡った後に、戻って「麗人・しぼったまんま純米吟醸生原酒」(1,200円税別)を購入することにした。後で調べると、ここは「諏訪浪漫」という名前の地ビールも造っているのだった。いままでこの造り酒屋を知らなかったのは、ちょっと損をしていた気分である。

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「小坂」で蕎麦を手繰ったあとは、なおちゃんが事前リサーチした酒蔵巡り。これまで知らなかったのだが、甲州街道沿いに4軒の造り酒屋が固まって並んでいる。ちょっと離れたところには、「真澄」を醸す宮坂醸造もあって、この5軒で「諏訪五蔵」というらしい。何故、これほどここに集まっているのか良く判らない。日本酒は水が命と云うから、このあたりの水(霧ヶ峰の伏流水)が、酒造りに丁度合っているのだろうか。
上諏訪は温泉の街でもあるので、旅館やホテルは結構ある。それらの宿では、この諏訪五蔵の呑み比べセットや呑み歩きツアーを宿泊パックに組み込んでいたりするようで、持ちつ持たれつの良い関係があるようである。街に造り酒屋が有ると無いとでは大きな違い。それが5軒も並んでいるとなると、大きな強みになる良い例だと思う。かつてはこの辺りに13軒もの造り酒屋があったそうだから、さぞかしたいへんな賑わいだったろう。
「舞姫」は明治27年(西暦1894年)創業というからもう120年以上経っている。でも200年や300年ぐらいの造り酒屋はザラにあるので、それほど古い訳でも無いが、どっしりとした蔵造りの店構えが歴史を感じさせてくれる。
店に入ると、意外に客が多い。皆、5つの酒蔵巡りクーポン(1,800円)を買っている客のようだ。このクーポンを買えば、呑み放題らしい。我々は、タダで呑もうという魂胆なので、呑める種類も量も限られている。信州舞姫の特別純米・しぼりたてを試飲。いわゆる旨口の酒ながら辛口、酸味も結構主張している感じだった。

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舞姫HP: こちら

2日目は米沢市街に出て完全観光モード。ちょっと調べた範囲では、街なかでは意外に観光名所は少なく、主だった所は米沢城址にある上杉神社ぐらいか。そこで、いちおう上杉神社へ行くついでに、「東光の酒蔵」という小嶋総本店の展示館へも寄ってみることにした。
駅前でリュックサックをコインロッカーへ預け、左回り循環バスに乗る。バスの外装には、ますむらひろし氏(米沢市出身とは初めて知った)が描く「アタゴオル」と云う漫画のカット絵がラッピングされていた(こちらをご覧あれ)。こんなところで「ヒデヨシ」に出会うとは思わなかった。
大門一丁目BSで下車すると、酒蔵の煙突が見える。入口で、310円支払って入館。売店(含、試飲コーナー)に直行するのであれば、別に入館料は不要なのだが、折角なので見学。なんだかんだ、この手の施設は結構見学しているが、ここは展示が大規模だ。もちろん、かつて使っていた設備を展示しているだけなのだが、かつて職人が働いていた頃の雰囲気が伝わってくる感じ。
この酒蔵は、慶長2年(1597年)創業と云うからかなりの老舗。関ヶ原の戦いは慶長5年、上杉家の米沢移封は慶長6年なので、それ以前からあることになる。
展示もなかなか見応えがあったが、試飲コーナーがとても充実しているのが特徴。高級な酒は200~300円と有料なのだが、それでも純米吟醸なども含め、ざっと10種類ぐらいは無料で試飲が出来る。全種類を呑むとそれだけでかなり酔える。ついでに云えば、漬物など、つまみになるものも試食が出来るのでとても有り難い。ここは呑ん兵衛にとってはパラダイス、これだけで入館料の元は取れる。ありがたや、ありがたや。

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松田に来ると何度となく、造り酒屋の「中澤酒造」の建物や敷地を眺めている。ここが醸す「松美酉」も、山から下りたら何処かしらで呑んでいる。今回も、「松田健康福祉センター」でひと風呂浴びた後、桜鍋をつつきに「肉八」へ行く途中、ふと道の両側にある中澤酒造の敷地見渡してみると、倉庫を開放していた。
何かイベントをやっていたようだ(訊けば、酒蔵コンサートをやっていたとのこと、もう終わってしまったらしい。どんな音楽だったか判らないけど、ちょっぴり残念)。まだ即売はやっている様子だったので、折角の機会なので覗いてみた。
「中澤酒造」は文政8年(西暦1825年)創業。小田原藩御用達の日本酒を造っていて、「松美酉」という酒銘も藩主に付けてもらったそうな。そう云えば、山形・庄内の酒「楯野川」も藩主命名だと聞いたことが有る。探せばもっと有るかも知れない。やはり殿様に付けて貰ったとなれば、箔が付くだろうし、美味さも保証付きということになるだろう。
倉庫に並んだ銘柄を物色していると、亮・特別純米・河津桜酵母仕込という酒が目に留まる。どんな香りがするのか興味深いので買おうとしたら、もう売り切れとのこと。残念。ならば代わりに、酉年限定酒がよさそうだ、と思ったらやはり完売とのこと。やはり、この時期限定というキャッチコピーに皆さん弱いようである。それではスタンダードに、純米しぼりたて美山錦(四合瓶1,400円税別)を買ってみた。家に持ち帰り数日後、どうかなと口を開けてみると、爽やかな風味。「こりゃいける~」と、すいすい呑んでいるいるうちに、あっという間に1本呑み切ってしまった。また、次の山の機会に買いに行かねば。

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別所温泉観光の後は、再び上田電鉄に乗って、上田へ移動。今度は、旧市街を歩いてみようと旧北国街道沿いにある柳町へ。目当ては、「亀齢」を醸す岡崎酒造。この頃、すっかり「亀齢」の知名度が上がったのは、女性杜氏(当主でもある)のせいか、雑誌やテレビでの露出度が高くなったためらしい。昨年は、「真田丸」が大河ドラマだったため、地元、上田も観光地として人気が上がって来ていることもあるだろう。
岡崎酒造の外観は白壁造りで、この街道の風情に溶け込んでいる。吊るされた杉玉には、〆縄が付いている。創業は寛文5年(1665年)というから、もう350年も経っている超老舗酒蔵である。
「亀齢」を呑むようになったのは、ごく最近のこと。生産量がわずか120石(=21.6キロリットル)とのことなので、人気となれば、なかなか巡り合うことも少ないのだろう。なお、同じ名前で広島にも「亀齢」を醸す亀齢酒造があり、紛らわしいせいか、岡崎酒造のラベルには「信州亀齢」と書かれている。こちらが正式名なのだろうか。
 直売店で、利き酒をさせていただく。応対してくれた女性が杜氏兼ご当主か。つい意地汚く、タダですか、おいくらですか、などと訊いてしまうが、無料であるとのこと。小さい酒蔵なのに、細かいことを云わないのが潔い。
「亀齢・うすがすみ・特別純米生酒」と「純米・小境屋平助」、「上田城」を呑み比べてみて、小境屋平助(1,550円/720ml)を購入することにした。ちなみに「小境屋」とは、岡崎酒造の屋号のことであり、「平助」は代々、当主が襲名していたそうな。だけど今は女性当主なので、「平助」って名を襲名したのかどうかは判らない。
ふと、見上げると壁に、花鳥風月を描いた、丸い板絵が6枚飾られている。川船水棹という明治時代の日本画家が描いたものらしい。直売店の脇には、相当古そうな雛人形が飾られていた。歴史がある酒蔵だと、何気ないものが良い雰囲気を醸している。

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「梅乃里」で酒と蕎麦をいただいた後は、バスの時間まで未だ少々あるので、直ぐ傍の「佐藤酒造店」に入った。ここで醸す日本酒は「越生梅林」という銘柄。個人的にお気に入りの一つである。
もう20年以上前だと思うが、先代(5代目)がやっていた頃から、何度か寄ったことがある。造り酒屋で日本酒を一升瓶で直接買った経験は、ここが初めて。最初はやはり、梅見に来たとき、「梅乃里」と同様、ふと目に付いたので入った。越生にはもう一軒、「来陽酒造」という造り酒屋があったが、残念なことに(一度も味わうことのないまま)いつの間にか廃業してしまった。
その頃の「佐藤酒造店」の小売店頭は、今の様に小奇麗な建物ではなく、昔ながらの町屋風の味のある店構えだった。そもそも店頭で買いに来る客も少なかっただろうと思う。今でこそ、埼玉の地酒と云えば、「神亀」や「亀甲花菱」、「花陽浴」、「鏡山」などを呑むことがあるが、それまでは、ここ佐藤酒造の「越生梅林」と神亀酒造の「ひこ孫」しか呑んだことが無かった。
どちらも呑み飽きない酒。特に「越生梅林」は、芳醇な割には、喉に引っ掛からずにするりと呑める。「ひこ孫」は近所の蕎麦屋で呑む時の定番で、比較的呑む機会に恵まれている。一方の「越生梅林」は、生産量が少ないのか、この越生や川越界隈でないとお目にかかれなかったが、今は通販の時代、その気になれば(配送料を気にしなければ)、いつでも手に入る。良い時代になった。
店に入ると、ズラッと並んだ銘柄をひと通り眺め、山廃純米と純米酒のどちらにしようかと少々悩んだ末、純米酒の四合瓶を購入。Woodyさんは前掛け(エプロン)を、のんちゃんは特別本醸造を購入。個人的には袢纏を買ってみたい気もしたが、何処で着たら良いのか判らないのでやめた。 
この酒造は現在6代目だが、将来の7代目は女性で、しかも既に杜氏をやっているとのこと。新たな酒が生まれるのか、楽しみである。実はここで試飲をしたことが無い。3月には試飲会があるそうなので、何とか機会を作って来てみたい。

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山形蕎麦を存分に味わった後、山形市街へ向かって移動。しかし、まだ観光ツアーは終わらない。ツアコン・アユラシが事前リサーチした店に点々と連れて行ってもらう。
大石田にある団子屋「最上川千本だんご」は、もの凄い人だかり。皆、辛抱強く順番待ちしている。ここは、単に店頭販売だけでなく、イートインコーナーで喰っている人もかなりいる。その場合は、ここで炙って出されるものを喰っているようで、アユラシも、出来たてを喰うのが最高、ここで喰うと他のだんごは喰えない、とのこと。さっき、蕎麦を手繰ったばかりなので、ちょっとここでは遠慮したが、別腹の女子連はだんごを堪能。
その次は、東根にある麩の専門店「文四郎麩」。山形は焼き麩の産地でもあるようだ。この店は文久年間創業と云う老舗。麩は、軽くてお土産に最適。有り難く「車麩」を購入。ここには、麩料理店まであるが、残念ながら時間もないし、腹も一杯(そもそも、ここは予約制か?)。是非、またの機会にしたい。
さらに南下し、次に寄ったのは天童にある「出羽桜酒造」。酒蔵そのものは開いていない様子、直ぐ隣に「仲野酒店」があったのでそこを訪問。様々な種類の「出羽桜」を並べているものの、それ以外の日本酒や焼酎、ワインも置いてあるので、直営店ではないようだ。あとで調べてみると、出羽桜酒造の社長の名前が仲野さんなので、この酒屋は家族か親戚がやっている店なのかも知れぬ。
店は女性二人が接客。早速、試飲できますか、と尋ねると、OK、しかも無料と、太っ腹である。有り難く試飲させていただく。ずらりと並べてくれたが、出羽桜の吟醸で一番高級な「一路」は、ダメなようである。其々、味わわせていただく。「出羽桜は」昔から吟醸系で有名。そのせいか、特別純米酒なんて、見たことも無かったし、さらに「山廃特別純米酒・ひやおろし生詰」なんて、そもそも造っているなんて思わなかった。口に含んでみると、なかなかふくよかでズシンと厚みがある感じ。なかなか手に入らない代物だと思うので、この四合瓶をいただくことにした。やー満足、満足。 

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「高山の酒蔵巡り」の4軒目は、「平瀬酒造店」。旧市街の、三町筋に7つある造り酒屋で、ここだけはちょっと離れて上一之町にある。主要銘柄は「久寿玉」。昨日、「宝山荘」でも呑んだ馴染みの酒。元和9年(西暦1623年)創業。HPには、菩提寺の過去帳での記載が元和9年ということで、創業はそれ以前なのかもしれない。何れにしても創業400年近いということで、古い商家が多い高山でも、指折りの長寿企業である。
同じHPには、「・・・元禄10年(1697)の造酒屋帳に高山の造酒屋56軒が記載されておりますが、その中に平瀬屋六助の名があります。・・・」との記載がある。高山に、56軒もの造り酒屋があったとは驚きだ。同じ元禄10年に、灘では26軒の造り酒屋があったとの記録があるので、高山は、灘よりも遥かに大きな日本酒産地だったようだ。一方、もう少し前の1657年(明暦3年)の記録では、伏見の酒造家は83軒とのことで、当時、伏見が日本一だったらしい。閑話休題。
何れにしても、高山で、元禄時代から存続している酒蔵は、先の「二木酒造」とここ「平瀬酒造店」だけのようだ。
店に入ると、ここも天井が高い。酒蔵で天井を高くする理由はなんだろうか。ここにも客は我々6人だけ。若い男性(15代目当主の市兵衛さんか?)が応対してくれる。口数も少なく目線は下げたままなので、商人と云うより職人らしい実直さを感じる。
さて、試飲させていただこう。「久寿玉」の手造り純米(100円)にしてみた。これは「飛騨ほまれ」という地元酒米が原料。地元に酒米があるというのも、高山の歴史を感じさせる。呑んでみると、旨味と酸味のバランスが良く、余韻も悪くない。呑みごたえはあるものの、呑み飽きのこないタイプ。
いろいろ呑んでみたが、この手造り純米が普段呑みには良さそうということで、四合瓶をお買い上げ(1,328円)。ご当主の生真面目さも、ポイントに入ったかも知れない。これでひと通りの酒造には寄ってみたが、まだまだ試飲した銘柄はごく僅か、とても満足できない。今度は、祭りの頃にでも来てみたい。

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「高山の酒蔵巡り」の3軒目は「川尻酒造場」。江戸末期、天保10年(西暦1839年)の創業とのこと。黒塗りの板壁や格子戸が雰囲気を出している。この佇まいは、きっと昔のままなのだろうと想像する。「川尻酒造場」も、さっき入った「平田酒造場」、「二木酒造」と同様、上二之町筋にあるので、多くの観光客で賑わっている上三乃町の通りとは違って静か。この店に入る客も殆どいない。上二之町には、土産物や小物を売っている店が少ないせいだろう。おかげで、こちらとしては心ゆくまで試飲ができるというもの。
ここ「川尻酒造場」の主要銘柄は、「ひだ正宗」だが、基本的に古酒に特化した品揃えのみ(絞りたての「おり酒」は除く)。この頃、古酒そのものは珍しくなくなったかも知れないが、それだけに限定すると云うのは、かなり偏屈珍しいというか、相当なこだわりを持った造り手であると感じる。
建物のなかは、昔ながらの商家の造り。ここも天井が高い。帳場に座っている男性(たぶん、ご当主だろう)に200円を支払って、熟成古酒の、「山ひだ純米酒」 2002BY(Brewary Year;2002年7月から2003年6月までに仕込まれた酒、という意味)をいただく。女子連はもう、昼食まで「日本酒はひと休み」モードに入ったようである。
猪口に注がれた「山ひだ」は、古酒特有の、やや淡い琥珀色。口に含んだ感じは、かなり強い旨味と酸味、やはりこれもう、日本酒と云うより、ドライなシェリー酒に近い。昨今は何かと、吟醸酒が流行りになっているが、この酒は全く別世界。吟醸香は欠片も感じず、ナッツのような熟成香が広がる。意外に爽やかさを感じるのは、冷たいせいかもしれない。これだったら確かに、日本人よりも欧米人の方が気に入りそうだ。
この「山ひだ」 2002BYは、四合瓶で2,430円と、先ほどの平田酒造の「酔翁」よりもずっと良心的価格だが、なんとなく踏ん切りがつかず、購入を見送りとした。今考えてみれば、この酒、生産量が少ないせいか、通販での入手は難しそう。やっぱり買っておけば良かったと悔いが残る。この次に高山に来るチャンスがあれば、なんとかここに来て、手に入れたい。

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高山の酒蔵巡り。2軒目は、「二木酒造」の直ぐ下(しも)にある「平田酒造場」へ。主要銘柄は「山の光」。何をイメージしたのだろう、考えさせるネーミングである。ここも建物の構えは酒造らしく、大変立派だが、中に入ると右手に帳場のようなカウンター受付。奥に小さなテーブルと椅子がいくつか並んだ、こじんまりしたスペースが試飲処。更に奥が蔵になっている様子。
天井は低く、間口も奥行きも無いせいだろうが、ここにも客はほとんどおらず、偶に入って来てもぐるっと見回すだけで、すぐ出て行ってしまう。従って、ここでも試飲する客は我々のみ。
其処彼処には、「酔翁」という酒の紹介が為されている。いわゆる古酒で、20年以上熟成されたものとのこと。曰く、「2007年~2009年全国酒類コンクール 3年連続古酒部門1位入賞」とか、「IWC(国際ワインチャレンジ)SAKE部門・古酒の部で金賞・トロフィーを受賞」とか。720mlで7,000円と、ちょっと高級品すぎて手が出ない感じだが、試飲コーナーにも置いていない。それだったら、ここで「酔翁」の宣伝をしても始まらないと思うのだが、そんな突っ込みはともかくとして、それ以外の酒を呑んでみよう。
ここで、利き酒(猪口1杯ずつの有料)ができるのは5種類。うち3つが「飛騨の華」で、残りの原酒・蔵酒とにごり酒が「山の光」と思われる。カウンターで100円を支払い、「山の光」原酒・蔵酒をいただく。原酒らしく、つーんと来るが、その割にはまろやかな感じ。このちゃんは、にごり酒。味見をさせて貰うと、もろみが入っている分だけ、さらにまろやかで旨味も強い。どちらも、やはり昔ながらの酒、という感じがする。
「飛騨の華」の大吟醸も試飲してみたかったが、未だ先があるので一杯だけで仕舞。今回、「酔翁」は味見が出来なかったので、この次に機会があれば、是非呑んでみたい。原酒・蔵酒のストレートな感じが20年でどうなるか、ちょっと興味がある。何とか試飲できるようにして貰えないだろうか。猪口一杯、500円もするようであれば諦めるが。

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双六岳&笠ヶ岳ツアーの最終日は、バスで高山に移動して観光。観光と云っても、小生の独断と偏見により、酒造巡りに付き合って貰うことになった。個人的に高山は半年ぶり。高山の旧市街には、7軒の造り酒屋があるが、そのうち、今年の2月に3軒(舩坂酒造店原田酒造場老田酒造店)訪問済みなので、今回は残りの4軒を巡ろうと云う魂胆である。
高山に到着し、荷物をロッカーに預けたら、旧市街、三町筋の上三之町へ。今日は日曜日、陽気も良いので大変な人出である。海外からの観光客も目立つ。「坂口屋」とその向かいの「飛騨こって牛」の名物、飛騨牛のにぎり寿司の店頭販売は、どちらも長蛇の列、食べたくても、並ぶ意欲が殺がれるほどだ。
しかし、路地を一本外れ、上二之町へ入ると、ほっとするほど閑散としている。この路地には、「平田酒造場」、「二木酒造」、「川尻酒造場」が並んでいる。先ずは、「二木酒造」から。この酒造の看板銘柄は「玉乃井」である。
杉玉が下がった入口を通ると、板壁や柱が黒光りする店内。広々として天井も高い。外は汗が噴き出るほどだが、ここはひんやり。創業は元禄8年(西暦1695年)とのことなので、300年をこえる超老舗。現在の当主は15代目だそうである。
店内に客はゼロ。まだ時間が早いせいもあるが、今日、上三之町のメインストリートを練り歩いている観光客に、呑んだくれはいないらしい(そもそも、香港人やシンガポール人は、酒を呑まないらしいが)。おかげで心ゆくまで試飲ができるというものだ。
さて、試飲。ここでは猪口1杯ずつ有料というスタイル。銘柄は、氷室・純米大吟醸、両面宿儺・大吟醸、玉乃井・大吟醸、笑いじょうご・純米大吟醸などがずらり。ここは吟醸か大吟醸しかないようだ。
そのなかから、氷室・純米大吟醸(200円)を選んでみた。吟醸香はそれほど強くなく、コクがあってやや酸味や苦みも感じるので、大吟醸っぽくない。いかにも、300年前からずっとこの味を守って来ました、という感じが伝わってくる。

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キハ・レストランでイタリアンを堪能したあと、せっかくの機会なので、大原駅で少々散策。先ずは「木戸泉酒造」へ行ってみる。実は全く偶々なのだが、つい先日、六角精児の「呑み鉄本線・日本旅」(NHK-BS)で、いすみ鉄道編を視たばかりだった。とにかく、六角精児が朝からひたすら呑み続ける番組である。NHKも随分と大胆なことをやるもんだ。その番組の中で、この木戸泉酒造が出て来たので、是非訪れてみようと思っていた。
木戸泉酒造は、他の造り酒屋とはちょっと違ったことをやっている。そのひとつは高温山廃。普通、山廃仕込みは8℃くらいなんだそうだが、こちらはあえて目一杯高くして55℃。麹菌がこんな温度で生きていられるのかと不思議に思ってしまうが、たしかに殺菌効果は有りそうである。これによって、酸味が強めの酒が出来ると云う訳。
ふたつめは、一段仕込みによる濃厚多酸酒。乳酸発酵と酵母によるアルコール発酵を同時に行うことで、アルコール度数17~18%、日本酒度-30、酸度5~7の、超飛び切り濃厚多酸を実現。この造り酒屋では、「アフス」というブランドで販売している。もう一つは古酒。一般に日本酒は年を越して保存することはしないが、ここでは20年以上寝かせた日本酒もあるそうである。どちらも利き酒が楽しみだ。
場所は、駅からほんの数分のところ。判り易い。木戸泉酒造に近付くと、赤レンガ造りの煙突も目立つが、門に吊るされている巨大な杉玉が眼を惹く。こんな大きさは見たことが無い。門は開いているし、人影が無いのでずんずん入る。何処が売店なのか判らないまま奥へと進むと、建物の入口があった。
中に入って声をかけてみるが、だれも出て来ない。しばらくすると、外からひとり現れた。先日のテレビでは若旦那が六角精児を応対していたので、さしずめこの方は先代のご主人であろう。早速、利き酒させて欲しいと申し出る。どれでもどうぞ、とのことなので、お言葉に甘えて、狙い通り古酒の10年物と20年物、それに「アフス」をいただくことにした。
古酒は以前、伏見の月桂冠・大倉記念館で味わったことがあったので、風味に覚えはあった。20年物をいただくと、もう全く、これは日本酒ではない。香りも酸味も色も、もはや紹興酒に近い。唯一の違いは、日本酒のコクが残っていることか。今度は、「アフス」。口に含むと、やはりこれも日本酒ではない。まるでドライシェリーのようだ。製法を変えるだけで、こんなにも日本酒は変わるのか、と只、驚くばかり。勿論、どちらも買うことにした。

(利き酒に夢中となってしまい、酒の写真を撮り忘れた、残念!)

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木戸泉酒造のHP: こちら 

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