山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

山日記

ともかく登頂は果たしたので一応、達成感はあるがもうひとつすっきり出来ない。なにせ、まだ距離12kmあまりの下り(途中、少なくとも2回の登り返しあり)が残っているから。当然、登山は往路だけではない、無事に帰ってこそ完了である。
南沼の分岐まで戻ると、昨日の往路バスで一緒だった単独行氏と行き違う。あれ、何処で抜いたっけ?それとも、何処かでこの御仁が悠々とランチしていたのを、単に気がつかなかったのかな。それにしても、これからヒサゴ沼幕営地まで行けるのだろうか。人ごとながら、まだまだ先が長いので大変だ。彼に較べたら、我々が宿まで戻るなんてちょろいもんだ。そう考えたら、ちょっぴり気が楽になる。
雪田を下り、トムラウシ公園の手前で、チングルマの大群生と雪解け水の流れを眺めながら、少々腹ごしらえ(11時48分)。ここで食べておかないと下りでシャリバテしそうだ。それしてもここは地上の楽園だ。時間が許せばのんびりして行きたい。ここに泊まることが出来たら(勿論、幕営禁止だが)さぞや最高だろう。
トムラウシ公園からの登り返しで扱かれていると、往路バスで一緒だった、若者夫婦と行き違う。まぁ、ずいぶんとごゆっくりだ。あの調子だと、 今日は南沼幕営地までがいいところだろう。別に、山に登ることが目的ではなく、一緒に居ること自体が目的のように見受けられるので、全く問題ないのだろうけど。世界は二人のために、って感じだろうな(古いね)。 
12時38分、前トム平まで戻って来た。特大のトムラウシ山の眺めはここで終わり。もう来ることは無いかも知れないので、とりあえずゆっくり見納め。ここからコマドリ沢へ向かってを一気に下る。沢に入ればまた雪渓。今度はストックを取り出し、雪の上を滑りながら下る。カムイサンケナイ川出合まではすぐだ。ここから沢を離れ、標高差約100mの登り返しが気分的にキツイ。ふうふう云って漸くまた、田圃道に戻る。
あとは頭を空っぽにして、とにかく下る、下る、下る・・・。足を動かすこと自体に、だんだん飽きてきた。山登りが面白いとか辛いとかいう次元より、もうちょっと低いレベルで、退屈だ。なんだか馬鹿馬鹿しい。何をこんなに一生懸命、足を前に出しているのだろうか、と醒めたもう一人の自分がいる。
カムイ天上通過。さらに、下る、下る、下る。分岐だ。短縮コース組は、ここでもう終了の様なもの。羨ましい。また、下る、下る、下る。こんなに歩き続けないと山登りが終わらないのであれば、もう山登りはしなくてもいいか・・・。山登りに飽きたぞ!それでも下る、下る、下る。しゃくなげがあったが、花は未だ蕾だ。これから咲くのか?おっと、まさかの上り。黙々と上ったら、また下る、下る、下る。
あと宿まではもうちょっとだけの処まで来た。かなり気分的余裕が出来たので、ひと息入れようと休んでいると、10数mぐらい先を、キタキツネが普通に横切って行った(16時5分)。我々は、何が草叢から現れたのかとどきっとしたが、キタキツネの方は全く我々が眼中になかったらしい。我々はキタキツネにとって路傍の石か、家の近所のノラ猫でも、もうちょっとこっちを気にするぞ。
しかし、とりあえずそんなことはどーでもいい、下る、下る、下る、・・・おや見覚えがある処、登山口だ(16時30分)。おお、ありがたい、ありがたい。天候に感謝。兄貴に感謝。自分の膝に感謝。そしてトムラウシに感謝。

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朝4時ちょうど、東大雪荘(標高約640m)を出発。辺りはもう明るいので、ヘッドライトは特に不要。雲行きは怪しい。宿を出る時には雨は降っていなかったが、歩き出して程なく落ち始め、忽ち本降りとなったので、合羽を装着。ひょっとして今日一日雨なのかー、ちょっと憂鬱。
始めは結構、急勾配、しかし一頻り登れば緩やかとなり、ほぼ平らな道がしばらく続く。いかにも北海道の山らしい。そう云えば、後志羊蹄山の倶知安登山口も、富士山を浅間神社から歩き始めるときも、暫くこんな感じだった。
往路のバスで一緒だった単独行氏に「お先に」と追い越される。あの荷物でずいぶんと健脚だ。まだ先は長い、じっくり行こう。巨大な葉っぱの水芭蕉があった。湿地だろうか。小さなピークを越えながら登り、短縮ルートとの分岐(標高約1,040m)に到着。5時58分。嬉しいことに、雨は止んだようだ。ここまでで結構、登った感がある。マイカーやツアー客はここから合流してくるはず。1時間40分ほど短縮できるのは羨ましい。往路のバスで一緒だった若者夫婦をここで抜く。この先もゆるゆるとした登りが続く。
6時41分、「カムイ天上」到着(標高約1,300m)。雨はすっかり上がったが、遠望はまだ利かない。木々に囲まれて緩い登り坂の途中の何の変哲もない場所、なぜここを「カムイ天上」と呼ぶのだろうか。この先は暫く田圃のようにぬかるんで足元がやや悪い場所らしいのだが、実際には木道もだいぶ整備されていて、歩き難いということはない。黙々と進めば、やがてガスも切れて来て、遠くの山々も木々の間に見え隠れする。あれがトムラウシだろうか。絶望的に遠い。
7時52分、コマドリ沢への下降点。せっかく登ったのに、ここから沢まで約100m下る。虚しい。降り立ったところが、カムイサンケナイ川の源流。「カムイサンケナイ」とは、アイヌ語で「飲めない水」を意味するそうだ。そもそも火山なので、鉱毒が含まれていても不思議ではない。尤も、エキノコックスが怖くて、何処の沢も生水では飲む気はしないが。
カムイサンケナイ川に沿って暫く登り、8時19分、コマドリ沢入口(標高約1,420m)に到着。ここで、樹林帯から解放される。いつの間にか、かなり良い天気になってきた。何人かが休憩している。下って来た登山者もいるようだ。率直に云って羨ましい。ここから前トム平まで高度差約300m、先ずはコマドリ沢に詰まった雪渓を100m余り登る。結構な勾配だが、雪は程良く腐っていて歩き易い。時折吹く風が涼しく、気持ちが良い。高度が上がるにつれて、周りの雄大な地形も判って来る。雪渓を離れ、ガラガラな岩屑の上をさらに登って行く。この辺りの登りが、我慢のしどころだろう。
9時25分、前トム平(標高約1,730m)到着。ここで森林限界を越えたようだ。数人が屯している。初めて、茫洋としたトムラウシ山の全貌が見えた。ビークそのものは、手前の岩峰が邪魔で見えていないようである。この先は、眺めが利く山道。疲れを忘れさせてくれる。
巨大な岩が累々と重なり合った処を暫し下ると、トムラウシ公園(9時45分)。チングルマ、コマクサ、エゾツツジ、ツガザクラ、イワブクロなどが咲き乱れている。キバナシャクナゲが地べたを這うようにして咲いている。カメラを構えている登山者がちらほら。この先が無ければ、のんびりして行きたい雰囲気。
10時30分、赤沼分岐点。直ぐ傍に幕営地があって、いくつかテントが並んでいる。ここから十勝岳を目指す登山者を目にする。みんな、長い時間歩くの、好きなんだなぁ。
午前11時、山頂到着。天気は回復したが、大雪山や十勝岳など遠くの山は霞んでいて見えない。ここまで休憩入れて7時間ちょうど、まあまあのペースだろう。それにしても同じ距離を歩かないと、宿に戻れないと思うとぞっとする。千里の道も一歩から、焦らずに下ろう。

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三連休だが諸事情により山は日帰りとなったため、単独行でさて何処に行こうかと暫し思案、ふと、マレーシア長期出張中で山から遠ざかっていた頃に、隊長が固め打ちしていた釈迦ヶ岳(1,641m)に思い至る(山の会の記録は、第255回第279回をご覧あれ)。30数年前に一度登ったきりで、それも何処から登って何処に下りたのか(たぶん檜峯神社)が判然としていないので、その確認も兼ねて登ってみようと考え、とりあえず、鳥坂峠から東進して釈迦ヶ岳を目指し(黒打ノ頭までは第253回と同じ)、下山は檜峯神社とした。鳥坂峠へ行くには、石和温泉駅あるいは河口湖駅からでも同じような距離と時間で辿りつけそうなのだが、運賃が安い石和温泉駅からのアプローチとした。
9時11分、新鳥坂トンネルの芦川側でタクシーを下車し(5,320円)、ゆったりとした道を峠へ上がる。鳥坂峠(標高約1,070m)から先は、アップダウンを繰り返しながらも次第に高度を上げていく。所々、岩っぽいところもあってアクセントになっている。この尾根道はすっかり木々に覆われていて、意外に眺めが無いので、只、黙々と進むしかない。少々寂しいくらいだが、鳥類や哺乳類の活動は結構、活発そうである。至る所で、たぶんイノシシ(あるいはクマ)が、ついさっき掘り返したと思われるような穴凹があいている。複数で歩いているとなかなか気が付かないことだが、単独行で神経を集中して歩いていると、動物たちが人間の足音や熊鈴の音に気付き、突然走り出す物音に、こちらが驚かされたり、真新しい足跡を残していくのを目にすることがある。鳥の中には結構、好奇心が強いものもいて、わざわざこちらを見に来る輩だっている。
この東西に横たわる尾根のほぼ全てが広葉樹林なので、今日のように日差しがあると明るくて気持ちがいい。富士山が時々見え隠れする。気が付くと、尾根の北側は総じて緑が濃いが、南側はだいぶ紅葉が進んでいるように見える。日当たりの良し悪しが紅葉の色付きの早さに影響するのだろうか。
1,309m峰あたりで、初老の単独行氏と行き違う。どちらまで?と聞かれたので、釈迦ヶ岳のつもりです、と答える。お互い、お気を付けてと別れたが、どうやら釈迦ヶ岳から来た訳ではなさそうだった(それにしては随分と速い)。何処から現れたのか・・・。まさか尻尾が生えているかどうかまで確認しなかったが、よくよく思い出してみれば、お互いを視認した瞬間から小生がそこまで辿り着き、通り過ぎるまで、何故かその御仁は立ち止まったままだったし、立木に手を掛けたままだった。慣れない二本足で歩くところを見せたくなかったのかも知れぬ・・・。
結構岩っぽい尾根を暫し登ると、傾斜が緩くなり、ちょっと広くなったところが1,473.3mの黒打ノ頭(神座山)である(11時20分)。ようやく釈迦ヶ岳が見えた。相変わらず端正なトンガリ具合だ。左に檜峯神社へ下る第二登山口を分け、一旦下降。1,521m峰までは少々急な登り。釈迦ヶ岳がぐっと近づくが、その登りを前にしてまたまた下降するのが少々切ない。下ったところが上芦川へ下る分岐(12時22分)。上芦川まで15分と書いてあるが、そんなに速く下れるのだろうか。檜峯神社への第三登山口の分岐が無いなと思っていると、そのすぐ先にあった。
やがて最後の登り。かなりの急登だが、道が巧みに付けられていて(というよりも岩が巧みに配置されているが如く)、登り易い。要所にロープが懸っているが、たとえ下りであっても雨天でもなければ特段不要。誰かが下りてくる気配を感じると、程なく中年夫婦連れが現れる。ぐんぐん高度を稼ぎ、それにつれて周囲の見晴らしも良くなる。あまり明瞭ではないものの、南アルプスや八ヶ岳が見えている。奥秩父連峰が、雲取山から金峰山まで良く見渡せる。富士山は黒々として大きいが、襖絵の如く平面的に見える。
突然、ポンと山頂に出る(12時43分)。若者男子がひとり、富士山を眺めながら佇んでいた。黒岳が結構近く見えるが、この時間からでは下山は日が暮れそう。またの機会にとっておこう。檜峯神社第三登山口へ下ることにする(それにしても何故、3つも登山道を作ったのだろうか)。岩場は慎重に下るが、岩があった方がホールドが豊富なのでむしろ下り易いくらいである。分岐から右に折れ、北斜面を下る。トラロープが登山道に沿って張られているが、沢地らしく石がゴロゴロしている。たしかにロープが無いと道が判り難いし、そもそも甚だ歩き難い。
暫し我慢しながら慎重に下り、植林帯になり登山口まであと10分くらいになった頃、迎えのタクシー(朝、乗ったタクシーと同じ)を呼ぶ(DOCOMOでも電波が弱く、掛かり辛い)。第三登山口の道標が立っている車道に出る(14時8分)。タクシーが来るまで檜峯神社を見学しようと、左に折れ車道を辿る。やがて見えてきた神社は、こんな山の中にしてはとても立派。30数年前に見たような気がしてきた。しかし、当時どこから登ったのかは曖昧なまま。ドンベイ峠(日向坂峠)だったのかも知れない。
やってきたタクシーの運転手に、さっそくお薦めの立ち寄り湯を聞くと、イチオシは「はやぶさ温泉」とのことだったが、ちょっと遠いし既に入湯済。石和温泉駅から歩ける範囲内でどうか、と聞くと、だったら「ホテル平成」がいいと云う。初めて聞く名前(後でWEBを見ても、立ち寄り湯OKとは書いていない)なので行ってみると、外見はちょっと地味めなビジネスホテル風。フロントの係から、未だ宿泊客も来ていないですヨ、と云われ2階に上がり、有難く一番風呂で入湯(700円)、肌触りが柔らかい湯だった。

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