山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

北海道

サッポロビールを呑みながらジンギスカン鍋を軽く突いた後、暫し土産物屋で買い物。一応、気が済むまで物色し、ひと揃い買った後、まだ時間があるので再びレストランフロアへ行って、軽く北海道最後の食事(≒呑み)をすることにした。今度は和食が良いねと、入ったのが「海老善」なる北海道料理の店。エスカレータを上がって直ぐ目の前にある。店の入口に並べられた食品サンプルがもの凄い数だ。なんでもありますよ、って強烈にアピールしている。数ある丼物には興味が湧かないが、一品料理がどれほどあるか、と云う視点でみてもまずまずある。
店に入ってみて先ず驚くのは、とにかく中国系観光客が多いこと。北海道に来た観光客にとっては、北海道らしい食事をしたいというのが人情。それは日本人に限らず万国共通ということではなかろうか。我々のテーブルの両側とも中国系。意外に静かにしているのは、日本のたしなみを学習したのか、単に疲れているのか判らない。我々がノンビリ時間をかけて呑んで喰っている間、入れ替わり立ち替わり、中国系観光客がやってくる。彼らは酒を飲んだりしないので、頼むのはだいたい丼物。喰うだけ喰ったらそのうち出て行く。
我々は、席についたら日本酒でスタート。この店は、意外にも日本酒のバリエーションが豊富。北海道の酒だけではない。酒があって一品料理が充実していれば申し分ない。あとは価格だが、さすがに空港内なので、やや高めであることは否めない。でも恐らく、羽田とか成田に較べればましだろう。
兄貴は国士無双、一本槍、小生は片端からいろいろ呑む。つまみは色々あって迷うが、もうそれ程は要らないので、北海道らしいイカソーメン、ほっけ塩焼き、珍味盛り合わせ、アスパラサラダをいただく。それぞれ、なかなかである。今回の山行の締めくくりには申し分なかった。そう云えば、うに、喰い損なったなー。 

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トムラウシ山を登った翌日は、東大雪荘8:45発のバスに乗って新得駅へ。一昨日の往路はたった乗客5人だったが、今日のバスはなんと満席である。みんな、でかいリュックサック。トムラウシ山を越えてやって来たのだろう。皆さん、きっと長く歩くのが好きなんだろうな。新得駅10:15着。
今日の昼食は、新得駅前でゆっくり蕎麦でも手繰りながら一杯やろうという目論見だったのだが、その蕎麦屋へ行ってみると、まだ時間が早いせいか店が開いていない。おっと、これは計算違い。ならば、1つ前の特急に乗って、早々に新千歳まで戻り、そこでゆっくりしようということになった。上手い具合に10:40発「スーパーおおぞら4号」の座席が確保、再びキハ261系に乗る。一昨日は鉛色の空を見ながらの列車旅だったが、今日は良い天気。瑞々しい森の緑が延々と続く。
12時過ぎに新千歳到着。羽田行フライトのチェックインを済ませたらランチ。いつもながら、新千歳空港内のレストラン街は大層賑わっている。さて今日は何処に入ろうかと、うろうろして結局入ったのがここ「松尾ジンギスカン」だった。道内に店舗展開しているチェーン店だと云う(調べると、赤坂と銀座にも支店があった)。
実は何を隠そう、生まれてこの方、ジンギスカン鍋なるものを食したことが無かった。今回、有名なサッポロビール園でも行ってみようかと思ってはみたのだが、行き帰りに時間を取られるし、時間を気にしながら呑み喰いは忙しいと思い諦めたのだった(実はその後、知ったのだが、千葉の南船橋にも「サッポロビール園」があるそうだ。今度、行ってみるか)。
とりあえずビールでご苦労さん乾杯をした後、ランチセットを注文してみる。テーブルには既にジンギスカン鍋がセットされている。やがて具材がやってくると、ひと通り食べ方の説明がある。しゃぶしゃぶのような薄切り肉が出てくるのかと思ったら、 結構厚みがある。タレが掛かった野菜は、火を通るまで食べないでください、との説明。タレが生ってことですかね。もやしが随分、たっぷりだ。
そこそこ火が通ったところで肉を頂く。思ったより肉は柔らかい。それにしてもタレがなかなか美味いな。ビールに良く合うと思う。この店が東京まで支店を出している理由が何となくわかる。今度、銀座の店にも行ってみるか。
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午後4時半、トムラウシ山から下りて、漸く東大雪荘に戻って来た。今日、持って行った水3Lは、殆ど飲み干したのにも拘らず、宿に戻ると風呂にも行かず、先ずビールをがぶ呑み(兄貴は汗を流す方が先決で、風呂へ直行)。ふー、生き返ったー。こんな美味いアサヒスードライを呑んだことは、とんと記憶に無い。気温はそれ程ではなかったものの、やはり日差しが出ると暑くて喉が渇く。12時間半も歩いていれば、3Lの水を飲んでも不思議はないだろう。
それにしても、12時間以上も行動していると、山そのもののことよりも、歩くこと自体に飽きることが判った。こんなに歩く必要があれば、もう山に登れなくてもいい、と云う気になる。トムラウシは遥かな山だ。でも考えてみると、雲取山だって鴨沢から片道約11km、往復12時間なんてかからないが、それなりにタフなコースだ。電車とバスでは日帰りは難しいので、雲取山日帰りなんて考えたことも無いが、物理的に可能になったとしても、果たしてそういう気持ちになれるかどうか(なにせ、アドレナリンの分泌量少ない故)。
何れにせよ今回、膝が壊れなかったのは、多少自信になった。そう云えば、東京は今日、梅雨が明けたらしい。ここがいくら暑かったとは云え、東京に較べればはるかにましだ。やはり北海道くんだりまで来た甲斐があった訳だ。少々、優越感で気分が良くなった。さて風呂に行くか。
風呂場への途中、山の情報を共有するための掲示板(ホワイトボード)がある。ヒグマには遭遇しなかったとか、ナキウサギを見たとか云うのと並んで、東大雪荘を何時に出て何時に帰って来たのか、という記録が興味深い。曰く、
 ・出発3:45 帰着14:45
 ・出6:13 帰14:16 (28才女、27才男)
 ・短縮登山口4:19 下山11:37 (57才男)
など、結構早い方々がいる一方、
 ・A社2:30出 → 18:00帰
 ・B社3:30出 → 18:30帰
 ・C社3:45出 → 20:30帰
なんて記録もある。「○社」となっているところは、ツアーだろう。有象無象の集団であれば、なかには脚力の弱いヒト、調子が出ないヒトもいるのだろう。それにしても短縮コースであっても、15~17時間も歩いたヒトたちがいる(もはやこれは山登りではない、壮絶すぎてサバイバルそのものだ)訳で、それに較べれば12時間で「飽きた」なんてほざくのは甘っちょろいかも知れない。

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ともかく登頂は果たしたので一応、達成感はあるがもうひとつすっきり出来ない。なにせ、まだ距離12kmあまりの下り(途中、少なくとも2回の登り返しあり)が残っているから。当然、登山は往路だけではない、無事に帰ってこそ完了である。
南沼の分岐まで戻ると、昨日の往路バスで一緒だった単独行氏と行き違う。あれ、何処で抜いたっけ?それとも、何処かでこの御仁が悠々とランチしていたのを、単に気がつかなかったのかな。それにしても、これからヒサゴ沼幕営地まで行けるのだろうか。人ごとながら、まだまだ先が長いので大変だ。彼に較べたら、我々が宿まで戻るなんてちょろいもんだ。そう考えたら、ちょっぴり気が楽になる。
雪田を下り、トムラウシ公園の手前で、チングルマの大群生と雪解け水の流れを眺めながら、少々腹ごしらえ(11時48分)。ここで食べておかないと下りでシャリバテしそうだ。それしてもここは地上の楽園だ。時間が許せばのんびりして行きたい。ここに泊まることが出来たら(勿論、幕営禁止だが)さぞや最高だろう。
トムラウシ公園からの登り返しで扱かれていると、往路バスで一緒だった、若者夫婦と行き違う。まぁ、ずいぶんとごゆっくりだ。あの調子だと、 今日は南沼幕営地までがいいところだろう。別に、山に登ることが目的ではなく、一緒に居ること自体が目的のように見受けられるので、全く問題ないのだろうけど。世界は二人のために、って感じだろうな(古いね)。 
12時38分、前トム平まで戻って来た。特大のトムラウシ山の眺めはここで終わり。もう来ることは無いかも知れないので、とりあえずゆっくり見納め。ここからコマドリ沢へ向かってを一気に下る。沢に入ればまた雪渓。今度はストックを取り出し、雪の上を滑りながら下る。カムイサンケナイ川出合まではすぐだ。ここから沢を離れ、標高差約100mの登り返しが気分的にキツイ。ふうふう云って漸くまた、田圃道に戻る。
あとは頭を空っぽにして、とにかく下る、下る、下る・・・。足を動かすこと自体に、だんだん飽きてきた。山登りが面白いとか辛いとかいう次元より、もうちょっと低いレベルで、退屈だ。なんだか馬鹿馬鹿しい。何をこんなに一生懸命、足を前に出しているのだろうか、と醒めたもう一人の自分がいる。
カムイ天上通過。さらに、下る、下る、下る。分岐だ。短縮コース組は、ここでもう終了の様なもの。羨ましい。また、下る、下る、下る。こんなに歩き続けないと山登りが終わらないのであれば、もう山登りはしなくてもいいか・・・。山登りに飽きたぞ!それでも下る、下る、下る。しゃくなげがあったが、花は未だ蕾だ。これから咲くのか?おっと、まさかの上り。黙々と上ったら、また下る、下る、下る。
あと宿まではもうちょっとだけの処まで来た。かなり気分的余裕が出来たので、ひと息入れようと休んでいると、10数mぐらい先を、キタキツネが普通に横切って行った(16時5分)。我々は、何が草叢から現れたのかとどきっとしたが、キタキツネの方は全く我々が眼中になかったらしい。我々はキタキツネにとって路傍の石か、家の近所のノラ猫でも、もうちょっとこっちを気にするぞ。
しかし、とりあえずそんなことはどーでもいい、下る、下る、下る、・・・おや見覚えがある処、登山口だ(16時30分)。おお、ありがたい、ありがたい。天候に感謝。兄貴に感謝。自分の膝に感謝。そしてトムラウシに感謝。

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朝4時ちょうど、東大雪荘(標高約640m)を出発。辺りはもう明るいので、ヘッドライトは特に不要。雲行きは怪しい。宿を出る時には雨は降っていなかったが、歩き出して程なく落ち始め、忽ち本降りとなったので、合羽を装着。ひょっとして今日一日雨なのかー、ちょっと憂鬱。
始めは結構、急勾配、しかし一頻り登れば緩やかとなり、ほぼ平らな道がしばらく続く。いかにも北海道の山らしい。そう云えば、後志羊蹄山の倶知安登山口も、富士山を浅間神社から歩き始めるときも、暫くこんな感じだった。
往路のバスで一緒だった単独行氏に「お先に」と追い越される。あの荷物でずいぶんと健脚だ。まだ先は長い、じっくり行こう。巨大な葉っぱの水芭蕉があった。湿地だろうか。小さなピークを越えながら登り、短縮ルートとの分岐(標高約1,040m)に到着。5時58分。嬉しいことに、雨は止んだようだ。ここまでで結構、登った感がある。マイカーやツアー客はここから合流してくるはず。1時間40分ほど短縮できるのは羨ましい。往路のバスで一緒だった若者夫婦をここで抜く。この先もゆるゆるとした登りが続く。
6時41分、「カムイ天上」到着(標高約1,300m)。雨はすっかり上がったが、遠望はまだ利かない。木々に囲まれて緩い登り坂の途中の何の変哲もない場所、なぜここを「カムイ天上」と呼ぶのだろうか。この先は暫く田圃のようにぬかるんで足元がやや悪い場所らしいのだが、実際には木道もだいぶ整備されていて、歩き難いということはない。黙々と進めば、やがてガスも切れて来て、遠くの山々も木々の間に見え隠れする。あれがトムラウシだろうか。絶望的に遠い。
7時52分、コマドリ沢への下降点。せっかく登ったのに、ここから沢まで約100m下る。虚しい。降り立ったところが、カムイサンケナイ川の源流。「カムイサンケナイ」とは、アイヌ語で「飲めない水」を意味するそうだ。そもそも火山なので、鉱毒が含まれていても不思議ではない。尤も、エキノコックスが怖くて、何処の沢も生水では飲む気はしないが。
カムイサンケナイ川に沿って暫く登り、8時19分、コマドリ沢入口(標高約1,420m)に到着。ここで、樹林帯から解放される。いつの間にか、かなり良い天気になってきた。何人かが休憩している。下って来た登山者もいるようだ。率直に云って羨ましい。ここから前トム平まで高度差約300m、先ずはコマドリ沢に詰まった雪渓を100m余り登る。結構な勾配だが、雪は程良く腐っていて歩き易い。時折吹く風が涼しく、気持ちが良い。高度が上がるにつれて、周りの雄大な地形も判って来る。雪渓を離れ、ガラガラな岩屑の上をさらに登って行く。この辺りの登りが、我慢のしどころだろう。
9時25分、前トム平(標高約1,730m)到着。ここで森林限界を越えたようだ。数人が屯している。初めて、茫洋としたトムラウシ山の全貌が見えた。ビークそのものは、手前の岩峰が邪魔で見えていないようである。この先は、眺めが利く山道。疲れを忘れさせてくれる。
巨大な岩が累々と重なり合った処を暫し下ると、トムラウシ公園(9時45分)。チングルマ、コマクサ、エゾツツジ、ツガザクラ、イワブクロなどが咲き乱れている。キバナシャクナゲが地べたを這うようにして咲いている。カメラを構えている登山者がちらほら。この先が無ければ、のんびりして行きたい雰囲気。
10時30分、赤沼分岐点。直ぐ傍に幕営地があって、いくつかテントが並んでいる。ここから十勝岳を目指す登山者を目にする。みんな、長い時間歩くの、好きなんだなぁ。
午前11時、山頂到着。天気は回復したが、大雪山や十勝岳など遠くの山は霞んでいて見えない。ここまで休憩入れて7時間ちょうど、まあまあのペースだろう。それにしても同じ距離を歩かないと、宿に戻れないと思うとぞっとする。千里の道も一歩から、焦らずに下ろう。

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JR新得駅からバス(往路1日1便、復路1日2便しか無い)で1時間半のところに、「東大雪荘」という国民宿舎がある。鉄筋コンクリート造りの建物はなかなか立派で、人里離れた原始の森の中にある、一軒家とは思えない。客室数は29あるが、シーズン中は、常に満室という、人気の宿であるらしい。トムラウシ登山とは無関係に、単に温泉に浸かりに来る客もそれなりに居るようだ。
新得駅からのバスには、我々を含めて3パーティ、5人のみが乗車。我々以外は何れもでかいリュックサックなので、単にトムラウシ山往復ではなさそうである。バスは玉蜀黍畑や馬鈴薯畑を抜け、十勝川を延々と遡る。途中、遠くに十勝連山らしき山山が見える。
宿にチェックイン後、明るいうちに登山口を確かめようと行ってみると、他の3人も来ていた。単独行の方の話によれば、トムラウシ、大雪山を越えて層雲峡まで行くとのこと。いったい、何日で行けるのだろうか。何れにせよ、我々はそんな真似はできない。へ~っと感心するばかり。登山口の傍に源泉があり、噴泉塔まである。珍しいシロモノだ。源泉の温度は93℃とのこと。
下見がすんだら風呂へ。ここは日帰り温泉(500円)も受け入れているので、かなり賑わっている。露天風呂で、缶ビールを呑んでいる輩もいる(宿に内緒で呑んでいる?宿は黙認?)。随分とご機嫌のようだ。もう一仕事終わらせてきたのだろう、我々も肖りたいものだ。
さっぱりしたら、食堂である「レストラン・カムイ」で夕餉。テーブルに並んだ料理は、車道が通じているにしても、こんな奥深い山の中としてはまずまずか。通常は、1泊2食付きで8,000円だが、夏のシーズンで+1,000円、休前日だと更に+1,000円ということで、今日は10,000円。8,000円だとお得感がありそうだが、10,000円だとこんなものかな、という料理であった。それでもこれだけ料理があるので、やっぱり生ビールと日本酒をグビグビ呑んだ(あれっ、自重してたんじゃ・・・?)。とりあえず、明日は明日だ!

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東大雪荘のHP: こちら
 

トムラウシ山は東京からは遠い。とは云え、金さえ掛ければ東京から2泊3日で登って来られる。便利な時代だ。考えてみれば、日本アルプスの一部の山を除けば、殆どの日本の山は、2泊すれば往って帰って来られるだろう。利尻山だって、屋久島の宮之浦岳だってそうだ。そうなるとたいていの場合、1日目は基本的にアプローチのみとなる。
今回も、1日目は登山基地となる東大雪荘までは、公共交通機関を乗り継ぐだけで全く歩き無し。呑んだくれても辿り着くことは出来る。羽田から新千歳空港に降り立ち、 快速エアポートで隣りの南千歳駅へ移動、石勝線経由で根室本線へ向かう「特急スーパーとかち」を待つ。待つ間、ホームにある売店で駅弁を購入。
北海道には、これまで仕事で札幌に何度か来たくらいで、あとは昨年の利尻山、一昨年の後方羊蹄山だけ。利尻山は飛行機利用なのでJR北海道のご厄介にはなっていない。従って、これまでJR北海道の路線は、千歳線と函館本線しか乗ったことが無い。ついでに云えば、非電化区間の乗車は小樽と倶知安の間だけ。今回は、南千歳から新得まで、ディーゼルカー・キハ261系による石勝線の旅。新しいこと尽くめである。
「特急スーパーとかち」に乗ってみた印象としては、結構快適、ディーゼルカー特有の振動も少ない。脱線事故や火災で随分、社会的信頼を損なっているようだが、今日は大丈夫そうである。車窓から見る風景は、北海道的と云えば北海道的。ひたすら、森。時々、畑。時々、牧場。人家が見えない。全線が単線区間のせいで、所々、スノーシェルターで覆われた信号所を通過する。これも北海道的な眺めだ。途中、追分、新夕張、占冠、トマムに停車。
車窓からの風景を眺めながら、駅弁をパクつく。仕入れた弁当は、汐彩弁当(1,100円)。右に「ほっきめし」左に「サーモン寿司」、真ん中に「いくら」という豪華版。ホッキ貝が柔らかくて美味い。普通ならば、ここで当然ビールなのだが、明日の本チャンを前に、ちょっぴり自重した。我が身を驚くほど、レアケースである。

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利尻島から新千歳に戻り、羽田便への乗り継ぎ待ちに1時間ほどあるため、再び3Fのフードコートへ。昨年と同様、帰路は蕎麦屋に入ることにして、エスカレータで上がった目の前にある「一灯庵」に入店。蕎麦を注文する前に先ず生ビールを呷る。当然、サッポロビール。北海道の海の幸もこれで喰い収めなので、その後、徐にホタテ刺し、イカそうめんを注文。ビールの後は、男山の冷酒を飲むことにして、併せてアスパラ焼きと珍味盛り合わせも注文。しゃきしゃきアスパラにはバターが載っていて美味、これも北海道の味。変わっているのが珍味盛り合わせにあった、男爵イモのイカ塩辛掛け。意外な(そして見掛けはあまり美味そうではない)組み合わせだが、男爵のホクホク感と塩辛の塩味が相まって、なかなかイケる。空港内にあるだけに、この蕎麦屋は北海道色満点である。そして最後はもりそば。やや太めで、ツルツル、シコシコ感はなかなか。手打ちではなさそうだが、蕎麦粉もおそらくは北海道産なのだろう。北海道に別れを告げるには申し分ない料理だった。

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利尻山に登るには、基本的に前日から利尻島に泊り、山から下りた当日もその足では羽田までは戻れないので、自ずからもう一泊することになる。今回は、二泊とも北国グランドホテルに滞在。見た限りでは、利尻島で最大級のホテルのようだ。最果ての地にあるホテルらしく、部屋にはエアコンが無いが、今日の気温では全く問題ない。一日目の夕食は、さすが北海道、と思わせる海の幸尽し。普通は、こんなにあるともう、ご飯までは辿りつけないのだが、そのご飯がウニ飯とあっては手付かずという訳にはいかない。明らかに食べ過ぎだ。午後9時就寝。
翌朝、午前5時に送迎バス(他に同乗者3名)でホテルを出発し、ほんの5分ほどで登山口の北麓野営場(標高210m)に到着、直ちに登山開始。登り口に靴の裏側を洗う施設がある。外来植物種の持ち込み防止を狙ったもののようだ。我々以外にも十数名の登山者が支度中。台風の影響か、やや湿度が高い感じもするが、時折吹く風は最果ての地らしく冷たい。東京では予想最高気温34℃とか言っているようだが、こちら(稚内の予想気温)は17℃。遠路遥々来た甲斐があったというもの。しばし、針葉樹林に包まれた緩やかな登りを黙々と辿る。直ぐに甘露泉水(日本名水百選)、その先がポン山(標高444m)との分岐。利尻島の地図を見ると、ここに限らず、ポン山がいっぱいある。「ポン」とはアイヌ語で「小さい」という意味とのこと。3日目の観光ツアーの女性ガイドによれば、ポン山は利尻山の寄生火山だったらしい。
6時28分、5合目到着。あたりは背が低いダケカンバの森。標識を見ると、標高610mと書いてある。一方、山頂は1,721mだ。合目のつけ方が良く分からない・・・。5合目だったら、山頂の標高の半分じゃないの? あとで調べてみると、

・3合目甘露泉 270m
・4合目野鳥の森 410m (+140m)
・5合目雷鳥の道標 610m (+200m)
・6合目第1見晴台 760m (+150m)
・7合目胸突き八丁 895m (+135m)
・8合目長官山 1,218m (+323m)
・9合目ここからが正念場 1,400m (+182m)
・山頂(南峰) 1,721m (+321m) 

となっていて、単に標高差ではない。所要時間も加味されているのだろうか。実際、歩いてみた結果、5合目から6合目まで所要時間は26分、6合目から7合目までは21分、7合目から8合目は53分、8合目から9合目は40分だった。9合目から山頂(1,719mの北峰までしか行けない)が、最も大変な感じはするが52分だった。すると時間だけでもなさそうだ・・・。是非、この標識を建てた人に根拠をお尋ねしたい。
6時54分、6合目第1見晴台に到着。残念ながら殆ど眺望は利かないが、沓形港辺りの海だけが見下ろせる。
8時8分、長官山到着。このあたりはすっかりハイマツに覆われている。山頂に立派な石碑が立っているが、ときの北海道庁長官が登頂した記念に建てたらしい。登頂しただけで石碑とは・・・。佐上信一という人はよほどエラかったのだろう。
8時20分、避難小屋到着。ここには十数人が屯している。ここから空身で登ろうとしている人がいる。へばっている人もいるようだ。
小屋を過ぎると、ハイマツの背丈が低くなり、見通しが利くようになる。山頂は見えないが、時折、海岸線が見えて気宇壮大だ。そういえば湯河原の幕山からも海岸線が見えたが(山の記録はこちら)、やはりこちらは格が違う。香港のSharp Peak(Nam She Tsim)を思い出す(山の記録はこちら)。
8時48分、9合目到着。看板に「ここからが正念場」と書いてある。実際、火山弾(丸い小石)が堆積したような場所は、ザラザラでずり落ち易く、非常に歩き難い。
9時40分、山頂到着。休憩時間を入れて4時間35分、まずまずのペース。やはり前後ホテル泊は、リュックサックが軽くて良い。まったくガスの中、ロウソク岩すらも見えないが、気分は悪くない。山頂直下の断崖には様々な高山植物が咲き乱れている。岩にへばり付いて咲いているエゾツツジは、これもツツジなのかと思うほど小さく可憐である。ゆっくり時間を取って、ホテルの弁当(巨大おにぎり2個)をパクつく。
10時5分、下山開始。続々と登ってくる登山客と行き違う。殆どが熟女軍団だが、ある男性登山者が、「リシリヒナゲシ、見ましたよー!」 とホントうれしそうで、興奮気味に(かつ、あれ、何処かでお会いしましたっけ?と思わせるほど親しげに)仰る。この利尻山の固有種らしい。(予習不足で)見たことも聞いたことも無かったので、どれがリシリヒナゲシか判らない。山から下りて、ホテルの売店で花図鑑を見て初めて知った(その後、利尻空港の花壇に植えてあるのに気が付いた)。
9合目を過ぎるとガスが切れ、海岸までの裾野が見渡せるようになる。汽笛が聞こえる、港に入るフェリーだろうか。振り返ると、山頂のガスももう暫くすればとれそうだ。
13時30分、北麓野営場に帰還。下りは膝を痛めないようゆっくり歩いたせいか、結構長く感じた。早速ホテルに迎えを呼ぶ。ホテルに着いたら先ず缶ビールで祝杯。温泉大浴場(「日本最北端の温泉」が謳い文句)で汗を流し、鴛泊集落に唯一あるコンビニ(セイコマート)でつまみと酒を仕入れ、部屋で飲み始める。ふと窓の外を見ると、利尻山が全貌を現していた。惚れ惚れするほど凛々しい姿だ。
18時になったらまた7Fのスカイラウンジで夕食。まさか1日目と同じメニューとは思わなかったが、ガラッと異なる料理だったので安心。2日目はカニ飯が中心だった(恨み節が聞こえてきそうなので、もう多くを語るのはやめておく)。この2日間の摂取カロリーは、利尻山登山での消費カロリーを大幅に上回ったものと思われた。

DSC_0282 00釜の中はウニ飯


DSC_0285 01登山口の野営場

DSC_0294 02海が見える

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DSC_0313 04避難小屋が見えてきた

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DSC_0325 07下界が見えてきた

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DSC_0342 10北峰到着

DSC_0347 11山頂のエゾツツジ

DSC_0358 12雪渓が見える

DSC_0360 13海が青い

DSC_0368 14右が長官山

DSC_0379 15見えそうで見えない山頂

DSC_0398 16ホテルの窓から

 DSC_0402 99釜の中はカニ飯

DSC_0445空港の花壇にあったリシリヒナゲシ

DSC_0458飛行機から利尻山を見下ろす

利尻島一周観光のあと、利尻空港へ。まだフライトまで2時間近く有り、係員がおらずチェックインもできないので、2階に上がってなにか食べることにする。行ってみると、片隅に喫茶店が1軒あるのみ。小さい空港なので致し方ないが、喫茶とは言え、カレーライスやピラフ以外に、ウニ丼や利尻昆布ラーメン、島のりおにぎりなんてものもある。利尻昆布ラーメンを注文してみる。出来上がりを待つ間、生ビールを傾ける。窓の外には滑走路が見え、その奥には雲に隠れた利尻山。晴れていたら絶好のシチュエイションで、ビールが一層美味くなるはずだ。利尻島から利尻山とウニと昆布をとってしまったら(昔はこれに鰊も入っていた訳だが)、全くつまらない島になるだろう、などとつらつら想像してみる。
この利尻昆布ラーメンは、利尻漁協が販売している袋入りラーメン(麺は乾麺ではないらしい)とのこと。昆布は利尻島最大の水産資源なので、様々な食品に加工されているようだが、そのラーメンとはいったい如何なるものか・・・。やがて出てきたラーメンは、たしかに昆布の香り。それもそのはず、とろろ昆布がトッピングされている以外に、スープも当然昆布だしで、なんと麺にも練りこんでいる(たしかにやや緑がかった色をしている、翡翠麺のよう)という、トリプル昆布である。麺は昆布が入っているせいか、プリプリである。スープもだしが良く利いた塩味で、思わず唸ってしまう。これはたしかにインスタントラーメン(じゃないけど)や、よくある土産物的ラーメンの域を超えている。マツコ・デラックスが絶賛したらしいが、頷ける味である。病みつきになるかも知れない。

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利尻山に登頂した翌日、すなわち利尻島3日目は、14時30分発新千歳行ANA便(1日1往復!)までたっぷり時間があり、それまで手持無沙汰なので、島内一周観光(料金:3,200円/人、所要時間:4時間弱)に行ってみた。バス2台(うち1台は何と2階建てバス!)分の客の殆どは、稚内からフェリーで来た客で、このバス観光が終ったら礼文島行きのフェリーに乗るという、云わば利尻島立ち寄り客。中国語を話している客もいる。早朝に、雲一つなくくっきり利尻山が見えたが、バス発車時刻には全くの雲の中。正直言って、唯一無二の観光資源と言える利尻山が見えないと、バス観光は全く寂しいものとなり、殆ど土産物屋案内ツアーと化してしまう。ともあれ、先ず立ち寄ったのが姫沼という、一周1km足らずの小さな池。土産物屋もある。晴れていれば、そして風が無ければ逆さ利尻富士が見えるというが、今日は心眼頼り。次に訪れた場所は郷土資料館。昔、鰊が獲れたことを今に伝えている。かつて村役場だったという、なかなか趣ある建物。その後、オタトマリ沼にて再び下車。姫沼よりも一回り大きいこの池は、利尻山とセットで「白い恋人」のパッケージ写真に使われているとのこと。心眼で利尻山を望むよりも、多少イメージが湧くかも知れない。この沼の畔には、2件の土産物屋があり、一つが「利尻富士町レストハウス」、もうひとつが「利尻亀一オタトマリ沼店」。この前者の店の一角に、海峡鮨がある。寿司屋らしく色々のネタがあるようだが、何といってもこの店のウリはウニ。清水の舞台から飛び降りて、バフンウニ丼(ハーフサイズ3,500円)を食べてみたい感じもしたが、ぐっと我慢してバフンウニ軍艦巻き一貫(600円)を賞味することにした。バフンウニってこんなにオレンジ色だとは知らなかった。カウンターテーブルにはバフンウニ以外にムラサキウニも鎮座ましているが、全く鮮やかさが違う。もしかするとバフンウニを食べるのは生まれて初めてかも知れない、と思った。で、肝心な味はというと(店の人に、できれば醤油はつけないで食べて、と言われそのまま食べた)、もう甘さしか感じなかった。これがウニだったんだ!

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兄と二人で利尻山に登るため、新千歳で利尻行きの便を待つ間、フードコートで昼食。ここは選ぶのに迷うほどの店があり、かつ多くのツアー客(中国系が目立つ)が来ていて大変賑わっている。後方羊蹄山に登った昨年と同様、「北海道ラーメン道場」に行ってみる(ちなみに昨年は「王華」でとんこつみそラーメンを食べた)。「えびそば一幻」には長い行列ができているが、他の店は何処も直ぐに座れる状態。今日は「銀波露」(ぎんぱろう)に入ってみる。本店は江別とのこと。「W魚介豚骨醤油」(880円)と「銀波露の肉ぎょうざ」(380円)を注文(同行の兄は「鶏しお白湯麺」(880円)と「銀波露の肉ぎょうざ」)。「W魚介豚骨醤油」には、れんげに入ったまぐろ節の魚粉がついてきて、好みで振り掛けるかたち。先ずはそのままでスープを飲む。豚骨はあっさりめな感じで、ちょっと醤油味が強め。豚背油がかなり濃厚。刻んだ玉ねぎが入っているので、全体としてややマイルドな印象。多少魚粉を入れてもあまり印象は変わらないが、全部入れると魚介豚骨系という感じになる。これも札幌ラーメン(または北海道ラーメン)の範疇なのか定かではないが、個人的にはどちらかと言えば九州ラーメンを彷彿させる。麺は中程度の太さの縮れ麺。餃子と一緒に食べると、量としては丁度良い感じだが、基礎代謝量が多い人にはかなり少なめ。880円はちょっと高いかも知れない。評価としては、特段のインパクトはないものの、普通以上に美味かった。次に新千歳に来た時は、さしあたり未だ入っていない店を優先するだろう。今度は、一幻か。

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店のHP:銀波露 

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