山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

上信電鉄線沿線

忘年山行第2弾。予てより(多分、下仁田ねぎの美味さに気が付いた10数年前)、いっぺんでいいから下仁田ねぎを使ったすき焼きを、本場の下仁田で喰ってみたい、と思っていて、ついでに泊りの忘年会にしちゃえ、とプランしたのが今回だった。ついでに目指す山は唯一無二の山容を誇る荒船山。前回は2014年夏以来なので、いつの間にか5年半ぶり。すき焼き宴会場は、下仁田駅前の「常磐館」。こちらに泊まるのは実に2007年以来、12年ぶりということになる。
ネットを覗くと、荒船山は専ら内山峠か荒船不動尊から登った記録ばかりだが、それはマイカー利用だからで、公共交通機関利用派はそんな制約は無い。そこで、個人的にも初めてな威怒牟畿不動からアプローチし、相沢橋へ下ることにした。
山頂までは基本的に雑木に覆われているが、時々遠くを見渡せる処もあり、なかなかいい気分。少なくとも、内山峠又は荒船不動尊からよりも楽しい。眺望の無い山頂(経塚山)は、オジサン、オバサンの集団に占拠されていた。南側から現れた我々を見て、「そっちにも道があるの?」とオバサンが吃驚していた。
ここから先は荒船山の真骨頂、ほぼ平坦な道が約1km続く。いわゆる溶岩台地の周りが浸食されて残った、独特な地形を満喫する。台地の末端、艫岩からの眺めは気宇壮大。目の前に浅間山、その左手には白き北アルプスの峰々がズラリと並んでいた。相沢分岐からは急降下し、林道に出たところでタクシーを呼んで「常磐館」へ。ひと風呂浴びてさっぱりしたら湯上りビール。気怠い気分に浸った後、待ちに待った夕食だ。すき焼きは上州牛と下仁田ねぎの黄金セット。これで美味くないはずが無い。メインのすき焼き以外に、下仁田こんにゃくの刺身、下仁田ねぎのかき揚も付くので、徹底的に下仁田づくし。こんな忘年会も偶にはいい。っていうか、毎年やりたい。

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「カフェ・ドローム」で寛いでいたときのこと、そろそろ昼時なので、富岡に来たついでにランチも喰って帰ろうということになり、さっそくネット検索開始。蕎麦屋だったら歩ける範囲に3軒ぐらいあると判る。こんな陽気なのでとりあえず、一番近い店に行こうということで決まり、向かった店は「仁べえ」という名前。
行ってみると、つい通り過ぎそうな店構えの店。入ってみると、小さなカウンターとテーブル4つだけの小じんまりした店。先客は熟年夫婦ひと組だけ。愛想がない熟年男性店員がメニューを持ってきて、昼はそばのセットだけとのこと。セットと云っても、そば2種類のセット(基本のもりそばと、好みのそばを注文できる)なので、天ぷらとか小鉢が付くわけではない。それで1,800円とは良い値段だが、まあ良かろう。それと、冷酒として三千盛(800円)を小さな声で注文。
出て来たもりそばは、超極細麺。素麺より細い。でもコシしっかり、のど越し抜群。こりゃびっくり、こんなの初めて。2枚目の胡麻だれは、麺は同じだが、つゆが美味い。単に胡麻とかえしだけではない。これも凄い。とにかくつゆがやけに美味かったので、全部飲み干した。ついでに胡麻だれも蕎麦湯で割って全部飲んだ。
ネットで、この店のことをもうちょっと調べてみると、驚くことが判った。ここの店主(さっきの熟年男性店員!?)は、修禅寺の有名蕎麦屋「朴念仁」の創業者にして、ミシュランガイドにも掲載された「仁行」のオーナーだった石井仁氏。もはや伝説上の人物と云ってもよさそうだが、まったく事前リサーチもせず、ひょんなことから富岡のひっそりとした路地裏にある蕎麦屋が、その人の店だった。どうやら富岡が生まれ故郷の様である。
偶然入った蕎麦屋だったが、とんでもない蕎麦屋だった。機会があれば是非、夜に来てみたい。

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上田で泊った翌日は途中、上州富岡に寄って、旧富岡製糸場を見学。前回、4年前に来た時に較べると、大雪で潰れていた建物はすっかり撤去されていて、長大な西置繭所が修理中だった。今日も暑いが、あちらこちらボランティアの人たちがいて、我々がやってくると特にお願いもしないのに、懇切丁寧に説明をしてくれる。
月曜なので来場者は少ないが、それでも団体客が結構やってきている。主に中高年の団体とどこかの学校の生徒達だ。富岡製糸場設立に携わったフランス人技術者フランソワ・ポール・ブリュナの伝記ビデオをたっぷり鑑賞して、だいぶ詳しくなった。もうここへ来ることはないかも知れない。それにしても今日は暑い。そういえば前回来たときも暑かった。何故か、そんな巡り合わせである。
すっかり喉が渇いたので、何処かでお茶したいところ。さっき駐車場からやってくる途中、小洒落たカフェがあった気がしたのでそちらに行ってみる。富岡には、路地裏に結構、店がある。旧富岡製糸場の正面から延びる、門前の参堂のような道、そのすぐ右側にその「カフェ・ドローム」があった。
店内には女性店員が二人。大正ロマンの頃のような、いわゆるメイド風の制服を着ている。エアコンは効いていないが、天井が高くて少しだけひんやりしている。訊けば、昔の長屋を改装した建物らしい。店内の装飾も調度品も、その雰囲気にマッチしたものを設えていて、なかなか凝った店だ。旧富岡製糸場の門前にある店らしく、奥ではシルク製小物を売っていた。
先客はいないので、好きなテーブルにつく。アイスコーヒーでもいいけど、もしメニューにあればビールがいいなと思っていたら、果たしてフランスビールが置いてあった。BGMはシャンソン。フランソワ・ポール・ブリュナに敬意を表しているのかも知れない。有難く、クロ-ネンブルク1664(600円)をいただく。すっと汗が引く感じ。まさに一服の清涼である。

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「やまびこ荘」から下仁田駅までタクシー移動する途中、「道の駅 オアシスなんもく」に立ち寄る。何か山菜でも無いかなと物色したが、タクシーの運転手曰く、早い時間に行かないと手に入らないらしい。生産量が少ないのか、需要が高いのか。
下仁田駅からは上信電鉄に乗って高崎へ出る。「上信電鉄」という名前からすれば、上州と信州を結ぶ鉄道という感じがするが、調べてみると、まさしくかつて下仁田から余地峠(県境)を越えて、当時の佐久鉄道(現在のJR小海線)の羽黒下駅まで延伸する計画があって、そのため1921年(大正10年)に社名を変えたと判った(Wikipediaをご覧あれ)。しかし、1929年に世界恐慌が起こったために計画が頓挫して、そのままとなっているとのこと。
まことに残念だが、今から思えば、たとえ高崎から羽黒下まで開通したとして、いったい誰が乗るのか?と誰もが感じるはず。羽黒下駅界隈が大都市でもならない限り(そして途中の南牧村が一大リゾート地にでもならない限り)、結局のところ間違いなく廃業していたことだろう。それでも何とも楽しくなるような路線計画ではないか。誰か、採算を度外視して線路を引いて呉れないものだろうか。そうしたら、世の乗り鉄(含、呑み鉄)は間違いなくこぞってやってくるに違いない。ついでに秩父鉄道も、十文字峠辺りを越えて、小海線の信濃川上駅まで延ばして呉れませんかね? JR青梅線だって、青梅街道に沿って柳沢峠を越え、塩山駅まで繋げたら痛快だ。話が大幅に逸れた。
今回乗った車両は6000系。この車両のせいではないだろうが、上信電鉄は直線区間でも激しく揺れる。それがローカル線情緒を醸して呉れるのかも知れない。車内には、広告ではなく絵手紙が所狭しと掲げられている。これもローカル線ならではの味わいだろう。

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今日は西上州の烏帽子岳から天狗岩までの縦走。西上州は、公共交通機関を利用する我々にとっては最も行き難い山域の一つ。これまで、荒船山に2回(2004年2014年)と、妙義山の中間道には行ったことがあったが、何れも自家用車利用か泊まり。
公共交通機関利用の日帰りが無かったのは、ひとえに高崎まで新幹線利用が必須(除、八王子からの八高線利用)であるということ。つまりコスパは甚だ宜しくないのだが、今回は、その新幹線利用で無理矢理登ってみることにしたのだ。
例年だとこの時期、まだアカヤシオが見られる筈だったが、今年はある意味、異常気象というべきか、ほぼ半月程季節が早いので、アカヤシオは痕跡すら見られなかった(山の記録はこちら)。
毎度のことながら、計画を立てるに当たっては、山から下りたら何処でビールが呑めるのか、何処で汗を流せるのかがとても重要。土地勘が乏しい西上州だと尚更慎重さが必要。下仁田駅界隈まで戻れば食堂はあるだろう、ちょっと遠いけれど「荒船の湯」まで行くしかないか、などと考えながらGoogle Mapを眺めていたら、天狗岩のすぐ近所に「塩の沢温泉やまびこ荘」があるのに気が付いた。どうやら国民宿舎だ。恐る恐るホームページを覗いてみると、有り難いことに立ち寄り湯をやっているとのこと。先日の「サンレイク草木」と云い、我々は時々国民宿舎の恩恵に与ることがある。
勇んで行ってみると、天狗岩からほぼ1時間。実に理想的な場所にあった。さっそくフロントで600円を支払って風呂場へ。「やまびこ荘」は建物も立派だが、風呂場も立派、広々として気持ちが良い。窓が大きいので開放感たっぷり。先客は二人だけだったので勿体ないくらいだ。
風呂から上がったらビール。小ぶりながら休憩室があり、ちゃんとビールの自動販売機もある。これ以上望むモノなど無いが、強いて云えば、下仁田駅まで移動するのはタクシーだけなので、出来れば路線バスを通して呉れるととても助かる。

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やまびこ荘(上野村)のHP:こちら

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