山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

体験交流型宿泊施設

寿和温泉から帰ってきたら、ちょっとゆっくりしているうちに、まだ明るいがもう夕食どき。囲炉裏の間の外にある廊下の奥には、火鉢と座布団が一つ。のんびり外を眺めるには丁度良い設えだが、訊けばこの座布団、なんと猫用だそうだ。
確かによく見ると、座布団に猫の足跡が付いている。その猫、たしかにこの建物を自由に出入りしているが、野良猫だそうである。野良猫なのに、専用の座布団が設えてあるとは随分と待遇が良い。羨ましいくらいである。その猫、我々の顔を見るとニャーニャー鳴くが、なにか食べ物をあげようとすると逃げていく。野良猫のくせに贅沢に慣れているとみえる。
さて夕食。今日の料理も豪勢だ。どれも美味しいが、とても全て食べきれる自信がない。ご飯まで辿り着くのは到底不可能である。ともあれ、守門岳登頂を祝して乾杯だ。守門岳はなかなか大きな山だったのでその分、充実感も大きい。日本酒を頼むと、巨大な片口で出てきた。
外はいつの間にかとっぷり暮れたが、田舎の夕闇もなかなか風情がある。入広瀬駅19時15分発の下り最終列車がやってくる。車窓を見る限り乗客は見当たらない。こんな時間でもう最終電車とは驚くが、最終電車に誰も乗っていないのも驚くし、そこはかとなく物悲しさも漂う。東京近郊であれば、きっとヨッパライ達が管を巻いている最終電車とは大違い。
翌朝は朝食もゆっくりにしてもらい、食後も10時近くまで、ぶらぶらうだうだ。女子連は散歩。小生は、時折、部屋に入ってくる朝の冷気を感じながら、ごろ寝で読書をして過ごす。ゆっくり流れる田舎の時間を楽しんだ。

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今回の山旅の主目的は残雪の守門岳。電車利用だと、1泊で登ることはやや無理なので、山麓の入広瀬に2泊することとなった。宿は、只見線入広瀬駅の目の前にある「手仕事手ほどき館」という変わったネーミングの建物。NPO法人「風小僧」が運営している体験交流型宿泊施設とのこと、いわゆる民宿とはかなり趣が異なる。
ところで入広瀬駅前の平均公示価格は、1.4万円/坪で全国5110駅中で5092位。実勢価格としてもせいぜい2万円/坪ぐらいだろうか。上ものは、ダタみたいなものだろうから、買う気になれば100坪ぐらいだったらいつでも買える値段だ。ひとりあたま10万円ずつ出して一軒買って、山荘にでもしたいところだが、年がら年中、守門岳やら浅草岳に登るわけにもいかないし、日ごろのメンテナンスをどうするかが悩みどころか。
初日には先ず下権現堂山へ登るため、着替えや酒など、さしあたり不要な荷物を置くために宿に寄る。列車を降りて駅舎に向かおうとすると、宿の人がこっちと手を振っている。宿は駅舎と反対側にあった。反対側に出口はないので、最寄りの踏切までぐるっと遠回りする必要があるかと思いきや、宿の人がそのままお出でと手招きするので、そのまま線路を横断。東京近郊では考えられないが、まあ、1日4往復しか走っていないので、さもありなん。
下権現堂山から戻ってきたあと、改めて宿に入り、建物の中を徘徊。ここは、200年以上も前に建てられた民家とのこと。東京近郊の安普請と違い、かなり立派な建物である。玄関を入って右側には道具置き場、その奥が広い、吹き抜けの土間がある。左手に囲炉裏が切ってある居間兼食事処。その奥は女子部屋。男子部屋は急な階段箪笥を上がった中二階。角部屋で昼過ぎは日当たりが良くぽかぽか。窓の外は田んぼ。堪らず昼寝がしたくなる。
まだ夕食まで時間があったので、日当たりが良い男子部屋で、酒とつまみを持ち寄って小宴会。日本酒をちびちびやる。時は5月、もう田圃に水が入ったせいか、軽やかなかじかの鳴き声も聞こえてくる。全く長閑。俗世間のことはもうすっかり忘れた。山登りに来たことすら忘れかけている。

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