山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

メトロ丸の内線

常夏の国から帰ってきたら、いつのまにか日本はすっかり鍋の季節である。この頃は、寒い季節は鍋に限る、と思うようになってきた。さて何鍋にしようかと思っていたら、カミさんが「あんこうがいい」というので、じゃあ神田の「いせ源」に入ってみようか、となった。
「いせ源」は勿論、初めてだし、そもそも「あんこう」だって、茨城・大洗で一回喰った記憶があるだけ。巷ではふぐ、スッポンなどと共に、あんこうは高級な鍋の材料となっているが、正直、淡白過ぎて美味さがよく判らない(って云うか、判る程喰ったことがない)。
「いせ源」は以前から、場所だけは知っている。不覚にも入ったことがある甘味処「竹むら」の向かい。行ってみると、本物の鮟鱇が店の前に飾ってあった。これを見て「喰いたい!」と思う客もいるかも知れないが、やはりグロテスクな姿なので普通の女性などはひいてしまいそうだ。
入ると下足番がいて、二階へどうぞと云われる。上がってみると、大広間に数組の先客がいた。お気楽OL組か(勝手な想像です)、中高年夫婦ばかり。店の創業は天保元年で、建物は昭和五年に建てられたものという。外観だけでなく、内装や調度品も実に味がある。何故か、一つの無人の座卓に置かれたコンロで、バンバン火が焚かれている。暖房のつもりだろうか?
座ったら、ビール(中瓶700円税込、以下同様)と共にあんこう鍋(一人前3,500円)を注文(二人前以上でないと注文できない。つまり一人で来ても、二人前を食わなくてはならない)。コース(8,500円~)もあったが、「梅園」の鴨鍋で懲りたので、ちょっと自重。しかしちょっとだけ肴も欲しいので、とも合え(1,000円)だけを頼む。あんこうの身と肝を合えたもので、かなり美味い。こりゃ酒だな、と菊正宗(一合650円)も注文。
程無く出てきた鍋は、意外に量が少ない。「梅園」だったら一人前の量だ。でも、雑炊まで喰おうと思ったら、我々にはこのくらいが丁度いいだろう。火が通ったところであんこうを喰らう。思ったとおり淡白。勿論、不味くは無いけれど、値段に見合うくらい「美味い!」という程ではない。
あっという間に具は無くなったので、おじや(600円)を注文。係の女性がやってきて、汁の量を念入りに調整し、御飯を入れて沸騰してきたところを見計らって卵でとじ、小口ねぎを振り掛けできあがり。ひと口頬張ってみると、これが激うま!こんな雑炊は喰ったことが無い!あんこうの美味さとは、出汁なんだ!と二人で感激してしまった。あんこう鍋だけを食って、おじやを頼まなかったら何の意味も無い、と知った。

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ランチの後、駿河台から駿河台下へぶらぶら移動し、悠久堂書店で山岳関係の古本を暫し物色。このひとときが楽しい。平積みになった雑誌のなかを眺めていると、昭和30年代の「山と渓谷」があり、深田久弥が執筆したエッセイも載っていたので購入。200円。
深田久弥が「日本百名山」を出版したのは昭和34年で、茅ヶ岳で逝去したのは昭和46年だから、昭和30年代は山岳随筆家としての地位が確立してあぶらが乗っていた時期。それでも深田久弥の人と為りを紐解くと、カミさんの目を盗んで不倫をしたり、カミさんの執筆した児童文学作品をぱくって小説を発表したりと、とても褒められないことも仕出かしていることを知る。百名山がある地域にとっては、地域振興の大恩人のように思われているかも知れないが、そんな深田久弥にも光と影がある。
悠久堂書店を出た後、再びぶらぶらと小川町方面へ。久しぶりにPatagoniaⓇ直営店に入ってみるが、バーゲン期間ではないので、高くてなかなか手が出ない。そのあと、須田町方面へぶらぶら。「神田まつや」を横目に見て路地に入ると、目の前が甘味処の「竹むら」で、左手にあんこう鍋の「いせ源」。どちらも木造3階建てで,昭和5年建築、かつ都選定歴史的建造物ということで仲良く同じ。
「いせ源」はあんこう鍋の店だし、昼間はやっていないし、そもそも腹いっぱいで鍋なんて喰えない。だからということはないが、カミさんは、「竹むら」に入ろうと云う。エー?!甘味じゃん!と云ってみたが聞きいれてもらえず、引きずられるように入店。
内装も外観同様に思い切り渋い。ここが甘味処でなければ大歓迎だ。店内はそこそこ客がいるが、意外にも女よりも男の方が多い。世の中どうなっているの? カミさんは嬉々としてクリームあんみつ(770円税込)を喰う。メニューを見る限り、甘くないのは心太(540円税込)しかなさそう。ならばと小生は心太をすする。もう二度と入ることは無いと思うので、貴重な経験だった。(ちなみに店内は撮影禁止である)

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