山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

飯山線沿線

今回の山旅のフィナーレは鉄道旅。飯山線を走る「快速おいこっと」に乗ることにしている。十日町駅~長野駅間86.1 kmを2時間57分かけて走るので、表定速度は30km/hにも満たないのんびり列車である。全席指定席なので、運賃以外に指定席券840円が掛かる。「おいこっと」という名称は、アルファベットの「TOKYO」を逆さにした「OYKOT」をそのまま読ませたもので、東京の真逆をウリにしているということだ。
飯山線はほぼ全線が信濃川(長野県内では千曲川)に沿って走るのに、信濃川を渡るのは何故か1回だけだ。考えてみれば、大きな川に橋を架けるのは初期投資もそれなりに掛かるし、流された時の復旧費用も考慮する必要があるので、橋を掛けるよりもトンネルを掘る方がリスクは少ないということが云えるのかも知れない。
酒もつまみもたっぷりあるので、3時間弱の鉄道旅は全く苦にならない。2両編成の列車にはそれなりの客が乗っていた。飯山線沿線は日本でも有数の豪雪地帯。途中にある森宮野原駅は1945年2月に国内の駅における最高積雪量7 m 85 cmを記録したところ。それを示す標柱が駅構内に建っていた。
車窓から見える景色は基本的にそれほど変わらない。時々見え隠れする信濃川と穏やかに畝っている魚沼丘陵と信越トレイル。途中には街らしい街はない。確かに東京とはかけ離れた長閑なところをひたすらのんびりと走るだけだ。
飯山駅は北陸新幹線の乗換駅のせいか、殆どの乗客はここで降りてしまい、この先も乗るのは我々ぐらいだ。何故か37分も停まるので、列車を降りて駅構内をぶらつく。「飯山駅ナカ酒場えっぺ」という店があり、入ってみようかと思ったが一杯やるほどの時間はない。残念だけど諦めた。長野駅には16時2分に到着。

158 あれに乗る。
159 こっちは、「Shu★kura」の車両なのでした。
160 次はあっちに乗りたい。
161 でも今日はこっち。DSC_3723
162 「おいこっと」車内。
163 これだけあれば3時間もへっちゃらさ。
164 では出発!
165 信濃川を渡るのは1回だけ!
166 あの高さまで積もったらしいです。
167 乗車記念。
168 Woodyさん、かわいい。
169 何故か飯山駅で長時間停車する。
170 大半の客は下車してしまった。
171 而して車内はガラガラ。
173 旅の友は「信濃浪漫」。

久しぶりに越後の山。今回は7年ぶりに「五十沢温泉」に泊まることにして、先ず初日はすぐ近くの高倉山にでも登ろうかと思っていたが、事前の予報が雨だったし、実際にはもう朝には止んでいたものの、それまでたっぷり降ったので径のコンディションは悪くなっているだろうし、そもそも終始急登なので、また天気がいい時に登るとして、その代わりに当間(あてま)山へ登ることにした(山行記録はこちら)。
この当間山は、最近になって気に成り出した山で、全体がブナの森になっているらしいとの情報。地図を見れば越後の山にしてはゆったりした山容なので、スノーシューイングに相応しいと思っていた。今回は、その下見のつもりで登ってみようかという気になった次第。
タクシーで魚沼スカイラインを辿れば、山頂に近い魚沼展望台まで上がれる。歩き始めからもうブナ林で、忽ち癒される。紅葉は見頃にはちょっと早い。雨はすっかり上がったものの、風が強い。それでも風には息継ぎがあるので、たまに穏やかになる。すると獣臭がぷんぷん。だが熊の糞などは見当たらない。この臭いは何処から来るのか。この獣臭は山を下りるまで終始感じた。
当間山山頂はあまり眺望が良くないが、少し北へ下ったところに櫓が組まれた展望台があり、北西から北、北東にかけて良く見える。一番目立つのは端正な姿の米山。その右に、目を凝らすと海が見え、その向こうに佐渡島まで視認できた。期待以上に天気が回復したようだ。
後は緩やかな尾根を淡々と下るだけ。相変わらずブナ林が続く。段々見飽きてきた頃、林道に出る。更にこれを辿れば、やがて「当間高原リゾート・ペルナティオ」へと導かれ、その中心にホテルがある。なかなか立派なホテルなので、泥だらけの靴ではちょっと憚れる。
気持ち、ちょっとだけ奇麗に洗ってからエントランスへ向かい、ベルガールに「ビールが呑めるところありますか?」と訊けば、「正面奥にラウンジがあります」と教えられた。窓が広くて庭(ゴルフ場か?)が良く見える。早速、生ビールを頼む。喉が渇いたせいか一気に呑んだ。

001 【第1日目】魚沼スカイラインにある魚沼展望台。

008 登り始めて直ぐにブナ林。

010 径はちゃんと整備されている。

016 ブナ林。

021 足元はイワカガミの葉っぱがうじゃうじゃある。

022 高木はほぼ全てブナ。

024 当間山に到着。

027 もう後は下るだけ。

030 オオカメノキのトンネル。

032 北西側がこんな風に見える。皆、低山。

034 Woodyさんが撮っているのは尾神岳、米山、刈羽黒姫山。

036 中央は弥彦山。

037 看板には無いが、海の向こうに佐渡島も見えている。

040 八海山が顔を出した。

043 風の歌を聴け。

049 まだまだブナ林。

054 もうブナには飽きました。

055 径が広くなってきた。

056 鉄塔に出た。

057 今度は芽吹きの頃か、スノーシューの頃に来てみたい。

059 正面に米山が見えている。

060 ビールは未だか。

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前日の斑尾山に全く雪が無かったので、鍋倉山もやや危ぶまれたが、なんとか雪が残っていて呉れた。あわよくば、ブナの芽吹きと根開きした残雪の両方に出会えるかも知れないと期待したが、芽吹きにはやや早過ぎたようだ(山の記録はこちら)。
ゲート手前の車道からの取りつき部は、かなり藪が出ていて少々躊躇する。踏み込めばすぐに残雪となり、今度は道形が判り難い。適当に沢沿いに進むしかない。夏道のように南へ大きくトラバースするルートは、かなりの急斜面、誰かが落ちても困るので、ちょっと行き難い。
さらに沢沿いに進めば、やがて見渡す限りブナの森。傾斜も緩やかとなって、なんとも心地良い領域。今日は風も無く、鳥の鳴き声と沢の音しかしない。もう稜線は目の前。日差しが強い。ゆるゆると尾根に上がれば、もう鍋倉山山頂は指呼の距離。ここはいわゆる、信越トレイルの一角である。山頂周辺も藪に覆われているため眺めは良くない。僅かに西側が開けていて、彼方に雪を被った山。妙高連山辺りが見えているようだ。山頂には二人パーティが山ごはんを調理中。いい匂いが漂ってくる。スノーボードを背負ってきたようだが、こんなところでもバックカントリースノーボードができるのだろうか。
黒倉山への道が判り難いが、適当に藪へ突入すると、すぐに夏道を見付けられる。この先、関田峠までは、雪が溶けている部分は夏道を辿ることが出来るが、残雪に阻まれると藪が薄いところを適当に進むといった作業を繰り返す。時々、藪漕ぎを強いられたり、気を許すとガボったり、はたまた雪に埋もれていた枝が目の前で突然跳ね上がったりと、なかなか進むのに難渋する。たっぷり残雪があれば、全ては雪の中で楽だったのだが、この中途半端に少ない雪では致し方ない。
それでもそれなりに、残雪の山を堪能したら、関田峠から車道をてくてく戻る。途中、道の両脇はフキノトウだらけ。それを見たあひるちゃん、のりちゃんたちはせっせとフキノトウ採り。ゲートまで戻ったら、宿の迎えを待つ間、路上で野点。駐車場には十数台の車が止まっている。山中では殆ど人に会わなかったので、この車の数に見合う程の人たちはいったい、何処へ行っているのだろう。
宿に戻り、まだ時間も早いので少々昼寝。暫し贅沢な時間をまどろみ、眠気覚ましに風呂に入ったら、ビールやワインを呑みつつ明日の予定を確認。そうこうしているうちに、夕食時。またまた色々な料理が並ぶ。そのなかに、さっき摘んだばかりのフキノトウの天麩羅もあった。エグみが仄かで、まさに採りたての味だった。

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今回の山行では、先ず2泊で斑尾山と鍋倉山に登る計画を立てた。3日目は完全観光モードにするとして、2泊は何処に泊まろうか、と云うことになる。それによっては、山に登る順番も考える必要がある。この頃はすっかり堕落しているので、出来れば同じ宿に連泊したい、2つの山に登る際は、最低限の荷物にしたい、などと我儘なことばかり思い浮かぶ。
当初は、神楽坂で入った「酒蕎庵まろうど」の姉妹店で、斑尾高原にある「宿と蕎麦処 まろうど」に泊まろうかと考えていたのだが、1日目はそれでいいとしても、2日目の鍋倉山往復がかなり厄介である。ならば1日目に鍋倉山に登り、その足で斑尾高原まで戻ってくることも考えたが、やはりかなり強行軍。それに、足をどう確保するか、という問題もある。
あれこれ考えた末、やはり宿は鍋倉山に近い、戸狩温泉界隈に求めるのが妥当だろうということに思い至る。しかも、送迎付きであれば申し分ない。その条件であれこれ探した結果が「岸田屋」だった。勿論、風呂は温泉。それに、行ってみて判ったことだが、ここは旧国鉄時代の鉄道グッズが所狭しと展示されていて、鉄道ファンならずとも、なかなか楽しい。小生の部屋の扉には、「L特急あさま」のネームプレートが付けられていた。また、学生のスキー合宿の写真も其処彼処に飾られていた。
これも宿の人に教えて貰ったことだが、戸狩温泉にある民宿は何処も、自然体験教室、体験修学旅行、林間学校、移動教室、ファームステイ、セカンドスクールなどの学習旅行に積極的なのだそうだ。従って、スキーシーズンでなくても、結構、泊まる人があるという訳。それでも今回泊まった初日は我々だけ。広々とした風呂も一人きりでのびのび入らせてもらった。
夕食は、華やかさは無いが地の食材が使われており、それぞれちょっとした工夫がされた料理で、どれも美味い。女将さんと大女将は、料理上手のようである。また明日も楽しみである。

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岸田屋のHP: こちら 

「イナリ食堂」にフラれて、とぼとぼと飯山駅に戻る。何か他に店は無いかと見回してみても、飲食店らしき建物は見つからない。この飯山駅界隈は、意外に道路も建物も新しいが、こういう状況だったらファミレスでもいいのに、と思っても見当たらず。調べて見ると飯山駅は、北陸新幹線が通るまでは、300mほど、もっと北側にあったらしい。駅の移設に対して、駅前商店街はさぞや難色を示したと思われるが、新幹線の威光には従わざるを得なかったのだろう。
北陸新幹線が、この飯山界隈の雰囲気を一変させたことは間違いない。駅に着くと、なにやら2階にテラスの様な設備がある。椅子も並んでいる。もしかすると、単なる洒落た待合室かも知れないが行ってみようと、エスカレーターを上がると、果たしてそこはカフェだった。その名も「パノラマカフェ」。片側が床から天井まで全てガラス張りなので、ぴったりのネーミングである。
中に入ると、登山者姿が場違いに感じるほど、洒落た空間。しかし奥のテーブルで、近所の主婦連が賑やかに井戸端会議中なので、ごくありふれた雰囲気だ。飲みものは基本的に珈琲か紅茶だが、ワインやビールもあるので問題ない。ビールはしかも、キリン一番搾りやハイネケンだけでなく、地ビール(志賀高原ビール)もある。おっと、日本酒も置いてある。気に入った。しかし、やはり喉が渇いているし、この場で日本酒はちょっと自重しておこうと、志賀高原ビール(500円)を注文。つまみもミックスナッツ、チーズ、ソーセージ、ぶなしめじのピザ、笹ずし、おやきなどもあるので、小腹を満たすには十分である。
ビールは、インディアペールエール(IPA)というタイプ。コクだけでなく、かなりホップが利いていて、クラフトビールらしからぬ苦さ。アルコール度数も6%と高め。なかなか良い。
この店で出す日本酒の銘柄は「水尾」と「北光」の二つ。どちらもここ、飯山の酒である。「水尾」を醸す田中屋酒造は、斑尾高原行きのバスの車窓から、杉玉が下がっているのを見ていた。ちょっと心が動いたが、酒蔵に寄る時間は無い。またの機会とするしかない。「水尾」は、たしか神楽坂の「酒蕎庵まろうど」でも呑んだ筈だが、良く覚えていない(T_T)。なんとかしてこの3日間に、どちらもちょっと味を見てみたい。さてどうなるか。

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パノラマテラスのHP: こちら

斑尾高原から再び乗合バスに乗って飯山駅へ移動。やはり乗客は我々だけ。バスの到着時刻から飯山線の列車時刻まで小1時間あるので、何処かに入りたいところ。バス車中で、暫しネットで検索。あまり見過ぎると車酔いするので、適当に窓の外も眺める。バスはかなりの高低差の車道を一気に駆け下る。
検索結果によれば、いくつか食堂らしきものは有るが、ランチタイム以降、通しで営業している店は殆ど無い。そのなかで「イナリ食堂」という店があったので行ってみることにした。終点飯山駅の一つ手前で途中下車し、てくてくと歩くこと約10分、こんなところに、と思うような駅から離れた場所に「イナリ食堂」はあった。
「これぞ大衆食堂」という外観。店の前には随分、車が止まっている。長野ナンバー以外も多い。やな予感。恐る恐る店に入ると、客がぎっしり。何か食べている人よりも、料理が出て来るのを待っている人の方が多い。手持無沙汰な客が一斉に、ジロリとこちらを睨む。・・・こりゃだめか。店員曰く、40分待ちとのこと。残念ながら、諦めるしかない。 
後でちょっと調べて見ると、創業は大正時代と云うから、もう90年以上やっているということになる。相当なものだ。きっと地元に愛されている大衆食堂なのだろう。ウリは色々あるらしいが、餃子とラーメンが人気らしい。一品料理もかなりの充実ぶりだ。返す返すも、逃した魚は大きい。この頃、「大衆食堂で餃子とビール」と云うパターンに嵌っている者としては、今回の事態を看過するには忍びないが、果たしてまた、山の帰りに飯山駅へやってくるチャンスは訪れるだろうか。それとも山は適当なところにして、無理矢理プランを立てるか・・・。午後2時に来てあの状態だから、次回は3時以降だな。その日に何処か泊まるとしたら、夕飯抜きにした方が良さそうだ。この次に備えて、しっかりしたプランを立ててみるか。 

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今年のGWは何処へ行こうかと、あれこれ悩んだが、この頃話題の信越トレイル(開田山脈)がどんな処か確かめて見ることにした。信越トレイルとは、斑尾山から天水山の全長80kmをさし、一般的にはこれを6つのセクションに分けて歩くそうである。今回は、残雪のことも考え、その中から斑尾山と鍋倉山をつまみ食いして、その全体像に触れてみようと考えた。先ず第1日目は斑尾山だが、今年はこの時点で雪が全くないとのこと。あとで斑尾高原ホテルのホテルマンに訊いたところによれば、この30年来無かったことだそうな。
それでも、斑尾山に登ること自体、初めてなので、それ程残念ではない。当日は生憎の天候で強風が吹いていたが、天気予報がやや外れて雨に振られることは無く、レインウェアを着る必要も無かった。スキー場は3月末で閉鎖されていたが、特に雪が少ない今年に限った訳ではないようだ(山の記録はこちら)。
スキー場のゲレンデの脇を登り、斑尾山まではほんのひと息。山頂は眺望が無く、地味でひっそりとしているが、ちょっと下がったところにある大明神岳からは直下に野尻湖が望める。天気が良ければ、北信五岳の残りの山が見えるに違いない。
気温はどんどん下がっている。復路は、往路と同じ道。あっという間に斑尾高原に戻る。周囲には、グラススキー場やパターゴルフ場、バギーカーコースなど、夏にも客を集めるための様々な工夫がなされている。しかし今日は天候のせいか我々以外、だれもいない。冷たい風が吹き抜けるだけ。
飯山行きのバスまでまだ1時間あるので、斑尾高原ホテルのティーラウンジに入る。真ん中に暖炉がある、いかにも雪国のリゾートホテルらしいスタイル。当然ながら客はいない。ホテルの従業員も暇を持て余している様子。さっそく生ビールを注文。枝豆とソーセージがあったので、それもいただく。
ビールを呑みつつ、まったりしていると、いつの間にか外は吹雪。ちょうど、はぐれた雪雲がやってきたらしい。ぬくぬくと暖かい部屋から大きな窓を通して吹雪を眺めていると、何か映像を見ているような、現実離れした雰囲気になる。ふと、スタンリーキューブリックの「シャイニング」を思い出した。

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斑尾高原ホテルのHP: こちら 

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