あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお付きあいのほどお願い申し上げます。

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越谷のイオン・レイクタウンで買い物をした後、時刻は午前11時過ぎ、昼食はレイクタウン内のレストランでも入ろうと思っていたら、どの店もすでに長蛇の列。空いているお好み焼き屋(名前忘れた)に入ろうとすると、並んでお待ち下さい、とのこと。店内を見ればテーブル席は随分空いているのに、なかなか店に入れてくれないので、左様ならばさようなら、と退散。3Fにあるフードコートに行ってみると、どのテーブルもすっかり埋まっている。凄まじい人々の渦。
仕方ないのでレイクタウンを離れ、いつも目の前を通り過ぎるだけだった、吉川の「糀家」を覗いてみることにした。この辺りでは有名な、なまず料理店である。
いままで通りに面した、間口4間ほどの建物の看板に「糀家」と書かれていて、そこが入口だと思っていたが、駐車場からまわってみると、まったく反対側(裏側)に門があった。門から玄関まで、気後れするほど、石畳のエントランスが長い。ここの創業はなんと1620年というから、江戸徳川幕府は2代将軍秀忠の時代である。建物だって、築250年だそうだ。ここの他に、400年近くやっている料亭なんて、少なくとも埼玉には無さそうである。
もっと驚いたことに、玄関脇のロビーや赤い毛氈が敷かれた廊下の壁には、葛飾北斎や安藤広重、与謝蕪村、谷文晁など、著名な画家の肉筆画(たぶん、版画でも複製画でも無い)が、何気なく飾られている。他にも東山魁夷や平山郁夫、中川一政、片岡球子など、著名現代画家も多数。絵画だけでなく、パブロ・ピカソ(!)作の水差しなんてのもある。その辺の美術館、顔負けである。でも考えてみれば、これらの画家が生きていた時代よりも、この料亭の方がずっと古いのだから、この店にやってきた画家本人から直接、手に入れたのかも知れぬ。我々庶民にはせいぜいそんな想像しかできない。
我々が通された部屋の床の間には、上村淳之(松園の孫)の大作「鴫」が掛かっていた。この絵の大きさは100号というから、普通の民家では到底、飾る場所が無い。そんな部屋にテーブルが4つだけ。客は我々のほかにもう一組の熟年夫婦のみ。他にもいくつ、こんな部屋があるのか判らない。
テーブルに着いた後、こんな料亭では、さぞふんだくられるのでは、と恐る恐るメニューを開く。ところが、コース料理は3,500円~と、まずまずという値段。特にランチメニューがある訳でもないが、定食は2,000円程度と、こんな店構えにしては、そこそこリーズナブルな価格設定、意外に良心的である。一品料理で、この土地の名物と云う「なまずのたたき揚げ」というものを喰ってみた。いわゆるすり身状態にしたものを揚げたシロモノ、仄かに淡水魚らしさは感じるが、淡白で美味い。それ以外に、うな丼(1,900円)となまず天麩羅御膳(2,200円)を注文。もちろん、ビールも(小生だけ)少々。まったく申し分なし。
少なくとも、越谷レイクタウン内のレストランで、長蛇の行列を腹を空かせて辛抱強く並び、ようやく混み合った店内に入り、目頭に皺を寄せたイライラ店員へ怖々注文し、ビュッフェ形式の昼食2,000円などを、がつがつ腹一杯喰って胃がもたれるよりも、巨匠の名画を鑑賞しつつ、北斎や広重が活躍した江戸時代に思いをはせ、値段が同程度のうな丼やなまず天麩羅御膳を優雅にいただく方が、遥かに良い気分になれるのは間違いない。

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糀家のHP: こちら