山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

ドライブイン・休憩所

今回は、天祖山から長沢背稜を経て、タワ尾根を下るロングコースにトライ(山の記録はこちら)。このコースでは天祖山が標高1,723mで一番高いが、かたや日原川を隔てて隣の鷹ノ巣山(1,737m)が似たような標高で常にハイカーで賑わっているのに較べると、寂しいくらいに人影が薄い。やはり山頂の眺望が無いせいか。でもそのお蔭で、今でも静かなる山である。
天祖山に登るのは、我々の山の会では初めてだと思うし、個人的にも恐らく高校時代以来のはず。その頃は、天祖山から長沢背稜までの間は、篠竹に覆われていて踏み跡らしい踏み跡は無く、奇特な者だけの世界。まともにテントを張る場所も無く、無理やり篠竹を押し倒して張った記憶がある。そんなところでも寝ることが出来たのは、高校生の逞しさか。篠竹が密生したタワ尾根に至ってはまったく人跡未到の世界で、そもそも近寄ることもしなかった。そんな世界が都内にもあった。
今回行ってみると、あれほど篠竹が生い茂っていた梯子坂ノクビレは、きれいさっぱり。極めて見通しが良い。篠竹の痕跡すら見当たらない。天祖山の登山口から長沢背稜までシームレス、まったく違和感が無い。
長沢背稜からの善知鳥ノ頭の登りは、意外に鋸状で手応えが感じられた。単独行だとルートファインディングが難しいかも知れない。その後のタワ尾根の下りは、左の枝尾根に迷い込みそうなところが2ヶ所あるが、其々トラロープが張られていて、大衆化が進んでいるように感じた。
八丁橋から一石山神社まで、休憩を入れてほぼ7時間でトレース完了。我々にとって上々吉と云えそうだ。すぐ目の前の日原鍾乳洞売店に雪崩れ込む。ここは2年半ぶり(前回はこちら)。辿り着いた時点では身体が火照っていて、汗が止まらない状態だったが、顔を洗ってキンキンに冷えたビールを呷ればさっぱりすっきり。今日もビールがたまらなく美味かった。

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元々、この日は赤城山に登る計画を立てていたが、その週の月曜日、つまり1月22日にそこそこ雪が降ったので、こりゃスノーシューでも無いと登れそうにないかなと判断し、計画を変更することにした。そこで思い付いたのは飯能の先、奥武蔵の低山だった。
飯能市を貫く吾野川の、源流域である顔振峠から刈場坂峠あたりは、尾根上を立派な車道(奥武蔵グリーンライン)が貫いているので、たとえ眺めが良くても緑が奇麗でも、車がバンバン走る脇をとことこ歩く気はなかなか起きない。
そうなるとここへ来るための条件は、道路が凍結するか積雪するかして、車が入って来れないこと。つまり冬のこの時期しかない訳だが、偶々1月22日に降った雪は、赤城山だったら負担だが、奥武蔵だったら丁度良い雪なのではないかと思い至った訳。
結果、程々に雪は積もっていたし、雪の無いところでもガッチガチのアイスバーン。果たして車は上がって来られず、甚だクレージーなオフロードライダーひとりを刈場坂峠で見掛けただけだった(同程度にクレージーな単独トレイルランナーが薄着で走っていたのと、我々並みにちょっとだけクレージーな単独行スノーシューハイカーとすれ違った)ので、広い車道はほぼ我々だけの世界。概ね良い天気で申し分ない。虚空蔵峠から旧正丸峠までは、本格的な雪山を味わうことが出来た(山の記録はこちら)。
旧正丸峠から一気に下れば、ほぼ1時間で正丸駅に到着。そのまま駅には向かわずに、隣りにある「正丸駅売店」に入る。およそ3年ぶりだ(前回はこちら)。中はストーブが焚かれていてぽっかぽか。先客は何処かの工事現場帰りの作業服姿が4名程だけ。スパッツを外すのももどかしく、ビール(ロング缶)を購入。汗が引かないうちに、ビールをグビッと呑むことが出来た。ありがたい、ありがたい。

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タワ尾根の紅葉鑑賞にはやや時期外れかと懸念したが、意外にもっていてくれた(山の記録はこちら)。今年は秋の訪れが早かったが、冬はもう少し先の様子。オロセ尾根も、タワ尾根の下部も丁度見頃と云ってよさそうだ。
宮内敏雄著「奥多摩」(昭和19年刊)によれば、「・・・タワ尾根の現在のその山嶺はタラ・イバラ・篶竹と、二軒小屋尾根にも劣らぬ頑強なブッシュの連続で、・・・」とあり、全く隔世の感がある。奥多摩ばかり歩き廻っていた我が高校山岳部時代であっても、タワ尾根だけは登山対象外の扱いだった。途中、「篶坂ノ丸」というピークがあるが、この「篶」こそ篠竹であり、山名に残る通りの竹藪だったに違いない。
ところが今では、山名が場違いに思われるほど、面影すら見られない。幅広い尾根の何処を通っても問題ないほど、立木と倒木以外になんら障害が無い。キレイさっぱり篠竹が無くなっている。そのおかげで、見事な新緑や紅葉を愛でに、多くの登山者が訪れるようになってきた。
ネットを調べてみると、2000年頃はまだ竹藪があったようだ。そのあとに花が咲いて再生するはずが、何故かそうならなかったようだ。そう云えばこの頃、奥多摩だけでなく、大菩薩連嶺でも笹の花が咲き、一斉に枯れているのを目撃したが、タワ尾根と同じようなことが起こるのだろうか。犯人は鹿か? もし、数多いる鹿くんたちが、笹の花を食べ尽くしたりすると(鹿が笹の花を喰うのかは判らない。誰か知ってますか?)、そこで一巻の終わりになる。そういう意味では数10年に一回咲いて一斉に枯れ、再生を待つと云うのは、かなりリスクが高いように感じる。針の穴を通すような瞬間に、鹿くんの大群が待ち構えていたら一溜りもない。小生は別に、笹藪マニアでも、藪漕ぎ大好きでもないが、今後の成り行きには興味がある。
今回も、我々が「ウトウノ頭」から下り始めると、あとからあとから登山者がやってきた。なかには、そのまま滝谷ノ峰(タワ尾根ノ頭)まで抜け、長沢背稜へ回ると云っていたツワモノもいた。みんな若者。タワ尾根が人跡未踏の世界だったことは知る由もない。
最後の急勾配を慎重に下れば一石山神社。その目の前に日原鍾乳洞売店はある。もちろん、単なる売店ではなく、テーブル席もたっぷりある。云わば、セルフサービス式の食堂である。ここで、まだ汗が引かないうちにビールを呑むことができる。ここも「山の駅」と云っていいだろう。我々にとって、とても理想的な場所にあるのだ。タワ尾根から下りてきたら、この店に限る。

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紀伊田辺で昼食を取った後、まだ復路フライトの出発時刻までだいぶがあったので、噂に聞いた世界遺産・熊野古道を覗きに行くことにした。紀伊田辺駅前にある、観光案内所で情報を仕入れる。熊野古道は、紀伊路、小辺路(こへち)、中辺路(なかへち)、大辺路(おおへち)、伊勢路と5本あるようだが、田辺にはこのうち3本が交わっている。このなかから、熊野本宮大社へと向かう、中辺路をチョイス。これだけで、全長105kmあるそうである。
いきなり田辺駅前から歩きだすことも可能のようだが、街中だけで終わっては面白くないので、ちょっと山中に分け入ってみようと車で、目印となる「熊野古道館」を目指す。しばらく富田川に沿って遡ると、次第に山が迫って来る。途中、「大塔」という地名(村?)があるが、後醍醐天皇の皇子、護良親王は、またの名を大塔宮と云ったはずだが、それと関係があるのだろうか。
大塔宮を巡る物語は、様々な場所に伝説として残っている。大塔宮の愛妾だった雛鶴姫が、大塔宮の子を産んだあと亡くなったのが、(JR上野原駅からバスに乗って終点にある)無生野のすぐ先にある、現在の雛鶴神社と聞いたことがある。実際、雛鶴峠へ登る途中で、雛鶴姫の像が建っているのを見たこともある。鎌倉から無生野まで逃げて来た、ということだろう。
富田川に石船(いしぶり)川が合流する地点に、「熊野古道館」と「滝尻王子」がある。住所は中辺路町。川の音が響く。「熊野古道館」は立派な観光案内所だが客はほぼゼロ。案内係の女性が、可哀想なほど暇そうだった。「滝尻王子」とは神社だが、この熊野古道には「**王子」という名前の神社が、道祖神の如く点々とある。「滝尻王子」から先は完全な山道。足拵えはまったく普通の靴(カミさんはサンダル)だが、せっかくなので熊野古道をちょびっとだけ歩いてみた。
いきなりの急登。後から単独行の外国人がやってきて、あっという間に抜かれた。その後、復路でも外国人夫婦と行違う。さすがここは世界遺産だ。ひと汗かいて辿り着いたところに「胎内くぐり」、その直ぐ先に「不寝王子」があり、ここで引き返すことにした。川の音は遠ざかり、深山の雰囲気。まだ、この先も登りのようである。
「滝尻王子」まで戻ると、直ぐ傍に「みずもと商店」という店があり、看板に「地ビールと鮎あります」とある。こりゃ、魅力的だ。中に入ると、この近所に民家なんか無さそうだが、数人の子供たちが屯している。なんとなく居場所が無いのでビールだけを購入し出ようとすると、女将さんが「まだ香りが足りないですが」と云いつつ、松茸はいかがですか、と。1パック3本1,000円はお値打ちかなと思い、お土産としてそれも頂くことに。
缶ビールを携えて、滝尻王子の入口にある無料休憩所でひと心地ついた。いつかそのうち、この中辺路を踏破してみたい気がしてきた。

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正丸駅前にはその名も「正丸駅売店」というシンプルな名前の店がある。この界隈にはほとんど店が無いので、登山者にとっても、ツーリング愛好者にとっても便利な店である。が、我々にとっては特に、ビールが呑める貴重な場所である。
アサヒスーパードライロング缶で309円と、酒屋で買う価格よりちょっぴり高いだけで、しっかり暖房が利いた店内のテーブル席に着き、グラスで頂くことが出来るのは有り難い。勿論、電車の時刻を見計らって呑むことができ、そして何よりも、山から下ってきたばかりで、汗も引かないうちにビールを呷ることが出来るのが最高である。この美味さに気が付いたら最後、下りの道はビールしか考えられなくなるので、もう大変なのである。

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