山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

2017年01月

高尾駅で途中下車。つい2か月前に来たばかりだが(前回はこちら)、菊丸は未だ入ったことがないと云うので、またまた「あさかわ」に来た。なんだかんだ、場所が良いし、酒もつまみも美味い。早い時間からやっているのもいいところ。逆に、午後5時を過ぎると途端に混んでいて、入れないことが間々ある。その点では、今日は良いタイミングでやって来た。
高尾駅北口の再開発計画が、予定通り進んでいれば、この店に入ることも出来なかった筈なのだが、計画はドンドン延びて、依然として店は存続している。お陰で、この1年半余りの間で、4回もお邪魔することが出来た。高尾駅の橋上化はこれからだが、駅前のバス停整備は終了したような気もするので、もうこの店の立退き話しは無くなったのだと、勝手に解釈している。
相変わらず草臥れたままの暖簾を潜ると、やっぱり今日も、客はカウンター席だけ。やはり高尾山帰りなのか、登山姿が多い。カウンター席から埋まるのは、少人数の客が多いせいもあるが、恐らくは皆さん常連で、この店の居心地の良さに惹かれてやって来るのだろう。
ここは登山客にとっての、サロンのような場所かも知れない。今日はどの山を登っただの、あのコースは眺めが良かっただの、他のハイカーとの世間話をしたい人もいるだろう。女将さんとの世間話を楽しみにしている客も、きっと居るに違いない。山に登ることは手段(又は過程、あるいは云い訳)で、山から下りてこの店に来ることが目的という人もいるのだろう。我々のように、高尾山近郊の山ではなく、中央線沿線の山に登った帰りという人も居るかも知れない。そう考えると、何となく親近感が湧いてくる。
我々は、手前から3つ目の、4人掛けのテーブル席に着陸。何となくここが定席になりつつある。いつものように、ビール(瓶600円税込、以下同様)で喉を潤す。特に意識していないが、気が付いてみると、もつ煮込み(450円)とポテトサラダ(400円)は毎回注文している。能登名物のししっぽ焼き(600円)とサバの魚醤漬け焼き(700円)は、この店じゃないとなかなかお目にかかれない。今回は、小アジの南蛮漬け(450円)とカキフライ(700円)も頼んでみた。どれもおふくろの味。これらの肴を突きつつ、日本酒をいただく。山の話をするのに相応しい店は、奥多摩だったら「天益」、高尾ではここ、「あさかわ」ということになるだろう。

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やってきた211系の高尾行普通電車は、ロングシートだった。何だかこの頃、我々の意向を無視してロングシートが増えてきたような気がする。ホリデー快速ビューやまなし号が無い時間帯や季節外れには、特急に乗ってね、っていうJR東日本の企みが感じられるのは考え過ぎか。
ついでに云えば、特急「かいじ」や「あずさ」が高尾に停まらないのも、山梨から帰る客を(もちろん、やまなしへ向かう客も)、京王線に取られてしまうのを避けたい、というJR東日本のこすっからい戦術のように思うのも、やっぱり考え過ぎだろうか。
そう云えば、東京オリンピック開催に合わせて、中央線・青梅線にグリーン車付きの12両編成の車両を走らせる計画があるらしいが、それも睨んでのことだろうか。ちなみに大月からグリーン車に乗った場合、八王子までだったら50km以内なので570円だが、立川まで行くと僅かに50kmを超える(50.3km)ので780円。日野に着いたら、普通車両へ移動するという小技が使えるとは云え、2020年以降は、八王子で呑む機会が増えそうな予感がする。話が脱線した。
のんちゃんは、飼犬のお散歩の時間までに家に帰るとのこと。ならば前倒しで車内での呑みも必要だ。菊丸のご子息の意向に従ってもいられない。ロングシートだの云ってられない。それでも、満員の状態で呑むほど面の皮は厚くないので、高尾駅に近付かないうちにかるく一杯やろうと、そそくさと、昨晩飲み残した日本酒ボトルと、カップとつまみを取り出す。乗客は、各シートにひとりかふたりぐらいなので今のうちだ。
今日の酒は、会津坂下の曙酒造が造る「天明・焔・山廃・特別純米」。燗酒用とのことだったが、冷やでもなかなかイケる。山廃ならではの、しっかりした酸味と旨みがこの酒の特徴。鮭のトバを齧りつつ、ちびちびやる。
電車が大月駅を過ぎると、停車する毎に乗客が少しずつ増えてくる。季節柄、登山者はそれほど多くは無い。そろそろ、あまり開けっ広げ状態で呑んだくれるのもそろそろ止めた方が良さそう。まだ時間が早い(15時過ぎ)ので、ちょこっとぐらいは寄れそうだと、高尾で途中下車することにした。さて、何処へ行こうか。

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「天空の湯」で再びタクシーを呼んで、ワンメーターで勝沼ぶどう郷駅に到着。ポカポカ陽気だが季節柄、行楽客はさすがに少ないようで、駅前に屯しているタクシー運転手も、車から降りて世間話に興じている。この状態ならば、ワンメーターの距離でも上客のようだ。
「勝沼駅」が「勝沼ぶどう郷駅」に変わったのは、1993年(平成5年)からだそうである。同じタイミングで、「初鹿野駅」が「甲斐大和駅」へと変わったので、何となく覚えている人もいるだろう。ちなみに、「甲斐大和駅」の場合、元々あった初鹿野村が大和村に変わったのが1941年(昭和16年)だから、それから遅れること、50余年で地元の念願が叶って駅名が変わった訳だ。ところが2005年(平成17年)には平成の大合併で、甲州市になってしまったので、またしても旧自治体の名前が駅に残るということになった。いつかまた、甲斐大和駅も別の名前になるのだろうか。まさか、「塩山駅」を差し置いて「甲州駅」にはならないと思うけど。
「勝沼駅」が「勝沼ぶどう郷駅」に変わったときは、何だか客受けを狙った安易なネーミングかと思ったが、もう20年以上も経つといつの間にか慣れてしまった。そう云えば、この頃は「東根さくらんぼ駅」なんてのもあるくらいだから、ご当地特産を駅名に入れてしまうのは、この頃の風潮として受け入れられているのかも知れない。そう云えば、銀行の名前でも、トマト銀行とか、もみじ銀行なんてあったな。閑話休題。
駅舎に入ると、人形が飾られているショーケースの壁に、大日影トンネルの閉鎖を告げる貼紙。前回、勝沼ぶどう郷駅へ来た時に、甲州市のHPに記載されていたの確認していたが、改めて再確認してみると、経年劣化ではなかなか修復は困難だろうと思われ、このまま、未来永劫閉鎖という感じがしてくる。一度も通ったことが無いので残念だが仕方が無さそうだ。市としても無念かもしれないが、勝沼は観光資源がそれなりにあるので、トンネルの一つぐらいダメでも大勢に影響ないと思う。
電車の時間までは少々、間があるので、ホームのベンチで、酒のボトルを取り出し、ちびちびやる。ポカポカで丁度いい。菊丸は、ご子息に、車内や駅構内で呑むのはやめてくれ、と云われているそうだが、そんな目くじらなんて立てなくていいんじゃない、という良い陽気である。

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今日も朝から良い天気だが、昨日ほどではなく、空には薄い雲が懸かっている。ところが、見通しが良いところへ出ると、山々の重なり具合が、やけに立体的だ。それに加えて、富士山のなんと神々しい輝きよ!景色とは単に、空が快晴ならば良いという、単純なものではないのだ。
十分、景色を堪能したあとは、大滝不動尊へ下る。途中、いつも大滝がちょっとだけ見えている感じだが、今日は全貌が見えていた。落差140mとのことだが、もっとありそうに見える。今日は、意外に水量が多いのかもしれない。
大滝不動尊、到着。何だかんだ、今日も結構、歩いた。のんちゃん、菊丸はまだ歩き足りなそうな感じだったが、ここから「天空の湯」までは更に1時間半はかかるだろう。もう十分でしょ?と、不動尊の門前でいつもの勝沼観光タクシーへ電話すると、受付の女性から、「奥宮ですか?前宮ですか?」と訊かれ、あれ、そう云えば、前にも訊かれたなと思い出す。結局、毎度戸惑う訳だが、常識的には奥宮だろうと思い、「奥宮です」ときっぱり返答。たぶん前回も、適当に考え、そう答えたような気がする。
タクシーに乗れば、「天空の湯」まではそれほどではない。さすがに車は速い。途中、果樹園を抜けるところで、女性が道路脇に溜まった落葉を掻き集めていた。落葉焚きをするのか、堆肥を作るのか。いずれにしても、この頃は余り見掛けない光景だ。
こんな天気のときは、「天空の湯」の露天風呂は最高。もちろん、いつ来てもそれなりにいい気分になれるのだが、今日は一際、である。ひと風呂浴びて、さっぱりしたら展望ラウンジでさっそく生ビール。いつもはテーブル席だが、久しぶりに座敷へ行ってみた。
早くも陽は西に傾いていて、窓際は日差しが眩しいくらい。南アルプスの障壁はだいぶ霞んできているが、それでまだ山座同定は十分可能。甲府盆地越しに見る白根三山は、このラウンジならではの眺めだ。この贅沢を暫し楽しみたい。2日間、良き山行だった。

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いつもは、山の帰りにひと風呂浴びて、レストランでビールを呑みつつそよ風に吹かれてまったりし、最終の栄和交通バスで甲斐大和へ帰る、というのがここでのスタイルで、ペンションだと云うのに泊まったことは無かった。そこで今回は是非、泊まってこの宿の雰囲気に浸ってみようと、忘年山行を計画することにした(山の報告はこちら)。
大菩薩嶺や牛奥ノ雁ヶ腹摺山から下りて来るのはいつものパターンなので、ちょっと捻って、塩山から恩若峰、源次郎岳を越えてやってきた。源次郎岳直下の登りは、相変わらず強かだった。何とか源次郎岳まで登ったら、後は楽チンと思いがちだが、源次郎岳が1,476.4mであるのに対して、その東隣りにある梅子婆(隊長が命名。我々だけしか通用しないピーク名)は1,540mぐらいあるので、気を抜いてはいけない。
下日川峠に着いたら、流石にあとは下るだけなのだが、うっかり気を許すと地形図にも記載が無い林道に引き込まれるので(実際、そうなった)、地図&磁石やGPSの確認が必要である。
ペンションすずらんに着いたら、先ずは温まりたい。ここは24時間沸いていると云う有り難い風呂。ゆっくりと浸かった後は、やっぱりビール。家の都合で急きょ、泊まらず帰ることになったなおちゃん共々、乾杯。たとえ冬であっても、それなりに長く歩くと、やっぱりビールは美味い。
ここの客室は、全く普通の旅館と同じ畳敷き。八畳間を一人で使うのは豪勢だ。やっぱりこういう方が落ち着いていい。どうも、ペンションのベッドはいまいちだと思う。しばらく、ちょっと肴をつまみつつ、ワインと日本酒をちびちびやっているうちに、夕食の時間だ。
場所は、いつも利用するレストラン。色々バラエティに富んだ料理の数々が並んでいて、食べきれそうか不安になる。これで8,600円はお値打ちだ。客は我々だけだったが、そのうち我々よりも少々年長と思われる男性一人がだるまストーブの傍にやって来て、我々と話し始める。山のことは色々ご存知のようだが、聞かれもしないのに蘊蓄をひけらかすのは如何なものかね。
それはともかく、だるまストーブの暖かさと、料理の美味さとお酒の酔いで、良い気持ちになった。これで明日の活力も生まれるというもの。このペンションの居心地良さは、立ち寄り湯でも証明済みだが、やっぱり泊りは嬉しい。また、新たな山旅プランを考えなくては。

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会社帰りに時折、銀座線京橋駅で途中下車し、上野寄り階段を上がれば目の前の、明治屋の地下にある洋食屋「モルチェ」に行っていた。ここは明治屋直営の店。そのせいで、扱っているウィスキーやワインを安く提供してくれていたので、結構贔屓にしていた。営業時間も朝の10時から通しで開いていたので、何かと便利だった。
料理も、値段の割にはボリュームがあり、食欲旺盛な者を連れて行っても十分満足できる程だった。其の脇には立ち飲みの「スナックモルチェ」もあって、長居出来ない時には安く呑むことも出来てとても重宝していた。
ところが、老朽化した明治屋本社ビルの建て替えに伴い、休業することとなり、暫く待ち遠しい思いをしていた。そしてこの11月に、3年4ヶ月ぶりにリニューアルオープンしたと聞いたので、ワクワク、満を持して行ってみた。
以前は勿論、建物そのものが古風だったので、それに較べると随分洗練された雰囲気。入口には、まだ開店祝いの胡蝶蘭の鉢がずらりと並んでいる。それにしても、新しく生まれた「京橋エドグラン」の地下階には、「モルチェ」以外にも数多くの飲食店が入っている。競争がし烈になりそうだが、「モルチェ」の顔馴染みウェイター曰く、うちは常連さんが多いので楽です、とのこと。
リニューアルオープンでやってくる客の殆どは(我々も含め)、常連だそうである。我々が入った時間はまだ、多少、予約無しでも入れるテーブルがあったが、間もなく新たにやって来る客を断るようになった。人気の老舗にはアドバンテージがあるようである。
さて、やっぱりビールでいこう。ここはキリンのハーフ&ハーフ(650円税込、以下同様)で。その後はウェイターの勧めに従い、赤ワインとしてマセット・エノフィル・ハロウィン2015(2,500円)を呑んだ。明らかにハロウィンの売れ残りだが、その分、安くしてくれたものと思う。
料理は、ハム盛り合わせ(950円)、チーズ4種(400円)、スパニッシュオムレツ(800円)、スパイシーフライ(1,100円)を注文。そして仕上げは、塩茹でパスタ(700円)と、牛すじ煮込み(800円)を注文。このパスタと牛すじ煮込みは、元々この店の定番。新しいメニューにはまだ載っていなかったが、顔馴染みウェイターに云ったら、すぐ出て来た。塩茹でしたパスタに粉チーズを振りかけ、それに牛すじ煮込みをかけて喰うのが、この店にやってくる常連客の流儀。これが美味いんだ。

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あけましておめでとうございます。本年も変わらずお引き立ての程よろしくお願いします。

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さて、長野駅前で蕎麦を手繰ったらもう、後は新幹線で帰るだけだ。「ろくもん」に乗って軽井沢から長野まで、2時間25分かけてやってきたが、帰りは「あさま622号」に乗れば、軽井沢までわずか32分(ここで降りずに、そのまま大宮へ)、大宮までにしても1時間23分。味気ない程速い。
「ろくもん」は金で料理と雰囲気を買うわけだが、新幹線は本当に金で時間を買っていることになるのか。買った時間はいったい何に使っているのだろう。仕事ならいざ知らず、プライベートだったら、グータラしている時間が増えるか、せいぜいブログの更新作業に若干、余裕が出来る程度に過ぎない。
長野で多少の時間があれば、真田の郷、松代城や、界隈の造り酒屋にでも寄ってみたかった。長野市篠ノ井にある西飯田酒造は、「積善」を醸す酒造。「積善」にもいくつか種類があるが、なかでも「花酵母」を使った様々な酒は、この頃少々気になっている。HPを覗くと、シロイバナ、アベリア、なでしこ、ヒマワリなどの「花酵母」を使ったものがある。「花酵母」について調べてみると、これらの酵母は東京農大のとある研究グループが様々な花から酵母を分離するのに成功したらしい。もちろん花そのものではなく、花についている酵母。其々花の特徴を好む(好むといっても、酵母に運動性は無いため、集まってくると云うよりは、偶然、飛んできて、そこでだけしか生きられない、と云った方が正解か)酵母によって、出来上がる日本酒の香りや味が異なると云うのは、当たり前のようでとても不思議なことだ。これまで、天吹酒造のバナナ酵母・大吟醸を呑んだことがあったが、まさにバナナそのものの香りにとても驚いた。バナナの香りはバナナ自体ではなく、バナナにつく酵母が出す香りなのか、と理解した。西飯田酒造訪問は、また次回とすることにしよう。
それはさておき、いちおう、大宮までの時間、カップ酒の1本ぐらいあった方がよろしかろうと、KIOSKで手に取ったのが、チーズちくわと「渓流」という日本酒。須坂市にある遠藤酒造場の酒。やや甘口の本醸造。いわゆる呑み飽きないタイプのお酒。これはこれで、なかなか美味い。今回の鉄道旅ではとりあえず、信州のワインと日本酒を、計4種類堪能したことになる。これぞ旅の醍醐味。

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