山から下りたらこんな店 - 副隊長の自己満足

山から下りて、ひと風呂浴びてから一杯やるのは醍醐味の一つ。しかし、最近はどっちが主なのか、判らなくなってきた・・・。

2016年09月

双六岳&笠ヶ岳ツアーの最終日は、バスで高山に移動して観光。観光と云っても、小生の独断と偏見により、酒造巡りに付き合って貰うことになった。個人的に高山は半年ぶり。高山の旧市街には、7軒の造り酒屋があるが、そのうち、今年の2月に3軒(舩坂酒造店原田酒造場老田酒造店)訪問済みなので、今回は残りの4軒を巡ろうと云う魂胆である。
高山に到着し、荷物をロッカーに預けたら、旧市街、三町筋の上三之町へ。今日は日曜日、陽気も良いので大変な人出である。海外からの観光客も目立つ。「坂口屋」とその向かいの「飛騨こって牛」の名物、飛騨牛のにぎり寿司の店頭販売は、どちらも長蛇の列、食べたくても、並ぶ意欲が殺がれるほどだ。
しかし、路地を一本外れ、上二之町へ入ると、ほっとするほど閑散としている。この路地には、「平田酒造場」、「二木酒造」、「川尻酒造場」が並んでいる。先ずは、「二木酒造」から。この酒造の看板銘柄は「玉乃井」である。
杉玉が下がった入口を通ると、板壁や柱が黒光りする店内。広々として天井も高い。外は汗が噴き出るほどだが、ここはひんやり。創業は元禄8年(西暦1695年)とのことなので、300年をこえる超老舗。現在の当主は15代目だそうである。
店内に客はゼロ。まだ時間が早いせいもあるが、今日、上三之町のメインストリートを練り歩いている観光客に、呑んだくれはいないらしい(そもそも、香港人やシンガポール人は、酒を呑まないらしいが)。おかげで心ゆくまで試飲ができるというものだ。
さて、試飲。ここでは猪口1杯ずつ有料というスタイル。銘柄は、氷室・純米大吟醸、両面宿儺・大吟醸、玉乃井・大吟醸、笑いじょうご・純米大吟醸などがずらり。ここは吟醸か大吟醸しかないようだ。
そのなかから、氷室・純米大吟醸(200円)を選んでみた。吟醸香はそれほど強くなく、コクがあってやや酸味や苦みも感じるので、大吟醸っぽくない。いかにも、300年前からずっとこの味を守って来ました、という感じが伝わってくる。

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鏡平から笠ヶ岳は、将に日本アルプスらしい稜線漫歩の気分が味わえ良い気分。一方、笠ヶ岳からの下り、クリヤ谷ルートは、他の北アルプスの登山道に較べると、利用者が少ないせいかやや荒れた印象だが、特段不明確な部分はないので、道迷いの心配は無い。笹に捉まりながら下りる部分は、上越国境周辺の登山道を彷彿させる。途中で、テントを担いだ単独行2人と行き違ったが、ここを登る根性は大したものだと感心する。
岩稜帯の下りや大小様々な石の乗り越え、沢の渡渉等、それなりに変化はあるものの、標高差約1,900m、下りだけで6時間余というのは、はっきり云って飽きるし、疲労で足の動きも次第に鈍くなる。誰も怪我無く(除、軽い打撲や擦過傷)下りられたのは、ともかく幸いと云うべきだろう。
途中、歩くペースの違いから二つの班に分け、A班の登山口到着時刻は15時49分、一方、B班は16時39分で、結果的に約50分のタイム差で済んだ。A班は、中尾高原口BSで15時59分発のバスに間に合ったとのことだが、B班を待っていてくれた。その間、ビールを探し回ってみたが、見つからなかったらしい。地元の商工会の方に云いたい。是非、中尾高原口BSに、缶ビールの自動販売機を置いていただきたい。レギュラー缶500円だって買うな、きっと。
中尾高原口BSから、今宵の宿「宝山荘」がある上栃尾BSまで、バスだとわずか8分だが、歩くと1時間。既に13時間余り歩いた後では、とても更に1時間歩く気にはならないが、宿の送迎は無く、辺りにタクシー会社も無いとのこと。つまり16時59分発のバスを逃すと、もう1時間待たなくてはならなかったので、その点でもB班の到着時刻は上手い具合だった。
「宝山荘」は上栃尾BSの直ぐ前。よたよたと玄関に辿り着く。仲居さんには暖かく迎えられるが、もうビール無しには何もしゃべれないし、何も出来ない。直ちに1階の自動販売機で缶ビールを購入し、部屋に入ったら着替えは後回しに、先ずはおつかれさん乾杯。うひ~、美味い。あ~、ほっとした。もう夕食の時間がせまっているので、そうのんびりもできない。さっと風呂(もちろん温泉)に入って汗を流したら、すぐに食事処へ。
料理は奥飛騨温泉郷にある宿らしく、基本的に地のものらしいメニュー。もちろん、高山名物の朴葉みそ焼きや、飛騨牛の陶板焼きも出てきて、十分に満足。酒は高山、平瀬酒造店の久寿玉。もう、なにも云うことは無い。めでたし、めでたし。

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午前3時半過ぎに鏡平山荘を出発し、快調に稜線へ。弓折岳から南下する稜線は、アップダウンはそれなりにあるものの、とても気持ちが良い。流石は北アルプス、わざわざやって来た甲斐がある。のんびりと歩いていたい気分。帰りのことを考えると、そうもしていられないが、少なくとも笠ヶ岳までは楽しめる。
笠ヶ岳からやってくる登山者はそれなりに多い。しかし、我々と同じ方向(弓折岳→笠ヶ岳)に進む者は少ない様子。やはり笠ヶ岳に登るには、笠新道経由が多いということか。
途中、リュックサックをデポし、空身で抜戸岳を往復。抜戸岳山頂から望む笠ヶ岳は、甲斐駒ヶ岳から望む北岳に似て、すっきり端正。惚れ惚れする程、恰好が良い。目の前に見えてから、なかなか着かないのはよくある話で、笠ヶ岳も例外ではない。
やがて、笠ヶ岳本体の登りとなり、テント場に到着。ここのテント場は、眺めが良い場所に雛壇のようになっていて、小屋はすぐ上にあるように見えるが、辿り着くまで意外に大変。実際、15分くらいかかるので、焦らず登る必要がある。テントにいて、急にトイレに行きたくなったら心配だ、と思うような距離である。
ゆっくり登れば笠ヶ岳山荘に到着。小屋の外も中も、殆ど登山客がいない。双六小屋辺りとは大違いである。今回は暑さのせいか、度々冷たい飲み物が欲しくなるが、笠ヶ岳山荘でも飲み物が待ち遠しかった。売店に並んだ何種類かあるボトルの中から、オランジーナ(400円税込)をもらうことにした。正直云って、飲むのは初めてかも知れない。
外のベンチでグビッと飲む。は~美味い。カップラーメンもそうだが、ジュースはいくら冷えていたとしても、下界では食指は動かないが、山の上では最高に美味い。これでまた、笠ヶ岳を越えていく活力が生まれた気がする。その意味で、笠ヶ岳の直下にあるこの小屋は、実に良い場所にある。今度ここに来る機会は何時になるか判らないが、その時は是非、泊まって、ビール片手に槍穂高を眺めてみたい。

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弓折岳直下、標高約2,280mのところに鏡平山荘がある。名前の如く、この一帯は平らな地形で、大小の池(鏡池など)や池塘が点在し、その周囲をダケカンバやナナカマドの木々が茂っていて、箱庭という表現が相応しい。下界は見えないので、ここの標高を実感するのは周りの風景のみ。東側には、槍・穂高連峰が壁のように聳えている。こんなところにある山小屋だったら、誰でも泊まりたくなるはず。
双六岳へ登る途中に、ここ鏡平山荘で飲んだのはネクターだったが、双六岳からの帰りに呑むのは勿論生ビール(900円税込)。同じ山小屋グループの双六小屋では生ビールが1,000円、麓のわさび平小屋では800円だったことからも、ここが中間点であることを実感させてくれる。高山植物と、池塘に囲まれたテラスでのビールは格別である。
ビールを呑んでいるうちに次第に冷えてきたので、小屋内へ移動。我々が泊まった部屋は、図らずも個室だった。人数が纏まっていたことと、事前予約のおかげだろう。部屋には「焼岳」と云う名前がついていた。荷物の整理や濡れたものを干すのに一頻り。ここの乾燥室も、わさび平小屋に負けず劣らず強烈。忽ち乾く。
個室の壁には小さな張り紙で、部屋内での飲食禁止、と書かれていたが、個室だし、綺麗に使えば問題なかろうと、荷物整理が一段落したら、部屋呑み。下界から持参したアルコールは、全てわさび平小屋で飲み干してしまったので、缶ビールとカップ酒を現地調達。鏡平山荘で売っているカップ酒は、その名も「双六」(しかし、ラベルの山はどう見ても槍だ)。高山市街にある、二木酒造の酒だった。この小屋の住所も高山市なので、至極当然なのだが、つい、こんな処にも高山の酒がある!と思ってしまう。
夕食は4ラウンド中、3ラウンド目。今日は150人程が宿泊とのこと。食堂は、板張りに床に座って食事するスタイル。見渡すと、テーブルは5列で、都合42人が座っていた。食事は、山小屋にしてはかなり充実していると思う。これらは全てヘリで運ばれたのだろう。有り難くいただく。
食後は外へぶらぶら。まだ、テラスには多くの登山者が屯している。辺りはすっかりガスに包まれていて視界が利かないが、時折ガスの切れ間から槍・穂の姿が現れると、天上の楽園にいることを実感する。明日はいよいよ笠ヶ岳。予定は3時起きなので、早いところ寝るとしよう。

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北アルプス2日目は、わさび平から鏡平まで小池新道(小池潜の父親の小池義清らが開設)を上がった後、着替えやアルコール・つまみ等の荷物を山小屋にデポしてから、双六岳を往復。鏡平から素直に笠ヶ岳を目指しても良かったのだが、せっかく近くまで来たので、裏銀座にも足を伸ばしておこう(裏銀座を歩いたことが無い人も多いので)と云う魂胆である。
昨年、一昨年と、北アルプスの夏山山行(種池山荘~五竜岳、針ノ木岳~種池山荘)では生憎の天気だったせいか(っていうか、ここ数年で晴れたのは昨年の立山ぐらい。どうも、うちには強力な雨女がいるような・・・)、今回のように、暑くてふうふう云いながらの稜線歩きは、このところ記憶に無い。夏山って、こんなに暑かったっけ。次第に暑さに弱くなっている(熱中症に罹り易くなっている)のも一因かも知れぬ。
とにかく暑くて喉が渇く。500mlのペットボトルがみるみるうちに空になっていく。鏡平山荘で飲んだ不二家ネクター・ミックス(何故か、ネクターしか無かった)は、冷たくて美味かったが、砂に零した水の如くあっという間に飲み干した。
双六小屋はかなり遠くからみえるのか、歩いても歩いても中々近付かないかった。漸く辿り着いてみると、流石は裏銀座、大変な賑わい。まだ午前中にもかかわらず、テント場には大小様々、色とりどりのテントが並んでいる。さながら展示会のようである。ここまで来たのでみんなには双六岳に行ってもらい、自分一人だけここで昼寝でもしてようか、という気持ちももたげてくる。
荷揚げ用のヘリも、働き蜂のように頻繁にやって来ては、去っていく。ガスが上がってくるまでの勝負、ということだろう。小屋に寄って、緑茶のペットボトルを購入。というか、それ以外にはミネラルウォーターしかない。荷揚げが登山者の需要に間に合っていないということだろう。でも、そのお茶は冷たくて美味かった。もちろん、直ぐに無くなってしまったが、気分はリフレッシュ、やっぱり双六岳を往復してこようという気持ちになった。
おかげで双六岳の山頂で昼寝しながら待っていてくれたという、Woodyさん(前日に鏡平泊)にも会うことができた。再び双六小屋に戻り、小屋でまたお茶を買おうとしたら既に売り切れ。新たにジュースなど数種類が冷蔵庫に並んでいた。しかし、残念ながらどれも冷えていない。さっき荷揚げしたばかりのものだから当然だ。それでも客は次から次に買っていく。仕様がないので、小生もぬる~いオレンジジュースで喉の渇きを癒した。

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新穂高温泉までは松本からバスで2時間余。西側の高山からも同じく2時間程かかるので、この辺りは鉄道から最も遠い場所にある。個人的には、松本から高山まで、スイスにあるような本格的な山岳鉄道を通して欲しいものだと密かに願っている。勿論、支線として新穂高温泉と上高地にも繋げて、新穂高温泉や上高地界隈は自動車の乗り入れ禁止エリアにしていただく。車両は、松本電鉄の様な長閑な各駅停車の普通列車だけでなく、氷河特急のような、食堂車付きの豪華な観光列車も走らせて欲しい。ちなみに氷河特急をサンモリッツからツェルマットまで乗ると、約8時間、ファーストクラスで35,900円もするが、それでも世界中から人が集まってくる。話が脱線した。
わさび平小屋は、新穂高温泉から1時間余。足慣らしには少々近過ぎるか、と思っていたが、陽気のせいか、それとも道中日差しを遮るところが少ないせいか、暑くて堪らない。たっぷり汗をかかされ、もうこれ以上は歩きたくないな、と思い始めた頃に小屋が姿を現した。やっぱり山小屋はオアシスだ。
丁度、河童橋から歩いて明神館に着いたような感じ。小屋の脇には、豊富な水を引き込んで、リンゴやオレンジ、スイカ等が冷やされている。なかなか美味そうだが、所詮、ビールには敵わない。ともかく、暑くて何もする気が起こらないし、日影から出られない。早速、受付を済ませたら冷たい缶ビール(レギュラーサイズ500円)で乾杯。は~しみる~。 
ひと息ついたら、荷物を部屋に入れる。濡れたものは乾燥室へ(ここの乾燥室はとても強力)。我々の部屋は2階の一番奥(小屋の正面から見て一番手前の右側)。布団は12人分。我々以外に3人居たので、まずまずの混み具合。整理が終わったら、酒とつまみを持って再び外のベンチへ。ワインと日本酒をちびちびやりながら、空き具合を見計らって風呂場に向かう。そう、ここには風呂がある。温泉ではないが、ちゃんとした設備が整っているので、最早、山小屋の風呂ではない。
風呂から上がれば、そろそろ夕食。それなりに宿泊者が多いせいで、夕食は2ラウンドで、我々は1ラウンド目。広くて明るい食堂に集まる。壁に飾られている山の写真は、おそらくこの小屋のオーナーで、山岳写真家の小池潜の作品だろう。なかなか料理も豪華。山小屋として最上級だろう。明日からの英気も、これで養える。
翌朝、ややガスが出ているが、時折星空も姿を現すので、まずまずの天気。朝食も、夕食並みに豪華なものだ。小鉢には、こも豆腐が入っていた。ここが岐阜県高山市であることを思い出した(山の記録はこちら)。

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