「御殿酒場」で寛いだ後、店の隣のJR御殿場駅へ移動し、久しぶりに「ふじさん号」に乗車。でもその前に、キオスクで「御殿場高原ビール」と、つまみに「黒はんぺんの燻製」を購入。さっき入った「御殿酒場」でもそうだったが、「黒はんぺん」が何かと気になる。
箱根以西(つまり静岡側)では、昔は「黒はんぺん」などとは呼ばず、単に「はんぺん」だった。一方、関東人からすればこれは到底「はんぺん」の類ではなく、(魚のすり身を使った)平べったい「つみれ」としか思えない。
静岡の「はんぺん」に出会ったのは、たぶん学生時代、友人と静岡市内の居酒屋に入って頼んだのが最初だったと思う。関東からやって来た小生には、「フワフワなはんぺん」こそ「はんぺん」と信じ切っていたので、こんな「黒ずんでいて堅いはんぺん」なんて「はんぺん」じゃない、と云ったら静岡出身の学友や店員に「何云っているの?」と怪訝な顔をされた。
「フワフワはんぺん」こそ「はんぺん」だと主張してみたものの、だいたい、「フワフワはんぺん」は静岡では売っていないのだから(今はそんなことはないだろうが、これはおそらく当時、紀文の営業範囲が限られていたせい?)、皆さん見たことが無い。で、全然話にならないし説明のしようも無い。ともかく「フワフワはんぺん」が喰いたければ、静岡じゃ無理と知った。
時は移ろい、静岡の「はんぺん」はいつしか、「黒はんぺん」と称するようになった。静岡県人が何処かで、俺達の「はんぺん」は関東と違うようだと気がつき、しかも「フワフワはんぺん」の方がメジャーだと認めたのかも知れぬ(認めない輩は、あえて「白はんぺん」と呼ぶらしい)。
ともあれ、小生には当時の強烈なカルチャーショックがいまだに頭に残っているので、キオスクで「黒はんぺんの燻製」などというシロモノが目に入ると、つい気になって買ってしまうのである。たぶん、これは今でも静岡限定販売なんだろうなあと思う。
窓の外を見ると、今日はちっとも所在が分からなかった富士山が、頭に雲を載せた姿を見せていた。

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