「かつら」を出たら、いつのまにか外はとっぷり暮れていたが、時計を見ればまだ宵の口。なおちゃんにはもう一軒、ちょっとだけ付き合ってもらうことにした。
大月駅前はこの季節らしく、富士山をモチーフにしたイルミネーションが綺麗だ。だが、見ている客は殆ど見当たらないので、少々物悲しさも漂っている。
2軒目は毛色を変えて、駅前ロータリーの反対側にある「月cafe」にしてみた。名前はカフェでも、普通に西洋料理が出てくることは、我々は良く承知している。ここはかつて「アダージッシモ」という店名だった頃に、かなり贔屓にさせてもらっていたが、名前が「月cafe」に変わってからは3年ぶり(前回はこちら)の入店である。
入ってみると、まだ早い時間にも拘らず(2階はわからないが)1階は先客なし。昼間は近所の有閑マダムがランチに来ることがありそうだが、夜はこんなものか。
近所のオヤジ連中が管を巻く感じの店じゃないし、出張か何かで独りでやってきたビジネスマンも呑むだけだったら「庄屋」や「魚民」に入りそうだし、女性のお酌が欲しかったら路地裏スナックに入るだろうし、このようなスタイルの店は大月ではなかなか難しそうな気がする。
それでも我々が知る限りもう10数年やっているのだから(HPによれば1965年からやっているのだそうだ)、それなりに客は付いているはず、我々のような闖入者目当てで無いことは確かだ。
折角の洋食なので、ワインをグラスで貰うことにした。つまみにはトリッパのトマト煮込み(1,550円)をチョイスしてみる。しっかり煮込んであって、蕩ける舌触り。こんな料理が喰えるのだから、山から下りたら偶にはここに寄ってみたくなるのも道理だが、不思議と他に登山姿の客を見ることは無い。何故だろう。帰りはご主人のお見送りを受ける。また来ます、と店を後にした。

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