「落合簗」で十分満足したあとの帰り路。渋川から乗った18時19分発の普通電車は高崎止まり。湘南新宿ラインに乗る3人の方々と別れ、上野東京ラインに乗り換える。
高崎から大宮までは、普通電車で1時間20分ほどの旅。大宮には20時06分到着の予定。新幹線ならば19時26分着。流石に新幹線は速いが、酒とつまみさえあれば、普通列車でも問題ない。もし酒を切らしたならば、寝て行くしかない。高崎線の景色は、そもそも並んだ家々を眺めるだけなのでちっとも面白くないが、夜ともなれば時折、郊外駅周辺のネオンサインなどが目に入るので、多少はましである。
このE231系は、前後2車両ずつがセミクロスシート車両なので、我々も先頭から2両目に収まる。
今日、リュックサックの中に忍ばせて来た酒は、仙禽酒造(栃木県さくら市)の「かぶとむし」という、一風変わったネーミング。その名の通り、ボトルの表に貼られた透明ラベルには、半透明の七色のかぶとむしが描かれているし、裏ラベルには「あなたの少年時代は、いつでしたか。」と書かれている。つい、ん十年前に思いを馳せる。なかなか心憎い演出である。
口に含むと、酸味とジューシーさを感じるものの、意外に爽やかで余韻がすっきり。これで夏を感じてください、ということだろう。日本酒で、少年時代の夏休みを思い起こさせようと云うのは、考えてみるとすごいことだ。日本酒の可能性を見たような気がする。
この「かぶとむし」も、原料米は地元さくら市で収穫されたものを使っている。ワイナリーのやり方を手本にしたのか、この手の「ドメーヌ化」がこの頃の日本酒造りの流行りとなっているようだ。先日呑んだ「天明BangeYamada」もそうだった。中央線の初狩駅辺りでは、「笹一」の文字を染め抜いた旗が、田圃の畦道に立っているのを見た。今後も益々その傾向は強くなるような気がする。それで酒の旨みがどうなるか、などということはどうでもいいが、酒の品格と云うか、箔がつくような感じはある。

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