蕎麦屋「きり」で存分に呑んで喰ったら、さてそろそろ帰るか、と甲府駅14時25分始発の特急「かいじ114号」の自由席車両に乗る。少々早めにホームで待ってみたが、乗車率は半分程度だった。
考えてみると、「あずさ」と違い、「かいじ」に乗る機会は、意外に少ない。そもそも日帰りの場合は、こんな早い時間に帰ること自体無いし、もしそんな楽チン登山になったとしても、土曜日だったらやはり普通電車利用になるだろう。夕刻ならば、たいてい「ホリデー快速ビューやまなし」に合わせて時間調整する(≒何処かで一杯やる)ことになるし、たとえ乗り遅れても大月から東であれば結局、普通列車利用ということになるだろう。
従って、土曜日だったら「ホリデー快速ビューやまなし」よりも遅い時間帯か、日曜日の今回の様な時間帯に、乗る場合の何れかに限定されている訳だ。前者の場合は、日帰りでなんとか行ける山、ということになるので、がっつり登るケースが増えれば、日帰りで「かいじ」に乗ることにもなりそうだ。
ところで、甲府~新宿間は、いわゆるB特急券区間だ。甲府から立川までだと、営業キロで96.6km。B特急券の自由席では、100kmまで930円なので、少々お得感がある。
ちなみに小田急線で新宿~箱根湯本までは88.6km、特急料金(指定席)は890円なので、自由席、指定席の違いはあるものの、甲府~立川間と料金的に大した違いは無い。従って、「かいじ」の自由席に簡単に乗れるのであれば(長時間並ぶ必要があれば別だが)、割とお気楽に使える感じはする。
そんなことはともかく、座席を確保したら向かい合わせにし、残りの酒とつまみを取り出す。今回持参した日本酒は「豊賀(とよか)」。醸造元は小布施にある高沢酒造。先日、小布施を観光したが(松葉屋桝一市村で利き酒)、ここはちょっと離れているし、直販もしていないとのことだったので寄らなかった。この「豊賀」はかなりフルーティーで、柑橘系の香り。桝一市村の骨っぽい「スクウェア・ワン」や、松葉屋の濃醇な「本吉乃川しぼりたて生酒」とは、だいぶ趣が異なる日本酒だ。まったく昨今の日本酒は多様だ。
こうやって、見慣れたとは云え甲府盆地を取り巻く山の景色を眺めつつ、美味い日本酒をちびちびやるのは、山の帰りの楽しみであるのは間違いない。今回の様に、のんびり1泊してゆったり登るのも良いが、日帰りでがっつり登り、帰りは「かいじ」でちょっぴり優雅に過ごすのも悪くなさそうだ。 

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