キハ・レストランでイタリアンを堪能したあと、せっかくの機会なので、大原駅で少々散策。先ずは「木戸泉酒造」へ行ってみる。実は全く偶々なのだが、つい先日、六角精児の「呑み鉄本線・日本旅」(NHK-BS)で、いすみ鉄道編を視たばかりだった。とにかく、六角精児が朝からひたすら呑み続ける番組である。NHKも随分と大胆なことをやるもんだ。その番組の中で、この木戸泉酒造が出て来たので、是非訪れてみようと思っていた。
木戸泉酒造は、他の造り酒屋とはちょっと違ったことをやっている。そのひとつは高温山廃。普通、山廃仕込みは8℃くらいなんだそうだが、こちらはあえて目一杯高くして55℃。麹菌がこんな温度で生きていられるのかと不思議に思ってしまうが、たしかに殺菌効果は有りそうである。これによって、酸味が強めの酒が出来ると云う訳。
ふたつめは、一段仕込みによる濃厚多酸酒。乳酸発酵と酵母によるアルコール発酵を同時に行うことで、アルコール度数17~18%、日本酒度-30、酸度5~7の、超飛び切り濃厚多酸を実現。この造り酒屋では、「アフス」というブランドで販売している。もう一つは古酒。一般に日本酒は年を越して保存することはしないが、ここでは20年以上寝かせた日本酒もあるそうである。どちらも利き酒が楽しみだ。
場所は、駅からほんの数分のところ。判り易い。木戸泉酒造に近付くと、赤レンガ造りの煙突も目立つが、門に吊るされている巨大な杉玉が眼を惹く。こんな大きさは見たことが無い。門は開いているし、人影が無いのでずんずん入る。何処が売店なのか判らないまま奥へと進むと、建物の入口があった。
中に入って声をかけてみるが、だれも出て来ない。しばらくすると、外からひとり現れた。先日のテレビでは若旦那が六角精児を応対していたので、さしずめこの方は先代のご主人であろう。早速、利き酒させて欲しいと申し出る。どれでもどうぞ、とのことなので、お言葉に甘えて、狙い通り古酒の10年物と20年物、それに「アフス」をいただくことにした。
古酒は以前、伏見の月桂冠・大倉記念館で味わったことがあったので、風味に覚えはあった。20年物をいただくと、もう全く、これは日本酒ではない。香りも酸味も色も、もはや紹興酒に近い。唯一の違いは、日本酒のコクが残っていることか。今度は、「アフス」。口に含むと、やはりこれも日本酒ではない。まるでドライシェリーのようだ。製法を変えるだけで、こんなにも日本酒は変わるのか、と只、驚くばかり。勿論、どちらも買うことにした。

(利き酒に夢中となってしまい、酒の写真を撮り忘れた、残念!)

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木戸泉酒造のHP: こちら