「肉の大山」で少々腹を満たした後は、やっぱり蕎麦で締めくくることにして、さて何処にしようか。「上野藪」は目の前だが、できれば入ったことが無い店にしてみたい。そこで、予てより気になっていた「蓮玉庵」へ行ってみることにした。
安政六年創業。桜田門外の変が安政七年だそうだから、それよりも古いことになる。日本刀を手挟んだ武士が跋扈していた時代からやっていた、と聞くだけでなにやら畏れ多い。逆に、武家の時代が、そんなに昔ではないような気もして来る。明治の文豪、森鴎外や斉藤茂吉も贔屓にしていたとのこと。斉藤茂吉は「蓮玉庵」の実名を入れて詠んだ短歌もあるそうだから、相当な入れ込みである。福山雅治がロハで「蓮玉庵」のテーマソングを作ったようなものである(ちょっと違うか)。坪内逍遥や樋口一葉も、作品の中で描写しているそうだが、どちらも確認できそうに無い(旧かな遣いの文章は、かなり抵抗があるし・・・)。
外観はなかなか渋いが、なかに入ると意外にモダン。丁度、テーブル席が埋まったところのようで、少々お待ち下さいと、姉御肌の女性店員が仰る。すると偶々、もう帰ると立ち上がった客が居て、すんなりと座れた。客はほぼ全て、夫婦かカップルである。たしかに場末居酒屋大好きオヤジ連や、姦しおばさん同志では何だかしっくりこない。みなさん殆ど酒なんか呑まずに、蕎麦を手繰っているだけだ。
こっちはそんな気、毛頭にない。メニューを見ると、板わさや焼き海苔、つくね、玉子焼きなど、ほぼ蕎麦屋定番の一品料理が並んでいる。でも、そのうち、つくねと玉子焼は5時からとなっていて、ランチ時には頼めない。ふーむ、他に無いものかとあたりを見回すと、「鴨の薫製」の貼り紙。では、それを頂こう。さっき、「肉の大山」で揚げものを喰ったので、これ以上頼むと蕎麦が喰えなくなる。ビールもやめて、最初から冷酒。「菊水の辛口」をちびちび呑む。
そうこうしているうちに、せいろそばがやってくる。手繰ってみると、コシと云うよりも弾力を感じる。つるつるっと直ぐに無くなってしまった。蕎麦湯は、やかんに入って出てきた。やけに年季が入っている。モダンな店内で、そこだけがこの店の歴史を語っているような気がした。

DSC00221

DSC00222

DSC00223

DSC00224

DSC00225

DSC00226

DSC00227

DSC00228

なんと・・・、池之端藪蕎麦が閉店してしまった・・・。大ショック。

DSC00229