3ヶ月おきの定期検査で往きつけの病院に行った後、昼飯を喰いに独りで上野に出てみた。検査結果が多少良好だからと云って、暴飲暴食に逸るほどアドレナリン分泌量は高くない故、今日の狙いは蕎麦屋。上野界隈には、結構、老舗蕎麦屋が多い。「上野藪」、「池の端藪」、「連玉庵」、「公望荘」などが有名どころ。しかしまだ11時だったので、この時間でも開いている「翁庵」に行ってみる。明治末期に神楽坂の「翁庵」から暖簾分けされたそうだ。
上野駅正面から浅草通りに入ると、直ぐ右手前に見える。真正面は上野警察署。あまりこちら側に来ることは無い。たいていは公園口か広小路口に出る。美術探訪には公園口、居酒屋放浪には広小路口、という訳だ。この頃は後者の方が増えてきたように思う。
「翁庵」の店の前に着くと、建物の風情に見惚れる。一度でいいから、2階の欄干に肘を掛けながら、団扇を煽いでみたい。これも戦前の建物か、よくもまあ、残っていたものだ。暖簾を潜ってガラガラっと引き戸を開けると、ひんやり涼しい。まだ昼にはだいぶ早いせいか、先客は4人ほど。1階に座敷はない。店員が何処でもどうぞと云うので、4人掛けのテーブルに独りで座る。
さてとメニューを眺める。せっかく休みを取って来た、平日の真昼間なので、皆さんに申し訳ないと思いつつ一杯いきたい。残念ながら、酒のつまみになりそうなのは漬けもの、板わさと天麩羅ぐらいか。日本酒かビールかで少々悩む。今日は陽気が良いので、ビールを注文してみると、枝豆が付いてきた。これでつまみはよしとしよう。あとは、もりにした。「続けてお持ちしていいですか?」と訊かれたので「お願いします」と答える。
ビールを飲み干さないうちに蕎麦がやってくる。細打ちで結構、色白。つるつると喉越しが良い。あっと云う間に手繰り終わり、残った枝豆をビールで流し込む。これで、すっと帰れば粋かな、と思いつつ店を後にする。

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