本厚木からの帰り道、新宿駅乗り換えのついでにもう1軒行ってみた。行くあてがあった訳ではないが、歩いているうちに、久しぶりに覗いてみたい、とある店が思い浮かんだ。それがここ「つるかめ食堂」。かれこれ20年ぐらい、来ていなかったと思う。名前は食堂だが、実態はほぼ居酒屋。勿論、食事だけの客もいるはずだが、小生は酒なしでここに来たことは無い。かつてションベン横丁と云われていた、思い出横丁のほぼ真ん中にある。
10数年前の火災のあと、再開発される恐れがあったが、それは免れ、細い路地の風情は、以前とさほど変わったようには感じない。でも、この店は以前、コの字型のカウンタースタイルだった筈が、いつのまにかリニューアルされていた。少々Deep感が無くなったようにも見える。それに、かつてはひとり客が多い感じで、女性客なんてほぼ皆無だった。店も人も時代に押し流され変化している。でもリニューアルされても、掘立小屋のような、仮設的雰囲気はそのままかも知れない。それはちょっぴり嬉しい。
内装はすっかり変わっても、この店独特のオリジナル料理は健在だ。例えば「バカでアホでフラメンキン」(牛肉のガーリック味天ぷら)。こんな長いタイトルだったかな。でも、スペイン語でバカ(vaca)=牛肉、アホ(ajo)=にんにく、フラメンキン(flamenquin)=巻き牛肉フライ、という意味になっているらしいので、強ち的外れではない。つまり、ネーミングはちょっと変でも、それにこんなDeep居酒屋なのに、これは立派にスペイン田舎料理なのだ。
「バカコンポジャ」(牛すじをササミで挟んだフライ)ってのもある。こんな名前だったっけ。これも英訳するとBeef with Chickenという感じだろうか。それにしても、20年も経つとすっかり記憶が曖昧になっている。
「ソイ丼」はたぶん記憶通り。大豆のカレー煮、というところだろうか。近くの席の客が喰っているソイ丼、美味そうだ。フラメンキンにしようかと思ったが、ソイでいってみるか。でもご飯はいらない。そこで、ソイのあたま(ソイ丼の具だけ)を注文する。これはこれで、酒の肴になる。
他にも結構、メニューは豊富であるが、今日はもう十分。またの機会に確認してみたい。払いを済ませ外に出ると、結構、外国人観光客が行きかっている。いつのまにか、ここはもう観光地なのだ。心なしか、さらにDeep感が少なくなったような気がした。

_DSC6983

_DSC6984

_DSC6985

_DSC6987