予約が取り難い居酒屋の代表格だそうである。それくらい人気があると云うことだが、実際、数日前予約くらいでは箸にも棒にもかからない。今回は念には念を入れてひと月前から予約を入れ、満を持しての入店。入ってみて気が付くが、思いの外、こじんまりした店内。これも予約が取り難い理由のひとつだろう。ミシュラン東京2015では、ビブグルマンに選ばれているとのこと。ミシュラン★付き店なんてまったく縁が無いが、ビブグルマンだったら我々庶民にもなんとか親しめそうな感じがする。
外観も内観も、小奇麗な居酒屋然としていて、照明もやや抑えめ。我々はふたりなのでカウンター席に案内される。その椅子は、座っていないと(つまり席を離れると)背もたれが右90度回転する。ちょっとした気遣いだが、その方が座るときに邪魔にならないということなのだろう。コートを預かってもらい、バッグは足元の籠に入れ、席に着いて、さて、メニューを一通り眺める。酒の種類が豊富で、呑んだことが無い日本酒ばかり。何よりうれしい。どれにするか迷うが、とりあえずエビス生ビール(600円)でスタート。
間もなくお通し(1,280円)が出てくるが、なんと7種類の料理が小鉢で出てくる。これだけで肴は十分、と云う人も多いのではないだろうか。そして店員による料理の説明。きびなごに合わせるジュレが失敗して固まってしまったなんて、云われないと気が付かない説明も真面目に付け加える。必ずしも和食ばかりではない、和洋折衷のお通しである。
ビールを飲み干した後は日本酒。先ずは東一(あずまいち)(640円)と磯自慢純米吟醸(460円)。グラスに注いだ後、ボトルを置いていって呉れる。こりゃ取材に優しい(^^ゞ。そして、何も云わなくてもチェイサー(水)を出して呉れる。このあたりのちょっとした心遣いも憎い。東一は純米吟醸甲州ワイン樽貯蔵との表示通り、ボトルがワインそのもので面白い。ボトルに惑わされているのかも知れないが、たしかに白ワインの様な風味を感じる。磯自慢も、芳香が強い。
その後、店員が、サービスと称してクリームチーズの味噌漬けを持ってきて、感想を聞かせてほしいと仰る。もうちょっと漬ける期間が長い方が良いか、短い方が良いかと云う、客の嗜好を調べることも兼ねた、なかなか考えた演出だと思う。
続いて、風の森笊籬(いかき)採り純米大吟醸(640円)と義侠純米原酒(360円)を頼む。どちらも初めて。風の森はフレッシュで繊細だが、義侠はかなり武骨。続いて、東洋美人純米大吟醸(330円)と松の寿純米吟醸雄町(530円)。今日は吟醸系ばかり呑んでいる。お通しが無くなってきたので、料理を追加。ポテトサラダ(480円)とブリの西京焼(880円)にしてみた。ポテトサラダはいかの塩辛入りとのことだが、スモーク香がしっかり利いたベーコンの存在が強い。西京焼きは日本酒との相性抜群だった。
これでおひとり様4,000円強。値段は総じてやや高めだが、この店のなにが人気の理由なのか。思うに、料理が美味いこと、美味い酒をおいてあることもさることながら、呑んべえに対するホスピタリティーが高いことだろう。また、突き出し料理が入れ変わった頃を見計らってまた来てみたい。

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