丸山鉱泉から乗ったタクシーの運転手に、このちゃんが行き先を告げる際「パリー食堂に行きたいのですが、わかりますか?どんな店?」などと訊くと、そりゃ知っているけどねえ、という訳知り顔で、複雑な苦笑いを漂わせつつ「・・・行けば判りますよ。」と仰る。まあ、云ってくれなくても、行かなくても、云いたいことはだいたい判るけどね。
ともあれタクシーで10分ほどで到着。外観は思った通り(と云うか、Webの写真で見た通り、タクシー運転手が含み笑いした通り)の超レトロ。鳥肌が立つ。何故この良さが判らないかな、運転手さんよ。
文化庁の登録有形文化財(登録名は「カフェ・パリー」)になっている。竣工は昭和2年とのこと。暖簾が出ている、やっていそうだ。このちゃんが開けようとすると、・・・・・・・・・動かない。何回やっても同じ。鍵がかかっているようだ。ふー、・・・・・・・・・残念。でもこのちゃんはそんなことでは諦めない。暖簾に電話番号が書いてあるのを見つけ、すぐさま電話をかける。なかなか繋らず。やがて、しばらくして繋がったようで、その話によれば、一人で切り盛りしているご主人が外出していたらしい。
まことに残念だがまた今度来よう。ふと周りを見渡すと、パリー食堂に負けず劣らずレトロな建物がある。目の前の建物は塗装こそ奇麗に塗り直したようだが、造りは相当レトロ。角の入口には「Cocktail Bar Snob」との看板がかかっている。まだ時間が早いせいか、閉まっているようだ(後で調べると建物は大正15年造、これも登録有形文化財、以前は、とある旅館の遊技場だったそうだ)。うーむ、ここにも入ってみたい。斜向かいの小池煙草屋も昭和モダン間違いなし、やはり閉まっているが現役のようだ。同じ通りを御花畑駅方面に少々進むと、右手に木造洋館、表札には片山醫院とある。このちゃんが、まるで富岡製糸場のようだ、と云う。同感。どうなっているの、この通り。
秩父の街の所々には、このようなノスタルジーが残っている。調べてみると市街には29の登録有形文化財があると云う。御花畑駅の駅舎もそのひとつ。こちらは大正6年竣工で、今も普通に現役である。全く以って、レトロ建築オタクならずとも、秩父には改めて感心してしまう。いつかは、街中に泊まるつもりで来て、パリー食堂で飯を喰って、Cocktail Bar Snobで酒を呑むしかない。それにしてもそれに見合う山が近所で見つかるかどうか、それだけが気掛かりである。

_DSC6058

_DSC6059

_DSC6060

_DSC6061

_DSC6062

_DSC6063

_DSC6064

_DSC6065

_DSC6066