芦ヶ久保駅前の道の駅で一息ついた後、下りの西武秩父線に乗り西武秩父駅へ逆モーション移動、タクシーに乗り込む。わざわざの目当ては丸山鉱泉に浸かることにある(芦ヶ久保駅のひとつ先、横瀬駅から登り約2kmを歩く手もないことはないが、すでに身体はビールで弛緩状態)。この鉱泉は、丸山に登って直接下りてくるには絶好のシテュエーションにあるのだが、これまで機会に恵まれず、且つ、もう丸山は様々なルートから何回も登っているのでなかなか食指が動かない。従って、今回は芦ヶ久保から強引に行くことにした。
ここは名前は鉱泉だが、泉質は温泉法による成分規定を満足していないらしい。そのせいか、ここのウリは薬草風呂と云うことになっている。でも入った感じでは、それほど薬草臭さは感じられない。湯温も丁度良い。風呂は宿泊者用と日帰り客用と別れていて、後者は「花悦の湯」という名前が付いており、旅館棟とは別建屋にある。シンプルな造りだが、清潔感がありかつ湯治場の雰囲気も併せ持っていて、居心地はかなりいい。旅館でありながら、独立した立ち寄り湯を経営しているのは珍しいかも知れない。受付の脇にはビール、チューハイの自動販売機があり、乾きもののつまみも売っていて(一応、飲食物持ち込み不可である)、その奥は畳敷きで結構広い休憩室がある。窓の外は木々の間から武甲山も望める。
ここの魅力は山の中腹にあって自然に囲まれていること、露天風呂からも休憩室からも武甲山が望めること、そしてかなり空いていること(男子風呂場は先客2名のみ、休憩室は2組のみ)と云っていいだろう。実際、武甲温泉などは何時行ってもかなり混んでいるのが普通だ。それにひきかえここは静かで、思った以上に高台にあり、辺りには建物が無いので、空に近い感じすらする。秩父界隈の他の風呂ではなかなか味わえない。帰りに呼んだタクシー運転手は、個人的にはイチオシだと云っていた。ちなみに武甲温泉には入る気もしないとのこと。正直で結構だが、秩父の観光が衰退するとタクシーの売り上げにも響くと思うので、そんなことは余り軽々しく公言しない方が宜しい(と云いつつ、ここで書くのも如何なものか)。代わりに、武甲温泉に足りないのは何で、どう改善したら良いかを具申しては如何だろうか。良い温泉が一つでも増えることは、我々利用者にとっては大歓迎なのだから。

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丸山鉱泉のHP: こちら