万平ホテルで朝食をとる場合、和食と洋食で場所が異なり、前者は熊魚菴、後者はメインダイニングとなる。どちらも甲乙つけがたいものの、万平ホテルの雰囲気を味わうには、やはりメインダイニングということになるだろう。残念ながら、熊魚菴では万平ホテルにいることはいま一つ実感し難い。昨今、朝食はビュッフェスタイルというホテルが多いが、ここは相変わらずアメリカンブレックファースト。それも今流行りのパンケーキやエッグ・ベネディクトなどはなく、正統派と言うか、全くのクラシックスタイルである。この頑なさもクラシックホテルの一部と言っていいかも知れない。メインダイニングの装飾、調度品の重厚感は勿論素晴らしいが、晴れの日でも雨の日でも、窓の外に見える庭にはそれなりの風情があって申し分ない味付けとなっている。従って、このメインダイニングの雰囲気があれば、たとえ料理が平凡な味であっても(決して不味い訳ではないが)、それはたいした問題ではないと思わせるに十分である。

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