利尻山に登るには、基本的に前日から利尻島に泊り、山から下りた当日もその足では羽田までは戻れないので、自ずからもう一泊することになる。今回は、二泊とも北国グランドホテルに滞在。見た限りでは、利尻島で最大級のホテルのようだ。最果ての地にあるホテルらしく、部屋にはエアコンが無いが、今日の気温では全く問題ない。一日目の夕食は、さすが北海道、と思わせる海の幸尽し。普通は、こんなにあるともう、ご飯までは辿りつけないのだが、そのご飯がウニ飯とあっては手付かずという訳にはいかない。明らかに食べ過ぎだ。午後9時就寝。
翌朝、午前5時に送迎バス(他に同乗者3名)でホテルを出発し、ほんの5分ほどで登山口の北麓野営場(標高210m)に到着、直ちに登山開始。登り口に靴の裏側を洗う施設がある。外来植物種の持ち込み防止を狙ったもののようだ。我々以外にも十数名の登山者が支度中。台風の影響か、やや湿度が高い感じもするが、時折吹く風は最果ての地らしく冷たい。東京では予想最高気温34℃とか言っているようだが、こちら(稚内の予想気温)は17℃。遠路遥々来た甲斐があったというもの。しばし、針葉樹林に包まれた緩やかな登りを黙々と辿る。直ぐに甘露泉水(日本名水百選)、その先がポン山(標高444m)との分岐。利尻島の地図を見ると、ここに限らず、ポン山がいっぱいある。「ポン」とはアイヌ語で「小さい」という意味とのこと。3日目の観光ツアーの女性ガイドによれば、ポン山は利尻山の寄生火山だったらしい。
6時28分、5合目到着。あたりは背が低いダケカンバの森。標識を見ると、標高610mと書いてある。一方、山頂は1,721mだ。合目のつけ方が良く分からない・・・。5合目だったら、山頂の標高の半分じゃないの? あとで調べてみると、

・3合目甘露泉 270m
・4合目野鳥の森 410m (+140m)
・5合目雷鳥の道標 610m (+200m)
・6合目第1見晴台 760m (+150m)
・7合目胸突き八丁 895m (+135m)
・8合目長官山 1,218m (+323m)
・9合目ここからが正念場 1,400m (+182m)
・山頂(南峰) 1,721m (+321m) 

となっていて、単に標高差ではない。所要時間も加味されているのだろうか。実際、歩いてみた結果、5合目から6合目まで所要時間は26分、6合目から7合目までは21分、7合目から8合目は53分、8合目から9合目は40分だった。9合目から山頂(1,719mの北峰までしか行けない)が、最も大変な感じはするが52分だった。すると時間だけでもなさそうだ・・・。是非、この標識を建てた人に根拠をお尋ねしたい。
6時54分、6合目第1見晴台に到着。残念ながら殆ど眺望は利かないが、沓形港辺りの海だけが見下ろせる。
8時8分、長官山到着。このあたりはすっかりハイマツに覆われている。山頂に立派な石碑が立っているが、ときの北海道庁長官が登頂した記念に建てたらしい。登頂しただけで石碑とは・・・。佐上信一という人はよほどエラかったのだろう。
8時20分、避難小屋到着。ここには十数人が屯している。ここから空身で登ろうとしている人がいる。へばっている人もいるようだ。
小屋を過ぎると、ハイマツの背丈が低くなり、見通しが利くようになる。山頂は見えないが、時折、海岸線が見えて気宇壮大だ。そういえば湯河原の幕山からも海岸線が見えたが(山の記録はこちら)、やはりこちらは格が違う。香港のSharp Peak(Nam She Tsim)を思い出す(山の記録はこちら)。
8時48分、9合目到着。看板に「ここからが正念場」と書いてある。実際、火山弾(丸い小石)が堆積したような場所は、ザラザラでずり落ち易く、非常に歩き難い。
9時40分、山頂到着。休憩時間を入れて4時間35分、まずまずのペース。やはり前後ホテル泊は、リュックサックが軽くて良い。まったくガスの中、ロウソク岩すらも見えないが、気分は悪くない。山頂直下の断崖には様々な高山植物が咲き乱れている。岩にへばり付いて咲いているエゾツツジは、これもツツジなのかと思うほど小さく可憐である。ゆっくり時間を取って、ホテルの弁当(巨大おにぎり2個)をパクつく。
10時5分、下山開始。続々と登ってくる登山客と行き違う。殆どが熟女軍団だが、ある男性登山者が、「リシリヒナゲシ、見ましたよー!」 とホントうれしそうで、興奮気味に(かつ、あれ、何処かでお会いしましたっけ?と思わせるほど親しげに)仰る。この利尻山の固有種らしい。(予習不足で)見たことも聞いたことも無かったので、どれがリシリヒナゲシか判らない。山から下りて、ホテルの売店で花図鑑を見て初めて知った(その後、利尻空港の花壇に植えてあるのに気が付いた)。
9合目を過ぎるとガスが切れ、海岸までの裾野が見渡せるようになる。汽笛が聞こえる、港に入るフェリーだろうか。振り返ると、山頂のガスももう暫くすればとれそうだ。
13時30分、北麓野営場に帰還。下りは膝を痛めないようゆっくり歩いたせいか、結構長く感じた。早速ホテルに迎えを呼ぶ。ホテルに着いたら先ず缶ビールで祝杯。温泉大浴場(「日本最北端の温泉」が謳い文句)で汗を流し、鴛泊集落に唯一あるコンビニ(セイコマート)でつまみと酒を仕入れ、部屋で飲み始める。ふと窓の外を見ると、利尻山が全貌を現していた。惚れ惚れするほど凛々しい姿だ。
18時になったらまた7Fのスカイラウンジで夕食。まさか1日目と同じメニューとは思わなかったが、ガラッと異なる料理だったので安心。2日目はカニ飯が中心だった(恨み節が聞こえてきそうなので、もう多くを語るのはやめておく)。この2日間の摂取カロリーは、利尻山登山での消費カロリーを大幅に上回ったものと思われた。

DSC_0282 00釜の中はウニ飯


DSC_0285 01登山口の野営場

DSC_0294 02海が見える

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DSC_0313 04避難小屋が見えてきた

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DSC_0325 07下界が見えてきた

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DSC_0342 10北峰到着

DSC_0347 11山頂のエゾツツジ

DSC_0358 12雪渓が見える

DSC_0360 13海が青い

DSC_0368 14右が長官山

DSC_0379 15見えそうで見えない山頂

DSC_0398 16ホテルの窓から

 DSC_0402 99釜の中はカニ飯

DSC_0445空港の花壇にあったリシリヒナゲシ

DSC_0458飛行機から利尻山を見下ろす