以前、中軽井沢に近い「エルミタージュ・ドゥ・タムラ」の奥の、静かな森の中にひっそりとあった「エンボカ(en boca)」が、2011年に火事で焼失したと聞いた時は、それまで何度か訪れていた者として少なからずショックを受けた(そういえば、「神田やぶそば」の火事も同程度以上にショックだ)。その後、2013年になって軽井沢本通りに場所を変え、晴れてリニューアルオープンしてから、今回が2回目の入店。以前の、森の中に溶け込んだような建物とはうって変わって現代アート風だが、これはこれで、この通りの雰囲気には相応しいように感じる。店内インテリアもどこかのデザイナーが手がけたらしく、植物や食材の配置にもアートを感じる。
この店のウリは勿論ピザだが、単に「ピザハウス」と書くとやや誤解を招く恐れがあるかもしれない。パスタや一品料理も色々とあって、毎度選ぶのが楽しい。飲み物も、以前から数多くのベルギービールが揃っていて、あれこれ試したくなる。しかし何といっても、ここに来たらピザを食べない訳にはいかない。最初の頃は一人で一枚食べていたが、この頃は(基礎代謝量が低下してきたため)二人で一枚が丁度良い。生地はもちもちタイプ。普通、ピザというと、トマトソースにサラミやベーコン等がトッピングされ、たっぷりのチーズに覆われているイメージが強いが、ここのピザは、野菜が主。それもレンコンやオクラ、大葉、アスパラ、野沢菜、しいたけなど、他の店ではまず見ない食材が使われる(からすみ、なんてものもあるが、流石に高いので毎度一瞥するだけ)。マルゲリータ以外、トマトソースは殆ど使われていない。レンコンのピザの場合は、チーズも使われておらず、ジェノベーゼペーストのみ。以前、この店を開いた方から、イタリアではなく、スペインのピザを勉強したと聞いた。
今回は、ベルギーホワイト生ビール(銘柄忘れた!)でスタート、一品料理としてハモンイベリコ生ハム、スモークタンとスモークサーモンの盛り合わせ、ピザはアスパラと季節の豆(さやえんどうといんげん豆と空豆)のハーフ&ハーフを注文。その後、トラピストビールの「ロシュフォール8」を飲む。苦みと甘さのバランスといい、コクといい、濃厚な香りといい、これぞ将にベルギービール。アルコール分は9.2%もあるので、ゆっくりと飲む。そうこうしているうちにピザが焼き上がる(焼く時間そのものは1分強程度)。アスパラや豆の素材の香り、味を感じられるところが何とも言えない。この店のピザを初めて食べた時の衝撃そのものはもう感じることはできないが、それでもこの店独特の味が毎度楽しめるので、軽井沢に来て、この店を素通りするのはなかなか苦労する。

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この店のHP: エンボカ軽井沢