この頃[番外編]の方が多いのでは・・・というご指摘はさておき、先週に引き続いて、鄙びた居酒屋へ、仕事帰りにアユラシと行ってみた。実は「根津の甚八」で出合ったお客の一人が教えてくれた店である。ところは銀座二丁目、歌舞伎座の二ブロック北側の辺り、と言ったら判り易いだろうか。ビル群の谷間に、取り残されたような木造商家。安易にレトロという言葉だけでは表しきれない、鳥肌が立つような光景である。歴史的建造物オタクだったら感涙に咽ぶところだ。オタクならずともこの僥倖に感謝したい。それにしても、こんな建物が残っているとは・・・、銀座は意外と広い。店内も外観同様、異次元世界。天井が高くて気持ちが良い。当然、BGMも無く静か。さほど敷居の高さは感じない。18時30分入店だが、先客は1組2名のみ。普段もこうなのか、それとも今日の天気がいまいちのせいか、はたまたサッカーW杯でボコボコにされ、皆元気を失くして家飲みなのか判らないが、(建物よりはお若いと思われる(失礼!))店員さんに、カウンターだったらどこでもどうぞと言われ(テーブル席は3人以上ということだろう)、一番奥に座る。昨日、念のため、予約をしておこうと電話を入れてみたとき、2、3人だったら全く問題ない、と言われたのが良く理解できた。厚さ20cmくらいありそうな無垢板のカウンターテーブルが、長い年月のせいか端っこの方が大きく反っている。きっとこの板は、秩父錦をたっぷり飲んでいるのに違いない。
微かな興奮が冷めやらないまま、先ずは生ビールを注文してから、壁に貼ってあるメニューを眺める。短冊状のメニューもかなりセピア色。料理はカミカツとポテトサラダから注文。その後、もつ煮込み、トビウオのなめろう、泥鰌の唐揚げ、さつま揚げを注文。カミカツとさつま揚げは、この店の名物らしい。さつま揚げは、出てきたときはまんまる膨らんでいるが、冷めると萎んでしまう。繋ぎにヤマイモが多く使われているようだ(小生、ヤマイモには人一倍、過敏なので(笑))。ポテトサラダは正統派で、大宮の「三悟晶」よりも舌触りが滑らかだが、量は半分程度。もつ煮込みはサッパリ系。泥鰌はカリカリで泥臭さは全くなく美味。なめろうにトビウオとは珍しいが、強い粘りが出るほど叩いてあって、酒の肴にぴったり良い感じ。酒は当然、秩父錦。まずは「にごり」から。かなり濃厚で甘め。続いて「寒造り」と「辛口」もひやで注文。「辛口」は相当ピリピリで酸味も強い。我々両名とも「寒造り」の方が舌に馴染むようだ。
酔うほどに、ぽつぽつと客が増えてきたが、それでも我々が帰るまで、客の入りはせいぜい席の半分程度。こういう雰囲気に、落ち着ける人とそうでない人がいるのかも知れない。様々な有名処の日本酒を安く、ワイワイと立ち飲みでき、かつ内装には拘らない店と、秩父錦だけを店の雰囲気で飲ませるこの店は対極にある。どちらかと言えば後者を好む者としては、この建物が無くならないうちに何度でも来てみたい。
(残念ながらスマホ(Galaxy S3)画像なので、鮮明さはご容赦願いたい)

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