その日は新緑が眩い程だった。生憎の雨とは言え、芽吹いたばかりの木々と、山に掛かって刻々と変化する霧雲との造形に酔いつつ、三角コンバから古部山を経て竜門橋に下りてきた後(山の記録はこちら)、その足で田野の湯に入り汗を流した。ここは市の福祉施設なので誠に残念ながらビールを飲むことができず、ならばすぐ先の「砥草庵」に入ろう、ということになった。勿論、予てより山から下りてこの店の前を通る度に気にはなっていたのだが、なかなかタイミングが合わず今回が初入店。外観同様、店内も古民家風で天井が高くゆったりした広さだが、古さは感じられない。入ったのが午後3時だったので他に客はおらず、実に静か、時が止まっているようである。早速ビールを飲み干した後、冷酒と共に刺身こんにゃく、鶏もつ煮、板わさ等を注文、蕎麦屋ならではの時間を楽しむ。締めはいつものようにせいろそば。細打ちで喉越しは最高。この店の前の街道を嵯峨塩温泉方面に登っていくと天目山栖雲寺という古刹があるが、そこは蕎麦切り発祥の地だということで、その由緒にあやかってこの街道も蕎麦街道というらしい。この伝統を受け継いでいると言えるこの店が、これからもこの静けさを保ち続けられることを祈りたい。

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